リンナイ給湯器の920エラーとは?お湯は使える?原因と対処法をプロが解説

リンナイ給湯器の920エラーとは?お湯は使える?原因と対処法をプロが解説

こんにちは。給湯器修理.comです。

濱本 孝一

この記事の監修者

濱本 孝一

株式会社 生活水道センター 代表取締役

保有資格:給水装置工事主任技術者
ガス機器設置スペシャリスト
2級管工事施工管理技士 第04910号

株式会社生活水道センター 代表取締役。創業32年の節目を迎え、全国に水道局指定工事店のネットワークを広げる水回りのスペシャリスト。「日本の住宅寿命を延ばす」という使命感のもと、早期メンテナンスの重要性を提唱し続けている。現場の叩き上げでありながら、メーカー事業「ドットデザイン」での製品開発や、次世代の職人育成など、業界の近代化に尽力。

ご自宅のリンナイ製給湯器のリモコンに、突然「920」という見慣れない数字が点滅し始めて、驚かれているのではないでしょうか。「ガス漏れなどの危険な状態ではないか」「今すぐお湯が使えなくなってしまうのか」と不安に感じるのは当然のことです。日々の生活に欠かせないお湯のトラブルは、一刻も早く原因を知って安心したいですよね。

この記事でわかること

  • リンナイ給湯器の920エラーが意味する内容と緊急度
  • エラー表示後にお湯がいつまで使えるかの目安
  • 中和器の役割と修理や交換にかかる費用相場
  • エラー930への移行リスクとDIYがNGな理由

リンナイ給湯器に920エラーが出たらお湯は今すぐ使えなくなる?

リンナイの給湯器で920エラーが出ても、今すぐお湯が使えなくなるわけではありません。このエラーはエコジョーズ特有の部品である中和器の寿命が近づいていることを知らせる予告サインです。表示後も約1〜2ヶ月は通常通りお湯を使えることが多いですが、そのまま放置すると安全装置が働き完全に停止してしまいます。

エラー920は「中和器の寿命予告」を示すサイン

給湯器のリモコンに表示されるエラーコードには、それぞれ明確な意味があります。リンナイの給湯器において「920」という数字が点滅した場合、それは機器の故障やガス漏れといった危険な状態を知らせるものではありません。これは「中和器(ちゅうわき)」と呼ばれる、給湯器内部の特定の部品が寿命に近づいていることをシステムがお知らせする「予告サイン」なのです。

現場でお客様から「920が出たんですけど、爆発したりしませんか!?」と慌てたお電話をいただくことがよくあります。私はいつも「大丈夫ですよ、危険なエラーではありません。車のオイル交換時期を知らせるランプのようなものです」とお伝えして、まずは落ち着いていただいています。給湯器は内部のコンピューターで燃焼時間をカウントしており、あらかじめ設定された使用時間に達すると、この920エラーを自動的に表示させる仕組みになっています。つまり、長年大切に使っていただいたからこそ出る、定期メンテナンスの合図とも言えます。

ただし、危険ではないからといって、完全に無視して良いわけではありません。あくまで「予告」であるため、いずれは部品の交換が必要になるという事実をまずは認識していただくことが重要です。

点滅していても一時的にお湯は使える可能性が高い

920エラーが表示された直後であれば、ほとんどのケースでこれまで通りお湯を使うことができます。シャワーを浴びることも、お風呂の自動湯はり機能を使うことも、キッチンで洗い物をするためのお湯を出すことも可能です。

「エラーが出ているのにお湯を使って、給湯器が壊れたりしないの?」と心配される方もいらっしゃいますが、920はあくまで「もうすぐ部品が限界を迎えますよ」という事前のお知らせに過ぎません。そのため、給湯器の燃焼機能自体にはロックがかかっておらず、通常通り作動します。実際に私が修理にお伺いする現場でも、お客様はエラー表示を気にしながらも、数週間はお湯を使い続けていたというケースが非常に多いです。

エラー920表示後のお湯の使用について
・シャワーや蛇口からの給湯:可能
・お風呂の自動湯はり・追いだき:可能
・床暖房や浴室乾燥機(温水式の場合):可能

このように、一時的にお湯が使える状態であることは、お客様にとって非常に大きな安心材料になるはずです。特に夜間や休日にエラーが出た場合、「明日お風呂に入れない!」とパニックになる必要はありません。翌日以降、落ち着いてメーカーや修理業者に連絡を取る猶予が残されていると考えてください。

ただし放置はNG!いずれお湯が出なくなる点に注意

お湯が使えるからといって、920エラーを放置したまま長期間使い続けることは絶対に避けてください。なぜなら、このエラーは「いずれ確実にお湯が出なくなるカウントダウン」が始まっている状態だからです。

給湯器の内部では、エラー920が表示された後も燃焼時間のカウントが続いています。ご家庭での使用頻度にもよりますが、一般的にはエラー表示から約1ヶ月〜2ヶ月程度(燃焼時間にしておおよそ50時間)使い続けると、次の段階のエラーへと移行してしまいます。その次の段階に達すると、給湯器は安全のために自ら動作を完全に停止させ、一切のお湯を作らなくなります。

私が過去に対応したお客様の中で、「エラーが出ていたけどお湯は出たから、半年くらい放置してしまった」という方がいらっしゃいました。その結果、真冬の最も寒い時期に突然シャワーが水になり、凍える思いで修理を待つことになってしまいました。繁忙期である冬場は修理業者の予約も取りづらく、数日間お湯なしの生活を強いられるリスクがあります。920エラーが出たら「まだお湯が出る今のうちに、修理の手配をしておこう」と行動することが、トラブルを最小限に抑える最大の秘訣です。

エラー920の原因となる「中和器」とはどんな部品?

中和器はエコジョーズ給湯器にのみ搭載されている部品で、排熱を利用してお湯を沸かす際に発生する酸性のドレン水(結露水)を中和する役割を持ちます。内部には炭酸カルシウムが詰まっており、水が通過するたびに化学反応を起こして消費されます。この中和剤が減少し、寿命が近づくと920エラーが表示されます。

エコジョーズ特有の酸性ドレン水を中和する仕組み

920エラーの原因となる「中和器」について理解するためには、まず「エコジョーズ」という給湯器の仕組みを知る必要があります。エコジョーズとは、従来の給湯器では空気中に捨てられていた約200度の高温な排気熱を再利用し、少ないガスでお湯を沸かすことができる高効率で省エネな給湯器のことです。

この排気熱を回収して冷たい水を温める過程で、給湯器の内部では急激な温度変化による結露が発生します。エアコンを使うと室外機から水が出るのと同じ原理ですね。給湯器から出るこの結露水は「ドレン水」と呼ばれます。しかし、ただの水ではありません。燃焼ガスに含まれる成分(窒素酸化物など)が溶け込んでいるため、pH3程度の強い酸性(レモン汁やお酢と同じくらいの酸性度)を持っています。

酸性の水をそのまま下水や土壌に垂れ流してしまうと、排水管の金属を腐食させたり、環境に悪影響を与えたりする恐れがあります。そこで、この酸性のドレン水を無害な中性の水に変換してから排出するために搭載されているのが「中和器」なのです。中和器を通ることで、ドレン水は環境基準を満たす安全な水となって外へ排出されます。

中和剤(炭酸カルシウム)の消耗と寿命のメカニズム

中和器の内部には、「中和剤」と呼ばれる白い石のような粒がぎっしりと詰まっています。この成分は主に炭酸カルシウムです。学校の理科の実験で、酸性の液体に石灰石を入れると中和されるというのを習ったこともありますが、まさにその化学反応を給湯器の中で行っています。

酸性のドレン水が中和器の中を通過する際、炭酸カルシウムと反応して少しずつ溶けていきます。つまり、給湯器を使ってお湯を沸かせば沸かすほど、ドレン水が発生し、中和剤は削られて減っていくのです。消しゴムを使えば使うほど小さくなっていくのと同じですね。

現場で寿命を迎えた中和器を取り外して中身を確認すると、新品の時にはゴロゴロとしていた白い粒が、ドロドロの泥状に溶けてしまっているか、ほとんど無くなってしまっていることが確認できます。給湯器のコンピューターは、「これくらいガスを燃焼させたら、中和剤がこれくらい減っているはずだ」という計算を常に行っており、中和剤の残量が残りわずか(約10%程度)になったと判断したタイミングで、リモコンに920エラーを表示させます。これが中和器の寿命のメカニズムです。

従来型給湯器では発生しないエラー

ここで一つ重要なポイントがあります。この920エラー(および中和器関連のエラー)は、「エコジョーズ」と呼ばれる高効率給湯器でのみ発生する現象だということです。排気熱を再利用しない「従来型」の給湯器では、そもそも結露水(ドレン水)がほとんど発生しないため、中和器という部品自体が搭載されていません。

ご自宅の給湯器がエコジョーズか見分ける方法
・本体の正面に「ecoジョーズ」というロゴシールが貼ってある。
・給湯器の底面から、お湯の配管やガス管とは別に、塩ビ管(グレーのプラスチック管)などのドレン排水用の管が地面や排水溝に向かって伸びている。

時折、お客様から「実家の給湯器は15年使ってもこんなエラー出なかったのに、うちのは10年弱でエラーが出た!不良品じゃないの?」とお叱りを受けることがあります。しかし、これは不良品ではなく、エコジョーズという環境とお財布に優しい最新機器ならではの、必要なメンテナンス時期が来たという証拠なのです。ガスの消費量を抑えて毎月の光熱費を安くしてくれた分、中和器が身を削って働いてくれたのだと考えていただければと思います。

エラー920を放置するとどうなる?930エラーとの違いは?

920エラーを放置して給湯器を使い続けると、約50時間の燃焼稼働を経てエラー表示が930に変わります。920が寿命の「予告」であるのに対し、930は中和器の寿命が完全に尽きた「機器停止」を意味します。930エラーが出ると安全のために給湯器が強制停止し、お湯が一切出なくなるため早めの対処が必要です。

約50時間の燃焼後にエラー930へ移行する

920エラーが出た状態でお湯を使い続けると、給湯器内部のコンピューターはさらに燃焼時間のカウントダウンを進めます。メーカーや機種によって多少の差異はありますが、リンナイのエコジョーズ給湯器の場合、920エラーの表示からおおよそ「50時間」の燃焼稼働時間が経過すると、次の段階へ移行するようにプログラムされています。

この「50時間」というのは、単純に時計の針が進む時間ではなく、実際にガスを燃やしてお湯を沸かしている時間の合計です。例えば、1日にお風呂の湯はりやシャワー、洗い物などで合計1時間お湯を出すご家庭であれば、約50日(1ヶ月半強)でリミットに到達する計算になります。冬場でお湯の設定温度が高く、お湯を使う量が多いご家庭であれば、もっと早くリミットに達する可能性もあります。

私が現場でお客様にお話を伺うと、「エラーが点滅し始めてから、だいたい1ヶ月ちょっと経った頃に急にお湯が出なくなった」と仰る方が非常に多いです。この約50時間という猶予期間は、あくまで「修理業者を手配して、部品を取り寄せて交換してもらうための準備期間」として設けられているものだとご理解ください。

エラー930は「機器の完全停止」を意味する

猶予期間である約50時間の燃焼時間を使い切ると、リモコンの表示は「920」から「930」へと変化します。この「930」というエラーコードは、中和器の寿命が完全に尽きたことを示す「寿命告知(機器停止)」のサインです。

930エラーが表示された瞬間、給湯器は安全装置を働かせ、強制的にガスを遮断して動作をロックします。こうなると、リモコンの電源を何度入れ直しても、お風呂の栓を抜いてお湯を張ろうとしても、水しか出なくなります。完全に「お湯なし生活」のスタートです。

なぜ強制停止させるかというと、中和剤が空っぽになった状態で給湯器を動かし続けると、強い酸性のドレン水がそのまま外部へ排出されてしまうからです。これは環境保護の観点からメーカーが厳格に定めている安全仕様であり、故障して動かなくなったわけではなく、意図的に「動かなくしている」状態なのです。
920が「黄色信号」なら、930は完全に「赤信号」です。赤信号になってから慌てて業者に連絡をしても、すぐに対応してもらえるとは限りません。

冬場にお湯が出なくなる最悪の事態を防ぐために

給湯器のトラブルが最も多く発生するのは、水温が下がり、給湯器がフルパワーでお湯を沸かさなければならない「冬場(11月〜2月頃)」です。この時期は給湯器修理業者にとって最大の繁忙期であり、1日のスケジュールは朝から晩までパンパンに埋まっています。

もし、920エラーを放置して真冬に930エラー(強制停止)に移行してしまった場合、業者に電話をしても「申し訳ありません、最短でお伺いできるのが5日後になります」と言われてしまうケースが珍しくありません。実際に私が過去に勤めていた会社でも、大寒波が来た週には修理待ちのお客様が数十件溜まってしまい、心苦しい思いでお断りや延期のお願いをした経験が何度もあります。

真冬に数日間お湯が使えない生活は、想像以上に過酷です。銭湯通いや、冷たい水での洗い物を強いられます。小さなお子様やご高齢の方がいらっしゃるご家庭では、体調を崩す原因にもなりかねません。だからこそ、お湯がまだ使えて心に余裕がある920エラーの段階で、速やかに修理の依頼をしておくことが、ご自身とご家族の快適な生活を守るために絶対に必要な行動なのです。

エラー表示を一時的に消す(リセットする)方法は?

リモコンの運転スイッチを一度オフにして再度オンにするか、給湯器本体の電源プラグをコンセントから抜き差しすることで、一時的に920エラーの表示を消すことは可能です。ただし、これは表面上の警告を消しただけで中和器の寿命という根本原因は解決していません。規定の燃焼時間に達すれば再びエラーが表示されます。

リモコンのオンオフや電源プラグの抜き差し

リモコンの画面で「920」という数字がずっと点滅していると、気になって目障りに感じる方も多いなります。「とりあえずこの点滅だけでも消したい」という場合、一時的なリセット操作を試すことは可能です。

最も簡単な方法は、キッチンや浴室にある給湯器リモコンの「運転スイッチ(電源ボタン)」を一度オフにし、数秒待ってから再度オンにすることです。これだけで、一時的にエラー表示が消え、通常の時計表示や温度表示に戻ることがあります。

もしリモコンの操作だけではエラーが消えない場合、給湯器本体の電源を物理的にリセットする方法があります。屋外に設置されている給湯器本体の近くには、必ず防水コンセントがあり、そこに給湯器の電源プラグが挿さっています。このプラグを一度コンセントから抜き、10秒ほど待ってから再度挿し直すことで、給湯器内部のコンピューターが再起動し、エラー表示が一旦クリアされるケースが多いです。

リセットしても根本的な解決にはならない理由

ここで強くお伝えしておきたいのは、リセット操作でエラーが消えたからといって、給湯器が直ったわけでは絶対にないということです。

前述の通り、920エラーは中和器の中にある炭酸カルシウム(中和剤)が物理的に減っていることを知らせるサインです。電源を入れ直したところで、溶けて無くなった中和剤が魔法のように復活するわけではありません。給湯器のコンピューターは、リセットされた後も累積の燃焼時間をしっかり記憶しています。

そのため、リセットしてエラー表示を消したとしても、給湯器を使ってお湯を沸かせば、数時間後、あるいは数日後に再び「920」が点滅し始めます。お客様の中には「エラーが出たら電源プラグを抜いて消す」という行為を何週間も繰り返す方がいらっしゃいますが、これはただ問題から目を背けているだけであり、背後では確実に930エラー(強制停止)へのカウントダウンが進んでいます。リセットはあくまで「一時的な目隠し」に過ぎないことをご理解ください。

濡れた手でのプラグ操作は感電の危険あり

屋外の給湯器本体の電源プラグを抜き差しする際、安全面で絶対に注意していただきたいことがあります。それは「感電のリスク」です。

雨が降っている日や、手が濡れている状態でコンセントや電源プラグに触れることは大変危険です。給湯器には100Vの電圧がかかっており、濡れた手で触れると感電し、最悪の場合は命に関わる重大な事故につながる恐れがあります。実際に、ご自身でなんとかしようとしてビリッと強い衝撃を受け、慌てて私どもにご相談いただいたお客様もいらっしゃいました。

電源プラグを操作する際の注意点
・雨天時や手が濡れている時は絶対に触らない。
・プラグを抜く時はコードを引っ張らず、必ずプラグ本体を持って抜く。
・コンセント周りにホコリやクモの巣が溜まっている場合は、乾いた布で払ってから操作する。

また、古い給湯器の場合、長年の紫外線や雨風でプラグのプラスチック部分が劣化して脆くなっていることがあります。無理に引き抜こうとしてプラグがバキッと割れてしまい、ショートして給湯器の基板まで壊してしまったという悲惨なケースも現場で見てきました。少しでも不安を感じる場合は、無理に本体の電源プラグには触れず、リモコンの操作のみに留め、速やかに専門業者にご相談ください。

費用は機種・設置状況で変わります

正確な料金は現地確認が確実です。無料見積もり・ご相談を24時間受付中。まずはお気軽にお問い合わせください。

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中和器の交換を業者に依頼した場合の費用相場はいくら?

中和器の交換費用は、部品代・作業費・出張費を含めて約15,000円〜20,000円が一般的な相場レンジです。ただし、給湯器の設置場所が高所や狭小地などの特殊環境だと追加費用がかかることがあります。また、冬場の繁忙期は業者の予約が取りづらく、出張費が割高になるケースもあるため早めの見積もりが肝心です。

交換費用の内訳と一般的な相場レンジ

いざ業者に修理を依頼するとなると、一番気になるのは「いくらかかるのか?」という費用面ですよね。中和器の交換は、給湯器の修理の中でも比較的よくあるスタンダードな作業であり、費用もある程度の相場が決まっています。

一般的な修理費用の内訳は以下のようになります。

費用の内訳 金額の目安 詳細・備考
部品代(中和器本体) 約4,000円〜8,000円 給湯器の機種や号数(能力)によって部品のサイズ・価格が異なります。
作業費(技術料) 約6,000円〜8,000円 古い部品の取り外し、新品の取り付け、基板のエラーリセット作業など。
出張費 約3,000円〜5,000円 業者の拠点からご自宅までの距離によって変動します。駐車場代が別途必要な場合も。
合計(相場レンジ) 約13,000円〜21,000円 ※あくまで一般的な目安です。正確な金額は業者の見積もりをご確認ください。

おおよそ15,000円から20,000円程度を見込んでおけば、法外な請求をされることはないと考えて良いなります。作業時間自体も、スムーズにいけば30分から1時間程度で完了する内容です。私が現場にお伺いする際も、事前にお電話でこの相場感をお伝えすると、「数万円かかるかと思っていたので安心しました」とホッとされるお客様が多いです。

時期や繁忙期による対応スピードと費用の変動

修理費用や対応スピードは、依頼する時期によって大きく変動することがあります。前述した通り、給湯器業界の繁忙期は冬(11月〜2月)です。この時期はメーカーの修理窓口も民間の給湯器専門業者もパンク状態になります。

繁忙期に依頼した場合、部品の在庫が全国的に品薄になり、取り寄せに時間がかかることがあります。また、一部の業者では、夜間や休日の緊急対応に対して「時間外割増料金」や「緊急出動費」を上乗せするケースがあり、相場の上限である20,000円を超えてくることも珍しくありません。

逆に、春から秋にかけての閑散期であれば、業者のスケジュールにも余裕があるため、連絡したその日のうちに見積もりから交換まで完了できることもあります。920エラーは「まだお湯が出る」状態ですから、この猶予期間を活かして、複数の業者(メーカーサポート、地元のガス会社、給湯器交換専門業者など)に電話で概算費用と最短の訪問日を問い合わせ、比較検討をおすすめします。

設置環境による作業の難易度と追加費用の可能性

中和器の交換費用は、給湯器が「どこに」「どのように」設置されているかによっても変動することがあります。これは「設置環境による作業の難易度」が関係してきます。

例えば、戸建て住宅の広いお庭にポツンと設置されている給湯器であれば、作業スペースが十分に確保できるため、基本料金内でスムーズに作業が終わります。しかし、以下のような特殊な環境の場合は注意が必要です。

  • 隣の家との境界が極端に狭く、人がカニ歩きしないと給湯器にたどり着けない場所
  • マンションのベランダで、洗濯機や荷物の裏に隠れてしまっている状態
  • 高所(脚立を使わないと届かない位置)に壁掛け設置されている場合

私が以前担当した現場では、給湯器の前に大きな物置が後から設置されており、給湯器のフロントパネル(前面のカバー)を開けることすらできない状態でした。この時は、まず物置の中身を出して移動させるという大掛かりな作業が発生し、通常の作業費に加えて「特殊作業費」をいただかざるを得ませんでした。
もしご自宅の給湯器が作業しにくい場所に設置されている場合は、見積もりの段階で業者にその旨を伝えておくと、後々のトラブルや予想外の追加費用を防ぐことができます。

中和器は自分で購入してDIYで交換・掃除できる?

中和器のDIY交換は絶対におすすめしません。部品自体の一般販売が少なく手配が困難なうえ、交換後に給湯器内部の電装基板を操作してエラー履歴をリセットする専門的な手順が必須だからです。また、ガス機器の不適切な分解はガス漏れや火災などの重大な事故につながる危険があるため、必ず専門業者へご依頼ください。

部品の手配が難しく専門的な知識が必要

インターネットで検索すると、「中和器の交換を自分でやってみた」というようなDIYのブログ記事や動画を見かけることがあります。それらを見て、「部品代だけで安く済むなら、自分でやってみようかな」と考える方もいらっしゃることもあります。しかし、プロの視点から断言します。中和器のDIY交換は非常にハードルが高く、リスクしかありません。

まず第一の壁が「部品の入手」です。中和器はホームセンターや家電量販店では絶対に売っていません。Amazonなどのネット通販で一部出回っていることもありますが、給湯器は機種や製造年によって内部の構造が細かく異なり、適合する中和器の型番も多岐にわたります。素人の方がご自身の給湯器にぴったり合う中和器の品番を特定し、間違いなく取り寄せることは至難の業です。間違った部品を無理やり取り付けると、水漏れの原因になります。

また、「中和器の中身(炭酸カルシウム)だけを取り出して掃除したり、詰め替えたりできないか」と考える方もいますが、これも不可能です。中和器はプラスチックのケースで密閉されており、分解して中身を入れ替えるような構造にはなっていません。無理にこじ開ければケースが割れて使い物にならなくなります。

交換後の基盤リセット操作はプロにしかできない

仮に、奇跡的に正しい中和器を入手し、ドライバーを使って古い部品を外し、新しい部品を取り付けることができたとしましょう。物理的な交換作業が完了しても、それだけでは給湯器は正常に動きません。ここがDIY最大の落とし穴です。

新しい中和器を取り付けた後は、給湯器の頭脳である「電装基板」に対して、「新しい部品に交換したから、燃焼時間のカウントをゼロに戻してね」という指示を送る必要があります。これを「エラーのクリア(リセット)操作」と呼びます。
このリセット操作は、リモコンのボタンを特定の順番で押したり、給湯器本体の基板上にある小さなディップスイッチを切り替えたりする、いわば「隠しコマンド」のような専門的な手順が必要です。この手順はメーカーのサービスマニュアル(修理業者向けの機密資料)にしか記載されておらず、一般には公開されていません。

物理的に部品を交換しても、この基板リセットを行わなければ、コンピューターは「まだ寿命が来た部品のままだ」と認識し続け、920エラーや930エラーを出し続けます。結局、自分ではどうにもならなくなり、泣く泣く私ども業者を呼んでリセット作業だけを依頼されるお客様もいらっしゃいますが、その場合でも出張費や点検費用はかかってしまいます。

ガス機器の自己修理は重大な事故につながる危険性

DIYをおすすめしない最大の理由は「安全性」です。給湯器は、ガス、水、電気という、取り扱いを間違えれば大事故につながる3つの要素が密集している精密機器です。

中和器の交換作業自体はガス管を直接いじるものではありませんが、給湯器のフロントパネルを開け、狭い内部に手を入れて作業を行う必要があります。その際、誤ってガス管の接続部を緩めてしまったり、バーナー付近の配線を傷つけてしまったりするリスクが常に伴います。万が一ガス漏れが発生すれば、一酸化炭素中毒や爆発・火災といった取り返しのつかない重大事故に直結します。

私たちプロの修理技術者は、メーカーの厳しい研修を受け、ガス機器に関する専門資格(ガス機器設置スペシャリストなど)を保有した上で作業にあたっています。作業後には必ず専用の検知器を使ってガス漏れがないか、水漏れがないかを厳重にチェックします。
数千円の作業費をケチってご自身とご家族の命を危険に晒すようなことは絶対にやめてください。「餅は餅屋」という言葉の通り、給湯器の修理はプロに任せるのが一番安全で確実です。

給湯器の設置から10年経過している場合は修理と交換どちらが良い?

給湯器の設置から7〜10年以上経過している場合、中和器の交換ではなく給湯器本体の買い替えを強く推奨します。10年近く経つと中和器以外の熱交換器や電装基板なども寿命を迎え、「エラー888(点検時期のお知らせ)」が出ることも多いです。修理を繰り返すより、新品に交換した方が長期的なコストを抑えられます。

寿命の目安となる「エラー888」との関係

920エラーが出た際、お客様に必ず確認していただきたいことがあります。それは「この給湯器を設置してから何年経っていますか?」という点です。実は、中和器の寿命が来るタイミングと、給湯器本体の寿命が来るタイミングは非常に密接に関係しています。

一般的なご家庭の使用頻度において、中和器が寿命(約50時間の猶予期間を含む)を迎えるのは、給湯器を設置してからおおよそ7年から10年目あたりが多いというデータがあります。そして、各給湯器メーカーが定めている「設計上の標準使用期間(安全に使える期間の目安)」も、ちょうど「10年」に設定されています。

設置から約10年が経過すると、リンナイの給湯器では「888」というエラーコードがリモコンに表示されることがあります。これは「法定点検の時期が来ましたよ」というお知らせサインです。現場では、920エラーと888エラーがほぼ同時期に、あるいは数ヶ月の差で立て続けに表示されるケースを数え切れないほど見てきました。つまり、920エラーが出たということは、中和器だけでなく、給湯器本体そのものが寿命のサインを出している可能性が高いのです。

中和器だけ直しても他の部品が壊れるリスク

設置から10年近く経過している給湯器に920エラーが出た場合、約2万円を支払って中和器だけを新品に交換する(修理する)という選択は、プロの目から見るとあまりおすすめできません。なぜなら、「いたちごっこ」になるリスクが非常に高いからです。

給湯器の内部には、お湯を温める「熱交換器」、ガスと空気を混ぜる「ファンモーター」、全体を制御する「電装基板」など、重要な部品がいくつも詰まっています。10年間過酷な環境で働き続けたこれらの部品は、どれも経年劣化でボロボロになっています。
私が担当したお客様の中には、「とりあえず今回は安く済ませたいから中和器だけ交換して」とご要望され、その通りに修理を行った方がいらっしゃいました。しかし、そのわずか3ヶ月後、「今度は基板がショートしてお湯が出なくなった」と再びご連絡をいただきました。基板の交換にはさらに数万円がかかり、結局「こんなに修理代がかさむなら、最初から本体ごと買い替えればよかった…」と深く後悔されていました。

10年経過した給湯器は、メーカー側でも補修用部品の製造・保管期間(通常は製造終了から10年)が終了しつつあり、次に別の箇所が壊れた時には「部品がないので修理不可能です」と言われてしまうリスクも抱えています。

長期的なコストを考えた本体交換のメリット

もしご自宅の給湯器が設置から7〜10年以上経過しており、920エラーが出たのであれば、これを機に「給湯器本体の交換(買い替え)」を前向きに検討されることをおすすめします。

確かに、給湯器本体の交換には、機種にもよりますが約15万円〜25万円程度のまとまった初期費用がかかります。中和器の修理代(約2万円)と比較すると高く感じることもあります。しかし、長期的な視点で見れば、圧倒的にメリットが大きいです。

本体交換のメリット
・新品になるため、今後約10年間は故障の不安なく安心してお湯が使える。
・最新機種はさらに省エネ性能が向上していることが多く、毎月のガス代が安くなる可能性がある。
・多くの販売業者が無料で10年間の工事保証や製品保証をつけてくれる。

「修理か交換か」で迷った際は、最終的な判断は専門業者にご相談ください。信頼できる業者であれば、給湯器の製造年月や全体的な劣化具合をプロの目で確認し、お客様のライフスタイルやご予算に合わせた最適なプランを提案してくれるはずです。

リンナイ給湯器の920エラーに関するよくある質問(FAQ)

お客様からよくいただくリンナイ給湯器の920エラーに関するご質問をまとめました。他メーカーでのエラーコードの共通性、賃貸物件にお住まいの場合の対処手順、そして中和器の寿命を少しでも延ばすための使い方など、現場でよく聞かれる疑問についてプロの視点からわかりやすくお答えしていきます。

Q1: リンナイ以外のメーカーでも920エラーは出ますか?

結論:はい、ノーリツやパロマなど主要な他メーカーでも共通して出ます。

給湯器のエラーコードは、業界団体によってある程度統一された規格が設けられています。そのため、エコジョーズ給湯器における「中和器の寿命予告」を示すエラーコードは、リンナイだけでなく、ノーリツ、パロマ、パーパスといった日本の主要メーカーで共通して「920(または92)」が使用されています。
メーカーによって呼び方が「中和器寿命予告」だったり「中和剤減少報知」だったりと若干のニュアンスの違いはありますが、意味するところは全く同じです。対処法や放置した際のリスク(930エラーへの移行)も共通していますので、他メーカーをお使いの方も本記事の内容をそのまま参考にしていただけます。

Q2: 賃貸アパートで920エラーが出た場合はどうすればいいですか?

結論:ご自身で修理業者を呼ぶ前に、必ず管理会社や大家さんに連絡してください。

賃貸マンションやアパートに備え付けられている給湯器は、入居者様のものではなく大家さんの所有物(設備)です。そのため、経年劣化による中和器の寿命や故障の修理費用は、原則として大家さん側が負担することになっています。
もし920エラーが出たからといって、入居者様が勝手にインターネットで見つけた修理業者を呼んで交換してしまうと、後から「指定の業者じゃなかったから修理代は払えない」とトラブルになるケースがあります。エラーが出た時点でお湯はまだ使えるはずですので、慌てずにまずは管理会社や大家さんに「給湯器に920というエラーが出ています。修理の手配をお願いします」と連絡を入れて指示を仰いでください。

Q3: 中和器の寿命を延ばす使い方はありますか?

結論:お湯の無駄遣いを減らすことが、結果的に中和器の寿命を延ばす唯一の方法です。

中和器の寿命は、給湯器でガスを燃焼させた時間(お湯を作った量)に比例して短くなります。そのため、何か特別なメンテナンスや裏技があるわけではなく、シンプルに「お湯を大切に使うこと」が寿命を延ばすことにつながります。
例えば、シャワーを出しっぱなしにしない、洗い物をする時は低温に設定する、お風呂の追いだき回数を減らすために家族が続けて入浴する、といった日常のちょっとした省エネ行動が効果的です。ガスの消費量を抑えることは、中和器の延命だけでなく、毎月のガス代の節約にも直結するため一石二鳥です。ただし、給湯器の設計上、いつかは必ず寿命が来る部品であることはご理解ください。

リンナイ給湯器の920エラーへの正しい対処法まとめ

今回は、リンナイをはじめとするエコジョーズ給湯器で発生する「920エラー」について、その原因や対処法、修理費用の相場などをプロの目線から詳しく解説してきました。

突然リモコンに見慣れないエラーが点滅すると焦ってしまいますが、920エラーは「中和器という部品の寿命が近づいていますよ」という給湯器からの親切なお知らせです。今すぐ爆発したり、今日明日でお湯が全く出なくなったりするような危険な状態ではありませんので、まずは深呼吸して落ち着いてください。

しかし、お湯が使えるからといって放置するのは絶対に禁物です。約1〜2ヶ月(燃焼約50時間)使い続けると、最終通告である「930エラー」に変わり、給湯器が完全に停止して過酷なお湯なし生活を強いられることになります。特に冷え込む冬場は業者の手配も難航するため、まだ余裕がある920エラーの段階で、速やかにメーカーや信頼できる給湯器専門業者へ連絡することが何よりも大切です。

また、設置から10年近く経過している給湯器の場合は、中和器だけを修理するよりも、思い切って給湯器本体を新しく交換した方が、今後の故障リスクや修理費用を抑えられ、安心して快適な生活を送ることができます。

お湯は私たちの健康で清潔な暮らしを支える大切なライフラインです。リンナイ給湯器の920エラーが出たら、この記事を参考にしていただき、ご自身のご家庭にとって最適な選択をしていただければ幸いです。もし判断に迷うことがあれば、無理をせず専門業者へご相談ください。

佐藤 裕

この記事の執筆者

佐藤 裕

株式会社生活水道センター 本部長

保有資格:給水装置工事主任技術者
ガス可とう管接続工事監督者 登録番号:13250405

株式会社生活水道センター 本部長。30年間、水回りトラブルの最前線でお客様の「困った」に向き合い続けてきた専門家。数えきれないほどの相談実績から、給湯器トラブルの背後にある不安を汲み取り、迅速かつ的確なアドバイスを行う。近年は全国の協力店・修理業者とのネットワーク構築にも尽力し、日本各地で質の高いサービスが提供できる体制づくりに奔走。「本当に役立つ、嘘のない情報」を届けることをモットーとしている。

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