【完全解決】ノーリツ給湯器エラー110の原因と自力でできるエア抜き手順

【完全解決】ノーリツ給湯器エラー110の原因と自力でできるエア抜き手順

こんにちは。給湯器修理.comです。

濱本 孝一

この記事の監修者

濱本 孝一

株式会社 生活水道センター 代表取締役

保有資格:給水装置工事主任技術者
ガス機器設置スペシャリスト
2級管工事施工管理技士 第04910号

株式会社生活水道センター 代表取締役。創業32年の節目を迎え、全国に水道局指定工事店のネットワークを広げる水回りのスペシャリスト。「日本の住宅寿命を延ばす」という使命感のもと、早期メンテナンスの重要性を提唱し続けている。現場の叩き上げでありながら、メーカー事業「ドットデザイン」での製品開発や、次世代の職人育成など、業界の近代化に尽力。

この記事でわかること

  • ノーリツ給湯器でエラー110が表示される根本的な原因と仕組み
  • ご自宅の給湯器が自分でエア抜きできる機種かどうかの見分け方
  • 屋外設置型の石油給湯器における安全で確実なエア抜き手順
  • 自力で直らない場合の対処法と修理・交換にかかる費用相場

ノーリツ給湯器でエラー110が表示される意味と原因は何ですか?

ノーリツ給湯器のエラー110は「点火不良(初期炎非検知)」を意味し、機器が火を着けられなかった状態を示します。現場で最も多い原因は、灯油タンクを空にしてしまったことによる送油管への空気混入(エア噛み)です。ガス給湯器でも発生しますが、灯油式の場合はエア抜き作業をしないと復旧しないケースがほとんどです。

エラー番号110は「点火不良(初期炎非検知)」のサイン

給湯器のリモコンに「110」という数字が点滅しているのを見ると、多くの方が「故障してしまったのではないか」と不安に思われることなります。ノーリツ製の給湯器において、このエラーコード110は「燃焼制御装置異常」、より具体的に言えば「初期炎非検知」という状態を表しています。簡単に言うと、給湯器が一生懸命に火を着けようと作動したものの、何らかの理由でバーナーに着火できなかった、あるいは着火した火をセンサーが感知できなかったというサインです。

給湯器は、安全のために非常に精密なセンサーを備えています。もし火が着いていないのに燃料だけを送り続けてしまえば、機器内部に燃料が充満し、爆発や火災といった取り返しのつかない大事故に繋がる恐れがあります。そのため、点火動作を行っても炎が確認できない場合は、安全装置が瞬時に働いて燃料の供給をストップし、エラー110を表示して運転を強制停止させる仕組みになっているのです。つまり、このエラーは給湯器が正常に安全確認を行っている証拠でもあります。

一番多い原因は「灯油切れ」による送油管への空気混入(エア噛み)

エラー110が表示される原因はいくつかありますが、私たちが修理の現場に駆けつけて最も多く目にするのが、石油(灯油)給湯器における「灯油切れ」です。「うっかり灯油タンクを空にしてしまった」というご経験はないでしょうか。灯油タンクが完全に空になると、給湯器へと繋がる細い管(送油管)の中に、灯油の代わりに空気が吸い込まれてしまいます。

その後、慌てて灯油販売店に配達を頼んだり、ご自身でポリタンクから灯油を補充したりしても、すぐにはお湯が出ません。なぜなら、送油管の中に入り込んだ空気が栓のような役割を果たしてしまい、給湯器本体まで灯油が届かなくなってしまうからです。この現象を、私たち専門業者の間では「エア噛み」と呼んでいます。給湯器のバーナーまで燃料である灯油が到達しなければ、当然火は着きませんから、結果としてエラー110が表示され続けることになります。

ガス給湯器と石油給湯器でのエラー110の違い

実は、このエラー110は灯油を使う石油給湯器だけでなく、都市ガスやプロパンガスを使用するノーリツ製のガス給湯器でも表示されることがあります。しかし、ガスの場合は「エア抜き」という作業は存在しません。ガス給湯器でエラー110が出た場合は、ガスメーターの安全装置が働いてガスが遮断されていたり、屋外のガス栓が閉まっていたり、あるいは台風などの強風で排気口から風が吹き込んで一時的に火が消えてしまったケースがほとんどです。

一方で、石油給湯器の場合は、一度配管内に空気が入ってしまうと、物理的にその空気を外へ逃がしてあげる作業(エア抜き)が必須となります。検索エンジンで「ノーリツ 給湯器 エラー 110 エア抜き」と調べてこの記事に辿り着いた方の多くは、石油給湯器をお使いで、灯油切れの後にトラブルに見舞われていることとお察しします。

【体験談】真冬の夜に多発する灯油切れトラブルの現場から

私が現場で修理を担当していると、このエラー110での出張依頼は、圧倒的に真冬の夜間に集中します。ある年の12月下旬、外気温が氷点下に迫る夜の8時頃に「お風呂に入ろうとしたらお湯が出ず、110という数字が点滅している。灯油はさっき慌てて入れたのに!」というSOSのお電話をいただきました。

急行してみると、お客様は寒空の下、懐中電灯を片手に給湯器の前で途方に暮れていらっしゃいました。灯油タンクのゲージを見ると、確かについ先ほど補充されたようで満タンになっています。しかし、給湯器のカバーを開けて点検すると、案の定、送油管の中に空気がたっぷりと噛んでいました。「灯油を入れたからもう大丈夫だと思ったのに…」と肩を落とすお客様に、「灯油の通り道に空気が入り込んでしまっているんですよ。今から空気を抜きますから、すぐにお風呂に入れるようになりますよ」とお声がけし、手早くエア抜き作業を行いました。ボイラーが「ゴォーッ」と力強い音を立てて燃焼を始めた時の、お客様の安堵した表情は今でも忘れられません。このような現場経験から、エア抜きの正しい知識をお伝えすることの重要性を痛感しています。

灯油を補充してもノーリツ給湯器のエラー110が消えずエア抜きが必要なのはなぜですか?

灯油を補充しただけでは、送油管に入り込んだ空気が抜けず、給湯器内の電磁ポンプまで灯油が到達しないためエア抜きが必要です。空気には逃げ場がないため、灯油の圧力だけでは押し出せません。現場でも「満タンにしたのに動かない」という相談が絶えませんが、適切な手順で空気を抜かなければ点火不良は解消しません。

灯油の圧力だけでは配管内の空気が抜けない仕組み

「灯油タンクを満タンにしたのだから、その重み(圧力)で自然に空気が押し出されて、給湯器まで灯油が届くはずだ」と考える方は少なくありません。しかし、実際の給湯器の配管構造はそれほど単純ではありません。灯油タンクから給湯器本体へ繋がる送油管は、地中を這っていたり、途中で曲がりくねっていたりします。そして何より、給湯器側は密閉された回路になっています。

管の中に入り込んだ空気の気泡は、逃げ場がない状態です。注射器の先端を指で塞いでピストンを押しても、中の空気が圧縮されるだけで外には出ないのと同じ原理です。灯油の重み(水頭圧といいます)がいくら配管にかかっても、出口が塞がっている以上、空気は管の中に留まり続けます。そのため、配管の途中にある「オイルストレーナー」と呼ばれる部品のネジを緩め、人為的に空気の逃げ道を作ってあげる必要があります。これが「エア抜き」という作業の目的です。

空気が入ったまま(エア噛み)だと電磁ポンプが作動しない

給湯器の内部には、「電磁ポンプ」という部品が搭載されています。これは、灯油を一定の圧力で吸い上げ、霧状にしてバーナーへと噴射するための心臓部とも言える重要な部品です。この電磁ポンプは、液体(灯油)を吸い上げるように設計されており、気体(空気)を吸い込むことは想定されていません。

もし、エア抜きをせずに無理に給湯器のスイッチを何度も入れ直して点火を試みるとどうなるでしょうか。電磁ポンプは、空気を吸い込んで空回り(キャビテーション)を起こします。この時、給湯器から「カンカンカン!」「カタカタカタ!」といった、普段は聞かないような異常なほどの大きな金属音が鳴り響くことがあります。これはポンプが悲鳴を上げている状態です。空回しを長く続けると、ポンプ内部が摩擦で高温になり、最悪の場合は焼き付いて故障してしまいます。こうなると、単なる灯油切れのトラブルから、数万円単位の高額な部品交換修理へと発展してしまうため、絶対に無理なリセットの繰り返しは避けてください。

灯油タンクの残量が少ないとエア抜きがうまくいかない理由

エア抜き作業を行う際、もう一つ重要なポイントがあります。それは「灯油タンクに十分な量の灯油が入っているか」ということです。時折、「ポリタンク1つ分(18リットル)だけとりあえず補充した」という状態でエア抜きを試みる方がいらっしゃいますが、これではうまくいかないケースが多々あります。

エア抜きは、タンク内の灯油の重み(圧力)を利用して、配管内の空気を押し出す作業です。タンク内の灯油の量が少ないと、押し出す力が弱くなり、配管の途中に引っかかっている空気をストレーナーまで押し上げることができません。特に、灯油タンクの設置位置が給湯器よりも低い場所にある場合や、距離が離れている場合は、より強い圧力が必要になります。そのため、エア抜きを行う前には、灯油タンクの半分以上、できれば満タンに近い状態まで灯油を補充しておくことが成功の秘訣です。

【体験談】「満タンにしたのになぜ?」と焦るお客様への説明

ある日、ご年配のお客様から「灯油屋さんに来てもらって、タンクはさっき満タンになった。でもお湯が出ないから、給湯器が壊れちゃったみたいだ」と落胆した声でお電話がありました。現場に到着し、私が工具箱からマイナスドライバーを取り出してオイルストレーナーの前にしゃがみ込むと、お客様は不思議そうな顔をされていました。

「お客様、給湯器は壊れていませんよ。ただ、灯油の通り道が空気で渋滞しているだけなんです」と説明しながらネジを緩めると、「プシュッ、プシュッ」という音と共に、カニの泡のようなブクブクとした空気が混じった灯油が出てきました。「ほら、この空気が邪魔をして、灯油がボイラーの中に入れなかったんです」とお見せすると、「なるほど!ストローでジュースを飲む時に、途中に穴が空いて空気を吸っちゃうと飲めないのと同じだね」と、非常に的確な例えで納得してくださいました。数分後、無事にお湯が出ると「買い替えなきゃいけないかと思ってヒヤヒヤしたよ」と笑顔を見せていただき、私もホッと胸をなでおろしました。仕組みがわかれば、エラー110も決して怖いものではありません。

自宅のノーリツ給湯器は自分でエア抜きできる機種でしょうか?

ご自宅の機種が自分でエア抜き可能か判断するには、屋外に卵ほどの大きさのオイルストレーナーがあるか確認してください。屋外にあり空気抜きネジが見えれば作業可能ですが、屋内設置型や本体内蔵型の場合は灯油漏れによる火災リスクが極めて高いため、必ず専門業者へご依頼ください。特殊な操作が必要な機種もあります。

オイルストレーナー(フィルター)が屋外の目視できる場所にあるか確認する

エア抜き作業をご自身で行う前に、絶対に確認していただきたいことがあります。それは、「ご自宅の給湯器が、素人でも安全にエア抜きできる構造になっているか」という点です。すべてのノーリツ給湯器が同じ手順でエア抜きできるわけではありません。

まずは、給湯器の周辺を確認してください。灯油タンクから給湯器本体へと繋がる細い銅管(またはゴム管)を辿っていくと、給湯器の付け根あたりに、透明なプラスチックや金属でできた卵ほどの大きさの部品が付いているはずです。これが「オイルストレーナー(灯油のフィルター)」です。この部品が給湯器の「外側(屋外)」に露出しており、上部にマイナスドライバーで回せそうなネジ(空気抜きネジ)がついている場合は、ご自身でエア抜き作業を行うことが可能です。一般的な屋外設置型の石油給湯器の多くは、この構造を採用しています。

チェックポイント

  • 灯油タンクから給湯器までの配管を目で辿る
  • 給湯器の外部に卵型の部品(オイルストレーナー)があるか
  • ストレーナーの上部にマイナスネジがついているか

ガス化比例制御バーナー搭載機など、特殊な操作が必要な機種の見分け方

オイルストレーナーが屋外にある場合でも、注意が必要な機種が存在します。ノーリツの石油給湯器の中には、「OTQ-Gシリーズ」などに代表される「ガス化比例制御バーナー」を搭載した高性能な機種があります。これらの機種は、燃焼の仕組みが従来のものとは異なり、非常にデリケートな構造をしています。

これらの特殊な機種では、取扱説明書において「ストレーナーのネジを回してのエア抜きは絶対に行わないでください」と明記されていることがあります。代わりに、リモコンの電源を入れたり切ったりする操作や、お湯の蛇口を開け閉めする操作を繰り返すことで、給湯器内部のプログラムが自動的にエアを抜く仕組みになっています。ご自身の給湯器がどのタイプに該当するのかは、本体前面に貼られている型番シールを確認し、お手元の取扱説明書、またはノーリツの公式サイトで品番を検索して確認することが最も確実です。「よくわからない」という場合は、無理にネジを回さず、メーカーのコンタクトセンターや専門業者に相談してください。

屋内設置型や本体内蔵型の場合は業者への依頼を推奨する理由

寒冷地やマンションなどでよく見られる「屋内設置型(FF式・FE式)」の給湯器や、一部のコンパクトな機種では、オイルストレーナーが給湯器の「カバーの内部」に隠れてしまっていることがあります。外から配管を辿っても、そのまま本体の中へ入ってしまっている場合は、このタイプに該当します。

このような機種の場合、エア抜きをするためにはドライバーで給湯器のフロントカバーを取り外す必要がありますが、これは一般の方には絶対におすすめしません。なぜなら、機器の内部で空気抜きネジを緩めた際、溢れ出た灯油を完全に拭き取ることが非常に困難だからです。機器内部には、基板や配線など、引火の原因となる電気部品が密集しています。拭き残した灯油に引火すれば、家屋を巻き込む深刻な火災に直結します。ノーリツの公式見解でも、内部にストレーナーがある機種は「訪問修理(専門業者による対応)」が必須とされています。命と財産を守るためにも、DIYの範囲を超えていると判断してください。

【体験談】無理なDIYで灯油が床に漏れ出し、大惨事になった事例

私が過去に対応した中で、非常に危険で、かつお客様にとって高くついてしまった事例をご紹介します。ある冬の日、「自分でエア抜きをしようとしたら、灯油が止まらなくなって床がビショビショになってしまった!」というパニック状態のお電話を受けました。

現場は屋内にボイラー室があるお宅でした。お客様はインターネットで「ネジを緩めれば空気が抜ける」という情報だけを見て、ボイラーのカバーを外し、内部のストレーナーのネジを緩めてしまったのです。しかも、緩めすぎてネジが外れて落ちてしまい、元に戻せなくなってしまいました。結果として、タンク内の灯油が重力で次々と溢れ出し、ボイラー室の床下に大量の灯油が染み込んでしまいました。

ボイラーの修理自体はネジを締めて清掃するだけで済みましたが、問題は床下に染み込んだ灯油の強烈な臭いでした。結局、お客様は特殊清掃の業者を手配し、床板の一部を剥がして脱臭作業を行うことになり、数十万円という莫大な費用と時間を費やすことになってしまいました。「ネットの情報を鵜呑みにして、無理をするんじゃなかった」と深く後悔されていた姿が忘れられません。屋内での灯油漏れは、想像以上の被害をもたらします。少しでも不安を感じたら、迷わずプロを頼ってください。

屋外設置型のノーリツ石油給湯器の具体的なエア抜き手順はどうすればいいですか?

屋外設置型のエア抜きは、まずマイナスドライバーと不要な布を用意し、タンク側の送油バルブが開いているか確認します。次にオイルストレーナー上部の空気抜きネジを緩め、泡が出なくなり灯油が連続して染み出てきたら確実にネジを締めます。作業時間は約10分ですが、灯油こぼれによる引火には十分に注意してください。

エア抜き作業の前に準備するもの(マイナスドライバー・ウエスなど)

ご自宅の給湯器が屋外設置型であり、オイルストレーナーが外部にあることを確認できたら、いよいよエア抜き作業に入ります。作業をスムーズかつ安全に行うために、まずは適切な道具を準備しましょう。

  • マイナスドライバーまたはプラスドライバー: 空気抜きネジを回すために使用します。ネジの頭の形状に合わせて選びますが、多くはマイナスドライバーが適しています。サイズが合わないものを使うとネジ山を潰してしまうため、ピッタリと合うものを選んでください。
  • ウエス(不要な布きれ)やボロタオル: 数枚用意してください。溢れ出た灯油を受け止めたり、周囲に飛び散った灯油を拭き取ったりするために必須です。ティッシュペーパーは破れて配管に付着する恐れがあるため避けてください。
  • ビニール袋: 灯油を拭き取った後の臭いウエスを密閉して捨てるために使います。
  • ゴム手袋: 灯油が手に付着すると臭いが取れにくく、肌が荒れる原因になるため、着用をおすすめします。

ステップ1:灯油タンク側の送油バルブが開いているか確認する

作業を始める前に、給湯器のリモコンの電源は必ず「切(OFF)」にしておいてください。作動中にエア抜きを行うと危険です。

次に、灯油タンクの根元を見てください。灯油を給湯器へ送るための「送油バルブ(コック)」があるはずです。このバルブが「開(オープン)」の状態になっているかを確認します。灯油切れを起こした際、ご自身で一旦バルブを閉めてしまっている方が意外と多くいらっしゃいます。バルブが閉まったままでは、いくらエア抜きをしようとしても灯油は流れてきません。バルブのハンドルが配管と平行になっていれば「開」、直角になっていれば「閉」です(機種によって表記がある場合はそれに従ってください)。

ステップ2:オイルストレーナーの空気抜きネジを緩める手順

準備が整ったら、給湯器本体の根元にあるオイルストレーナーの前にしゃがみ、ストレーナーの下にウエスを厚めに敷き詰めます。そして、ストレーナーの上部にある「空気抜きネジ」にドライバーを当てます。

【重要】ネジは絶対に「完全に外さない」こと
ネジを反時計回りにゆっくりと緩めていきます。この時、絶対にネジを最後まで回して取り外さないでください。2〜3回転ほど緩めるだけで十分です。完全に外してしまうと、灯油の圧力でネジが吹き飛び、灯油が噴水のように溢れ出して止まらなくなります。

ネジを少し緩めると、「プシュッ」という空気の抜ける音と共に、気泡(カニの泡のようなブクブクとした状態)が混じった灯油がネジの隙間からじわじわと溢れ出てきます。この気泡こそが、エラー110を引き起こしていた「エア噛み」の正体です。溢れてきた灯油は、用意したウエスでこまめに吸い取ってください。

ステップ3:泡が出なくなり、灯油が連続して出たらネジを確実に締める

しばらくそのままの状態を保ち、出てくる灯油の様子を観察します。最初は空気の泡がブクブクと混じっていますが、数十秒から数分待つと、次第に泡がなくなり、透明な灯油だけがツーッと連続して流れ出るようになります。これが「配管内の空気が完全に抜けきった」という合図です。

泡が完全に出なくなったことを確認したら、ドライバーを使って空気抜きネジを時計回りにしっかりと締め直します。緩すぎると後から灯油が漏れて引火の原因になりますので、確実に締めてください。ただし、力任せに締めすぎると部品が割れる恐れがあるため、「キュッ」と止まるところで留めます。

最後に、ストレーナーの周囲や配管に付着した灯油を、乾いたウエスで一滴残らず綺麗に拭き取ります。拭き残しがあると、給湯器が点火した際の熱で引火する危険性があるため、念入りに行ってください。
すべて完了したら、家の中に戻ってリモコンの電源を入れ、お湯の蛇口を開けてみてください。エラー110が出ず、無事にお湯が出れば作業は成功です。

【体験談】ネジが固着していて回らない!現場で遭遇するヒヤリハット

エア抜きの手順自体はシンプルですが、現場では予期せぬトラブルが起こることがあります。最も多いのが「空気抜きネジが固着して回らない」というケースです。長年(5年以上など)一度も触られていないストレーナーのネジは、サビや汚れ、あるいは前回強く締め付けすぎたことが原因で、石のように固くなっていることがあります。

ある現場で、お客様がご自身でエア抜きを試みたもののネジが回らず、無理に力を入れた結果、ネジの頭の溝(プラスやマイナスの溝)を完全に潰して(舐めて)しまい、どうにもならなくなって私を呼んだことがありました。こうなってしまうと、ドライバーでは回せません。私たちは特殊な工具(バイスプライヤーなど)を使ってなんとか回すか、最悪の場合はストレーナーの部品ごと丸ごと交換しなければならなくなります。部品代と作業費で余計な出費がかかってしまいます。

もしご自身でドライバーを当ててみて、「少し力を入れても全く回る気配がない」と感じたら、それ以上無理をするのはやめてください。潤滑スプレーを吹いてもダメな場合は、プロの業者に任せるのが一番安全で安上がりな選択です。

自分でエア抜きをしてもノーリツ給湯器のエラー110が直らない場合はどうすればいいですか?

正しい手順でエア抜きを行ってもエラー110が解消しない場合、点火トランスや電磁ポンプなどの部品故障、または灯油タンクへの水混入が疑われます。無理にリセットを繰り返すとポンプが焼き付く恐れがあるため、作業を中止して専門業者に点検を依頼してください。現場でも基板の劣化が原因だったケースが多々あります。

エア抜きが不十分、または別のエラーコード(120など)に変わった場合

「記事の通りにエア抜きをして、透明な灯油が出るまで確認したのに、やっぱりエラー110が出てお湯が出ない」というケースも少なからず存在します。まず考えられるのは、配管が非常に長い場合や高低差がある場合など、一度のエア抜きでは空気が抜けきっておらず、まだ配管の途中に空気が残っている可能性です。この場合は、もう一度だけエア抜き作業を試してみてください。

また、エア抜き後に再度運転させた際、エラーコードが「110」から「120」に変わることがあります。エラー120は「途中失火」を意味し、一旦火は着いたものの、途中で消えてしまった状態を示します。これも、配管内に残っていた小さな空気の塊がバーナーに到達したことで一瞬火が消えたおそれがあります。この場合も、何度かお湯を出そうと試みる(正常な灯油が届くのを待つ)ことで復旧することがあります。ただし、3〜4回リセットしても直らない場合は、別の原因を疑う必要があります。

灯油タンクに水が混入している(水抜きが必要なケース)

エア抜きをしても点火しない場合、現場でよく判明する原因の一つが「灯油タンクへの水混入」です。屋外に設置されている灯油タンクは、昼夜の寒暖差によってタンク内部に結露が発生します。この結露による水滴が長い年月をかけてタンクの底に溜まっていくのです(水は灯油よりも重いため、底に沈殿します)。

灯油切れを起こしてタンクの底ギリギリまで燃料を使ってしまった際、この溜まっていた「水」を給湯器が吸い上げてしまうことがあります。水が給湯器のバーナーまで到達してしまえば、当然火は着きませんし、エラー110や120が頻発します。ストレーナーの透明なカップ部分を見て、底の方に丸い水滴のようなものが分離して溜まっていれば、水混入のサインです。この状態になってしまうと、ストレーナーの掃除だけでなく、灯油タンク自体の「水抜き」作業や、給湯器内部の配管の清掃が必要になるため、一般の方では対処が難しく、専門業者によるメンテナンスが必須となります。

電磁ポンプや点火トランス、電装基板の故障が疑われる場合

灯油も十分にあり、空気も抜けていて、水も混入していない。それでもエラー110が出る場合は、いよいよ給湯器内部の「部品の故障」を疑わなければなりません。点火不良を引き起こす代表的な部品の故障は以下の通りです。

  • 電磁ポンプの故障: 灯油を吸い上げるポンプが寿命を迎えたり、空回しによって焼き付いたりして動かなくなっている状態です。
  • 点火トランス・点火プラグの不具合: ガスコンロの「カチカチ」という火花を散らす部品と同じ役割を持つ部品です。これが劣化して火花が飛ばなくなると、着火できません。
  • 炎検出器(フレームロッド・フォトトランジスタ)の汚れ・故障: 実際には火が着いているのに、センサーがススで汚れていたり故障していたりして「火が着いていない」と誤検知し、エラーを出して停止させてしまうケースです。
  • 電装基板の故障: 給湯器の頭脳であるコンピューター基板の劣化により、各部品に正しい指令が出せなくなっている状態です。

これらの部品故障は、テスターを使った通電確認や専門的な診断が必要となるため、メーカーのサービスマンや資格を持った修理業者に依頼するしかありません。

【体験談】空回しを続けて電磁ポンプが焼き付いてしまったケース

「どうしても今日お風呂に入りたいから」と、エラー110が出るたびにリモコンの電源を切って入れ直し、無理やり点火させようと粘ってしまったお客様の現場での出来事です。お客様は「20回くらいリセットを繰り返したら、ボイラーからカンカンカン!とものすごい音がして、焦げ臭い匂いがしてきた」と青ざめた表情でおっしゃっていました。

私がカバーを開けて点検すると、電磁ポンプが異常な熱を持っており、完全に焼き付いてショートしていました。本来であれば、エア抜き作業だけで無料で(あるいは数千円の出張費のみで)解決できたはずの灯油切れトラブルが、お客様の無理な操作によって電磁ポンプの交換という数万円の修理に発展してしまったのです。

「エラー表示は給湯器からの『これ以上動かすと危険だよ』というメッセージです。3回リセットしてもダメなら、それ以上は絶対に触らないでくださいね」とご説明すると、お客様は深く頷いていらっしゃいました。皆様も、どうか無理な連続運転だけは避けてください。

費用は機種・設置状況で変わります

正確な料金は現地確認が確実です。無料見積もり・ご相談を24時間受付中。まずはお気軽にお問い合わせください。

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給湯器の修理や交換を業者に依頼する場合の費用相場はいくらですか?

ノーリツ給湯器のエラー110の修理費用は、部品代や出張費を含め約15,000円から110,000円が一般的な相場です。ただし設置から10年以上経過している場合は他の部品も寿命を迎える可能性が高いため、本体交換を推奨します。繁忙期である冬場は料金が変動することもあるため、事前の見積もりが重要になります。

①修理料金の内訳(部品代・技術料・出張診断料)

自力でのエア抜きで解決できず、専門業者に修理を依頼することになった場合、最も気になるのが「いくらかかるのか」という点なります。給湯器の修理費用は、一般的に以下の3つの項目の合計で計算されます。

  • 部品代: 故障している部品そのものの価格です。センサー類であれば数千円、基板やポンプ類であれば1万〜3万円程度かかります。
  • 技術料(作業工賃): 修理スタッフが故障箇所を特定し、部品を交換・調整するための作業に対する対価です。作業の難易度や所要時間によって変動します。
  • 出張費・故障診断料: お客様のご自宅まで訪問するための交通費と、どこが壊れているかを診断するための費用です。ノーリツのメーカーサポート基準では、修理を実施しなかった場合でも上限3,300円(税込)程度の出張診断料が発生することが一般的です。

②一般的な修理費用の相場レンジと交換費用の目安

エラー110に関連する修理費用の相場は、どの部品が故障しているかによって大きく幅があります。以下は、一般的な修理費用の目安です(※あくまで一般的な相場であり、正確な金額は業者や機種によって異なります)。

故障箇所・作業内容 費用の目安(部品代+技術料+出張費込) 備考
専門業者によるエア抜き・水抜き作業のみ 約 8,000円 〜 15,000円 部品交換なし。軽度の調整作業。
炎検出器(センサー)の交換・清掃 約 15,000円 〜 25,000円 スス汚れやセンサー自体の劣化。
点火トランス・点火プラグの交換 約 20,000円 〜 35,000円 火花が飛ばない場合の修理。
電磁ポンプの交換 約 25,000円 〜 40,000円 空回し等による焼き付き・経年劣化。
電装基板(コンピューター)の交換 約 35,000円 〜 60,000円 制御系統の故障。複数部品の同時交換が必要な場合もあり。
給湯器本体の交換(買い替え) 約 150,000円 〜 350,000円 機種(追い焚き機能の有無、エコフィール等)により大きく変動。

※最終的な判断や正確な見積もりは、必ず専門業者にご相談ください。

③時期・繁忙期(冬場)による料金や対応スピードの変動

給湯器の故障は、水温が下がり機器に負荷がかかる「冬場(11月〜2月)」に急増します。この時期は修理業者やメーカーのサービスセンターに依頼が殺到するため、対応スピードに大きな影響が出ます。通常であれば即日や翌日に来てくれる業者でも、数日から1週間待ちになることも珍しくありません。

また、費用面でも注意が必要です。良心的な業者であれば年間通して料金は一定ですが、一部の緊急対応業者などでは、繁忙期や深夜・休日の対応に対して「深夜割増料金」や「緊急対応費」を上乗せするケースがあります。「最安値」や「格安」を謳う広告には飛びつかず、電話の段階で出張費や見積もり費用の有無をしっかり確認することが、トラブルを防ぐ防衛策です。

④設置環境による作業費用の差

給湯器が設置されている環境によっても、費用が変動することがあります。例えば、高所(屋根の上や足場が悪い場所)に設置されている場合や、狭小スペースで作業が極めて困難な場合は、追加の作業費(難所作業費)が加算されることがあります。また、積雪地域でボイラー周りが雪に埋もれており、除雪作業から始めなければならない場合も、時間や費用が余計にかかることがあります。

【体験談】10年目の修理か交換か?現場で一緒にお客様と悩む瞬間

現場でエラー110の原因を診断し、「電装基板とポンプの故障で、修理には約5万円かかります」とお見積もりを提示した時のことです。その給湯器は、設置からちょうど10年が経過していました。

私はプロとして、包み隠さずお伝えしました。「お客様、5万円かければ今日直すことは可能です。ただ、このボイラーは10年選手です。人間の体と同じで、今日ポンプを直しても、半年後に今度は水漏れが起きたり、別のモーターが壊れたりするリスクが非常に高い時期に入っています。その度に数万円の修理費を払うのであれば、思い切って今日、新品に交換した方が、長い目で見れば絶対にお得で安心です」

お客様は「うーん、痛い出費だけど、真冬にまたお湯が出なくなるのは勘弁だからね。お兄さんの言う通り、交換でお願いするよ」と決断されました。給湯器の設計上の標準使用期間(寿命)は約10年と定められています。10年を超えた機器は、メーカーの部品供給が終了し始める時期でもあります。修理か交換かで迷った際は、「使用年数」を一番の判断基準にをおすすめします。

ノーリツ給湯器のエラー110に関するよくある疑問とその回答は何ですか?

現場でお客様からよくいただくノーリツ給湯器のエラー110やエア抜きに関する疑問をまとめました。ガス給湯器でエラーが出た場合の対処法や、空気抜きネジを回しても灯油が出てこない原因など、緊急時に役立つ具体的な解決策を解説します。ご自身の状況と照らし合わせて、安全かつ適切な対応の参考にしてください。

灯油タンクに半分しか補充していませんが、エア抜きできますか?

結論:できることもありますが、失敗する確率が高いため、半分以上(できれば満タン)補充することを強く推奨します。

エア抜きは、灯油自体の重み(圧力)を利用して空気を押し出す作業です。タンク内の灯油が少ないと、押し出す力が弱く、配管の途中で空気が止まってしまうことがあります。特に、タンクから給湯器までの距離が長いお宅や、タンクの位置が給湯器よりも低いお宅では、圧力が足りずにいつまで経っても灯油がストレーナーまで到達しません。「少しだけ補充してエア抜きしたけれどダメだった」という場合は、まずはタンクを満タンにしてから再度試してみてください。

空気抜きネジを回しても灯油が全く出てきません。なぜですか?

結論:送油バルブが閉まっている、配管が詰まっている、またはストレーナーのフィルターが目詰まりしているおそれがあります。

ネジを緩めても「プシュッ」とも言わず、灯油が一滴も出てこない場合は、どこかで灯油の通り道が完全に遮断されています。まずは灯油タンクの根元にある「送油バルブ」が開いているかを再確認してください。バルブが開いているのに出てこない場合は、長年の使用で配管内にゴミやサビが詰まっているか、ストレーナー内部の網目(フィルター)が汚れで完全に塞がってしまっている状態です。この場合は分解清掃が必要になるため、無理をせず業者に依頼してください。

ガスのノーリツ給湯器でエラー110が出た場合もエア抜きが必要ですか?

結論:ガス給湯器の場合はエア抜き作業は不要(存在しない)です。ガスメーターやガス栓の確認を行ってください。

ガス給湯器でエラー110が出た場合、原因は「ガスが給湯器に届いていない」ことです。最も多いのは、地震などの揺れを感知してガスメーターの安全装置が作動し、ガスを遮断しているケースです。屋外のガスメーターを見て、赤いランプが点滅していれば、メーターの復帰ボタンを押して解除してください。また、引越し直後などでガス栓が閉まっていることもあります。これらを確認し、リモコンをリセット(電源の切・入)しても直らない場合は、点火部品の故障が疑われるためガス会社や修理業者に連絡してください。

業者を呼んだ場合、直らなくても費用はかかりますか?

結論:原則として、出張費と故障診断料(数千円程度)は発生します。

業者がご自宅に訪問し、カバーを開けてテスター等で故障箇所を特定する作業には、専門的な技術と時間がかかります。そのため、「見積もりが高かったから修理はやめる」「部品が製造終了していて直せなかった」という結果になった場合でも、そこに至るまでの「出張費・診断料(ノーリツ基準で上限3,300円など)」は請求されるのが一般的です。優良な業者であれば、電話で依頼する段階で「直らなくても〇〇円の診断料がかかりますがよろしいですか?」と事前説明をしてくれますので、依頼時に必ず確認するようにしましょう。

ノーリツ給湯器のエラー110とエア抜きに関するまとめ

ノーリツ給湯器でエラー110が表示された際の、原因から自力でのエア抜き手順、そして業者に依頼すべき判断基準までを詳しく解説してきました。

突然お湯が出なくなるトラブルは、特に寒い時期には本当に焦ってしまうものです。しかし、エラー110の多くは「灯油切れによるエア噛み」という物理的な現象であり、給湯器自体が完全に壊れてしまったわけではないケースが多々あります。

この記事の重要ポイントのおさらい

  • エラー110は「点火不良」。灯油切れの後はエア抜きが必須。
  • エア抜きは、屋外にストレーナーがありネジが見える機種のみDIY可能。
  • 屋内設置型や、特殊なガス化比例制御バーナー搭載機は業者へ依頼する。
  • エア抜きの際は、灯油をこぼさないようウエスを使い、絶対にネジを外しきらないこと。
  • 3回以上リセットしても直らない場合は、部品故障の可能性が高いため空回しを中止する。
  • 設置から10年経過している給湯器は、修理よりも本体の交換を検討する時期。

ご自身でエア抜きに挑戦される場合は、火気厳禁を徹底し、安全第一で慎重に作業を行ってください。「ネジが固くて回らない」「自分の機種が対応しているか不安だ」「灯油の臭いが充満するのが怖い」と少しでも感じた場合は、決して無理をする必要はありません。私たちのような専門業者は、そのような時のために存在しています。

給湯器は毎日の生活に欠かせない大切なライフラインです。正しい知識を持ち、いざという時に冷静に対処することで、一日も早く快適なお風呂に入れる日常を取り戻していただけることを願っています。

佐藤 裕

この記事の執筆者

佐藤 裕

株式会社生活水道センター 本部長

保有資格:給水装置工事主任技術者
ガス可とう管接続工事監督者 登録番号:13250405

株式会社生活水道センター 本部長。30年間、水回りトラブルの最前線でお客様の「困った」に向き合い続けてきた専門家。数えきれないほどの相談実績から、給湯器トラブルの背後にある不安を汲み取り、迅速かつ的確なアドバイスを行う。近年は全国の協力店・修理業者とのネットワーク構築にも尽力し、日本各地で質の高いサービスが提供できる体制づくりに奔走。「本当に役立つ、嘘のない情報」を届けることをモットーとしている。

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