大阪ガスの給湯器エラーはリセットで直る?正しい手順と危険な条件

大阪ガスの給湯器エラーはリセットで直る?正しい手順と危険な条件

大阪ガスの給湯器でエラーが出た際、一時的なシステム不具合ならリセット(再起動)で直るおそれがあります。しかし、ガス臭や焦げ臭いにおいがする場合、リセット操作は引火や火災の原因となり大変危険です。本記事では、安全なリセット手順と危険な条件、エラーコードの意味を客観的に解説します。まずはご自身の状況を確認し、適切な行動を選んでください。

濱本 孝一

この記事の監修者

濱本 孝一

株式会社 生活水道センター 代表取締役

保有資格:給水装置工事主任技術者
ガス機器設置スペシャリスト
2級管工事施工管理技士 第04910号

株式会社生活水道センター 代表取締役。創業32年の節目を迎え、全国に水道局指定工事店のネットワークを広げる水回りのスペシャリスト。「日本の住宅寿命を延ばす」という使命感のもと、早期メンテナンスの重要性を提唱し続けている。現場の叩き上げでありながら、メーカー事業「ドットデザイン」での製品開発や、次世代の職人育成など、業界の近代化に尽力。

現在の状況に合わせて、最初のアクションをご確認ください

  • 賃貸物件・マンションにお住まいの方:給湯器の所有権は貸主(大家)にあることが一般的です。勝手に修理や交換を手配すると費用トラブルになる可能性があるため、まずは管理会社または大家さんへご連絡ください。
  • ガス臭・焦げ臭・本体からの水漏れがある方:直ちに一切の操作(電気のスイッチ操作を含む)を止め、窓を開けて自然換気を行い、大阪ガスネットワーク(一般ガス導管事業者)またはご契約中のガス会社へ緊急連絡してください。
  • 上記以外のエラーが表示されている方(持ち家等):本記事内の「絶対にリセットしてはいけない危険な条件」をご確認いただいた上で、記載されている安全なリセット手順をお試しください。

大阪ガスの給湯器からお湯が出ない?まずは落ち着いて状況確認を

給湯器のリモコンにエラーが表示され、突然お湯が出なくなると焦ってしまうものですが、まずは落ち着いて周囲の状況を確認が必要です。給湯器本体の故障ではなく、ご自宅のインフラ(ガス、水道、電気)に起因する外部要因でお湯が作れなくなっているケースが多々あります。リセット操作を行う前に、以下の3つのポイントを順番に確認してください。

ガスの供給は正常か(ガスコンロとマイコンメーターの確認)

給湯器がお湯を沸かすためには、当然ながらガスの供給が不可欠です。まずはご自宅のガスコンロに火がつくかを確認してください。もしガスコンロにも火がつかない場合、ご自宅全体のガス供給が遮断されている可能性が高いと判断できます。

ガスが遮断される最も一般的な原因は、ガスメーター(マイコンメーター)の安全装置の作動です。マイコンメーターは、震度5相当以上の地震の揺れを感知した場合や、お湯の止め忘れ等で不自然に長時間ガスが流れ続けた場合、あるいはガス圧の異常な低下を検知した場合に、ガス漏れを防ぐ目的で自動的にガスを遮断する仕組みになっています。

メーターの赤いランプが点滅している場合は、遮断状態を示しています。この場合、すべてのガス機器の使用を止め、メーターに付属している復帰ボタンのキャップを外し、ボタンを奥までしっかりと押し込んでください。ボタンを離すと再び赤いランプが点滅し始め、メーター内部のマイコンが約3分間かけてガス漏れがないか(微小なガスの流量がないか)を安全確認します。3分経過後にランプの点滅が消えれば、正常にガスが復旧し、給湯器も使用可能になります。

水道の供給は正常か(断水・凍結・ストレーナーの詰まり)

給湯器は、水が一定以上の勢い(水量)で内部の配管を流れることをセンサー(水量サーボや水流スイッチ)が検知して、初めて点火動作を開始する仕組みになっています。そのため、十分な水が供給されていないとお湯を作ることができません。

まずはキッチンの水道や洗面所の水栓を開け、水(お湯ではなく水)が正常な勢いで出るかを確認してください。水も出ない場合は、地域的な断水、マンションの受水槽の点検、あるいはご自宅の止水栓が閉まっているおそれがあります。

特に冬場、外気温が氷点下を下回るような厳しい寒さの朝には、給湯器に接続されている給水配管が凍結し、水が流れなくなるトラブルが頻発します。凍結が疑われる場合は、無理に熱湯をかけると急激な温度変化で配管が破裂する恐れがあるため、自然に解凍されるのを待つか、配管にタオルを巻き、その上からぬるま湯(30〜40度程度)をゆっくりとかけて解凍するなどの慎重な対応が求められます。

また、給湯器の給水接続口には「水抜き栓(ストレーナー)」と呼ばれる網目状のフィルターが取り付けられています。長年の使用により、水道水に含まれる砂やサビ、ミネラル分がこのストレーナーに詰まると、水量が低下して点火不良を引き起こすことがあります。取扱説明書の指示に従い、ストレーナーの清掃を行うことで症状が改善するケースもあります。

電気の供給は正常か(停電とブレーカーの確認)

現代のガス給湯器は、ガスの燃焼を制御するために高度な電子制御基板(マイコン)を搭載しており、100Vの家庭用電源(電気)で稼働しています。そのため、電気が通っていなければリモコンの電源も入らず、お湯を出すこともできません。

ご自宅の照明や他の電化製品が正常に動いているかを確認し、停電が発生していないかチェックしてください。他の部屋は電気がついているのに給湯器だけが動かない場合は、分電盤(ブレーカー)を確認します。落雷による過電流や、他の家電の使い過ぎによって、給湯器が接続されている特定の回路の安全ブレーカー、あるいは漏電ブレーカーが落ちているおそれがあります。ブレーカーが落ちている場合は、安全を確認した上でスイッチを「入」に戻してください。

これら「ガス・水道・電気」のインフラに異常がないにもかかわらず、給湯器が作動せずエラーコードが表示されている場合、給湯器のシステム自体に何らかの不具合が生じていると考えられます。次項の手順に従い、リセット操作を検討します。

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大阪ガスの給湯器をリセットする正しい手順とメカニズム

インフラ周辺に問題がないことを確認したら、給湯器のシステムを再起動する「リセット」を試みます。ここでは、なぜリセットによってエラーが解消するのかという技術的なメカニズムと、安全かつ確実なリセット手順について詳細に解説します。

なぜリセット(再起動)で給湯器のエラーが直るのか

昔のガス給湯器は、常に小さな種火を点けておくアナログな構造でしたが、現在の給湯器は内部に「電子制御基板(マイコン)」という小さなコンピューターを搭載しています。このマイコンが、入水温度、設定温度、水流の量、ガスの圧力などを複数のセンサーで瞬時に読み取り、最適なガス量と空気量を計算して燃焼をコントロールしています。

非常に精密なシステムである反面、パソコンやスマートフォンと同様に、予期せぬ外的要因によってシステムが「フリーズ(思考停止)」したり、安全装置が過敏に反応してシステムを強制的に「ロック」したりすることがあります。
例えば、以下のような状況です。

  • 台風などの強風が給排気口に吹き込み、一時的に排気が滞ったことをセンサーが「異常燃焼」と誤検知した。
  • 近隣への落雷により、電線を通じて瞬間的に高い電圧(雷サージ)が流れ込み、基板の処理が一時的に混乱した。
  • 他の蛇口を急に開け閉めしたことによる急激な水圧変化を「異常」と判断した。

このような一時的な誤検知や通信エラーによってシステムが停止した場合、電源を一度遮断し、マイコンのメモリを初期状態に戻して再起動(リセット)することで、エラー状態がクリアされ、再び正常に稼働し始める可能性が高いのです。リセットは、取扱説明書にも記載されている公式な初期対応手順です。

手順1:リモコンを使った安全なリセット方法

最も安全で、最初に行うべき手順がリモコンによるリセットです。機器の内部基板に論理的なリセット信号を送る方法です。

  1. すべてのお湯の栓を閉める:キッチン、浴室、洗面所など、お湯を出そうとして開けたままになっている水栓(蛇口)をすべて確実に閉めてください。お湯が出しっぱなしの状態でリセットを行うと、再起動直後に意図せず点火動作が始まり、予期せぬやけどや機器への負荷につながる恐れがあります。
  2. リモコンの運転スイッチを「切(OFF)」にする:浴室または台所に設置されているリモコンのメインスイッチ(運転ボタン)を押し、電源を切ります。画面の表示(時計表示などを除く)やエラーコードの点滅が消えたことを確認してください。
  3. 数秒〜十数秒間待機する:システムが完全に停止し、内部の通信がリセットされるまで、おおむね10秒程度そのまま待機します。すぐにオン・オフを繰り返すと、基板に負荷がかかることがあります。
  4. 運転スイッチを再度「入(ON)」にする:再び運転スイッチを押し、電源を入れます。この時点でエラーコードの表示が消え、通常の設定温度が表示されていれば、リセットは成功です。
  5. お湯を出して動作確認:水栓を開け、設定した温度のお湯が安定して出続けるかを確認してください。

手順2:電源プラグ(コンセント)の抜き差しによる強制リセット

リモコンのスイッチ操作だけではエラー表示が消えない場合、またはリモコン自体の電源が入らず操作を受け付けない場合は、給湯器本体の主電源を物理的に断つ「強制リセット」を行います。

  1. 屋外の給湯器本体を確認する:一戸建ての場合は外壁や据置台、マンションの場合はベランダ等に設置されている給湯器本体の場所へ向かいます。
  2. 電源プラグをコンセントから抜く:給湯器本体から伸びている電源コードをたどり、壁面の防水コンセントからプラグを引き抜きます。(※手が濡れている場合や、雨が降っている場合は感電の危険があるため絶対に行わないでください)
  3. 10秒から1分程度待機する(重要):プラグを抜いた後、すぐに差し直してはいけません。電子制御基板の回路内には「コンデンサ」という電気を一時的に蓄える部品があり、プラグを抜いた直後も数秒間は微弱な電流(残留電流)が残っています。この残留電流が完全に放電され、マイコンのメモリが完全に揮発(リセット)されるまで、最低でも10秒、確実を期すなら1分程度待機する必要があります。
  4. 電源プラグをしっかりと差し込む:待機時間が経過したら、プラグをコンセントの奥までしっかりと差し込みます。緩みがあると接触不良による発熱や火災の原因となります。
  5. 屋内に戻り動作確認:リモコンの電源を入れ、エラーが消えているか、お湯が正常に出るかを確認します。

手順3:マンション等でコンセントが見えない場合のブレーカー操作

マンションやアパートなどの集合住宅では、給湯器が玄関横の共用廊下にある「パイプスペース(PS)」と呼ばれる扉の中に格納されていることが多くあります。この場合、電源コンセントが直接見えない、あるいは専用のカバーで覆われており、入居者が容易にプラグの抜き差しを行えない構造になっていることがあります。

コンセントにアクセスできない場合は、室内の分電盤(ブレーカー)を操作することで、プラグを抜くのと同じ強制リセットの効果を得ることができます。

  1. 分電盤の場所を確認:玄関や洗面所の上部などに設置されている分電盤を開けます。
  2. 給湯器用のブレーカーを特定:小さなスイッチ(安全ブレーカー)が複数並んでおり、その下に「給湯器」「ガス給湯器」などと行き先が書かれたシールが貼られているはずです。該当するスイッチを見つけてください。
  3. スイッチを「切」にする:給湯器用のブレーカーを「切(OFF)」に落とします。
  4. 1分程度待機する:前述の通り、基板内の放電を待つため1分ほど待機します。
  5. スイッチを「入」にする:ブレーカーを再び「入(ON)」に戻し、リモコンの電源を入れて動作を確認します。

絶対にリセットしてはいけない危険な条件

リセット操作は手軽な復旧手段ですが、給湯器の状況によっては「絶対にやってはいけない行為」となります。給湯器は可燃性のガスと電気を同時に扱う機器であるため、誤った判断は爆発、火災、一酸化炭素中毒といった重大事故に直結します。以下の条件に一つでも当てはまる場合は、リセット操作を中止し、速やかに専門機関へ連絡してください。

ガス臭・焦げ臭いにおいがする場合(爆発・火災リスク)

給湯器の周辺、あるいは室内で「都市ガス特有の玉ねぎの腐ったようなにおい」や「プロパンガスのにおい」、または「配線が焼けるような焦げ臭いにおい」を感じた場合、直ちにすべての操作を停止してください。

ガスが漏れて空気中に滞留している状態(爆発下限界に達している状態)において、給湯器のコンセントを抜き差ししたり、リモコンのスイッチを入れたりすると、電気の接点部分で目に見えない微小な火花(アーク放電)が発生します。この小さな火花が着火源となり、滞留したガスに引火して大規模なガス爆発を引き起こす危険性が極めて高いのです。

【正しい行動】
絶対に電気のスイッチ(換気扇や照明を含む)に触れてはいけません。換気扇を回す際のスイッチの火花で爆発する事故が過去に多数報告されています。窓やドアを大きく開けて自然換気を行い、安全な場所(屋外など)に移動してから、大阪ガスネットワーク等のガス導管事業者、またはご契約のガス会社へ緊急通報してください。

給湯器本体からの大量の水漏れや異音がする場合

給湯器本体の下部からポタポタと少量の水が落ちている程度であれば、結露水や水抜き栓からの排水である可能性もありますが、勢いよく水が噴き出している場合や、本体内部から「ピー」「ボンッ」といった異常な破裂音、金属が擦れるような異音がする場合は危険です。

内部の熱交換器や配管が破損している可能性が高く、水が電子基板や配線に直接かかっている状態が推測されます。この状態で通電(リセット)させると、漏電による感電事故や、基板のショートによる火災が発生する恐れがあります。また、不完全燃焼による一酸化炭素(CO)が発生するリスクも高まります。速やかに機器の使用を中止し、ガス栓と止水栓を閉めて修理業者へ連絡してください。

台風やゲリラ豪雨の直後(水濡れ・漏電リスク)

屋外設置型の給湯器は、通常の雨風には耐えられるよう防水設計(防雨型)が施されています。しかし、台風による横殴りの暴風雨や、近年増加しているゲリラ豪雨など、想定を超える激しい雨水が給排気口の隙間から機器内部へ浸入することがあります。

機器内部に雨水が入り込み、基板やセンサー類が濡れている状態で電源を入れたりコンセントを抜き差ししたりすると、漏電やショートを引き起こし、機器が完全に故障(焼損)してしまう原因となります。悪天候の直後にエラーが出た場合は、無理にリセットせず、天候が回復して機器内部が自然乾燥するまで半日から1日程度待つことが推奨されます。乾燥後に自然に復旧するケースも少なくありません。

過熱防止装置などの重要安全装置が作動している場合(エラー140等)

給湯器には、異常な高温を検知した際に火災を防ぐための「過熱防止装置(温度ヒューズやバイメタル式サーモスタット)」が備わっています。リモコンに「140」などの重大なエラーコードが表示されている場合、機器内部が設計上の限界を超える異常な高温状態に達したことを示しています。

このエラーは、単なる通信エラーではなく、物理的な危険状態を知らせる最終防衛ラインです。リセット操作によって一時的にエラー表示を消すことができたとしても、異常過熱の根本原因(熱交換器の詰まりやセンサーの故障)は解決していません。そのまま使用を強行すると、機器の焼損や周辺への延焼といった火災事故につながるため、絶対にリセットでごまかさず、直ちにメーカーや修理業者へ点検を依頼してください。

大阪ガス給湯器の主なエラーコードと対処法

給湯器のリモコンに点滅表示される数字は「エラーコード(アラーム番号)」と呼ばれ、機器のどの部分にどのような異常が発生しているかを示す重要なメッセージです。多くのエラーコードは3桁の数字で構成されており、最初の2桁が「異常の種類や症状」、最後の1桁が「異常が発生した箇所(ふろ側か、給湯側か、暖房側かなど)」を表しています。

以下に、大阪ガスの給湯器(および製造元であるノーリツやリンナイ等のOEM製品)で頻出する代表的なエラーコードの意味と、それぞれの対処法を整理しました。

エラーコード 症状・原因 推奨される対処法・行動
111 / 11 点火不良(給湯側)
ガスが点火しない
ガスコンロが使えるか、ガスメーターが遮断されていないか確認。問題なければリモコンでリセットを試す。雨天時や強風時は天候回復を待つ。
113 点火不良(暖房側)
床暖房や浴室乾燥の点火失敗
111と同様にガスの供給状況を確認。暖房配管の不具合や不凍液の減少が原因の場合もあるため、リセットで直らなければ業者へ連絡。
140 過熱防止装置の作動
内部の異常な温度上昇
【リセット厳禁】火災の危険があるため使用を即時中止し、ガス栓を閉めて速やかに修理業者またはメーカーへ点検を依頼する。
290 中和器の異常・詰まり
(エコジョーズ特有)
ドレン排水配管が凍結、またはゴミで詰まっている可能性。配管の先端を確認し、詰まりがあれば取り除く。中和器自体の寿命(約10年)の場合は部品交換が必要。
710 / 71 燃焼制御回路の異常
電子基板の不具合
落雷やノイズによる一時的なフリーズの可能性があるため、コンセントの抜き差しによる強制リセットを試す。再発する場合は基板の交換修理が必要。
888 / 88 点検お知らせ表示
(設計標準使用期間の経過)
故障ではなく、設置から約10年が経過し、法定・推奨点検の時期が来たことを知らせるサイン。メーカーへ有償の「あんしん点検」を申し込むか、機器の交換を検討する。

エラーコード「111」の詳細解説と対処

検索されることが非常に多い「111」は、給湯器がガスを点火しようとしたものの、何らかの理由で着火できなかった(または着火を検知できなかった)状態を示します。原因は多岐にわたり、ガスメーターの遮断、ガス栓の閉め忘れ、強風による排気不良、点火プラグ(イグナイター)や炎検知器(フレームロッド)の汚れ・劣化などが考えられます。まずはガスの供給状況を確認し、問題がなければリモコンによるリセットを試みてください。一時的な風の影響などであれば、これで復旧します。

エラーコード「888」の法的な背景と対処

「888」は故障を示すエラーではなく、機器の使用開始から約10年(設計上の標準使用期間)が経過したことを知らせるタイムマーカーです。この表示が出ても、すぐにお湯が出なくなるわけではありません。
背景には、消費生活用製品安全法に基づく安全点検制度があります。過去、経年劣化によるガス機器の一酸化炭素中毒事故が社会問題化したことを受け、安全確認が義務付けられました。令和3年の法改正により、ガス給湯器は法的な「特定保守製品」からは除外されましたが、メーカーは日本ガス石油機器工業会(JGKA)の指針に基づき、独自の「あんしん点検(有償)」として10年経過時の点検を強く推奨しており、そのお知らせ機能として888表示が継続されています。
表示を消すには、メーカーへ点検を依頼するか、取扱説明書に記載された特殊な操作(一時的な解除)を行う必要がありますが、10年経過は機器の寿命の目安でもあるため、点検または新しい機器への交換を検討する良い機会と言えます。

エラーコード「290」とエコジョーズの仕組み

「290」は、省エネ型のガス給湯器である「エコジョーズ(潜熱回収型給湯器)」特有のエラーです。エコジョーズは、従来捨てていた約200度の高温の排気ガス熱を再利用して水を温めるため、熱効率が非常に高いのが特徴です。しかし、熱を奪われた排気ガスは結露し、酸性の水(ドレン水)が発生します。
この酸性の水をそのまま下水に流すと環境や配管に悪影響を及ぼすため、給湯器内部に「中和器」という部品(炭酸カルシウムが詰まった容器)を設け、中性に近づけてから排出しています。「290」は、このドレン水の排水経路が詰まっているか、あるいは中和器の中和剤が消耗して寿命を迎えたことを示しています。排水口の掃除で直らない場合は、業者による中和器の交換(部品代と作業費で1万〜2万円程度)が必要です。

リセットしても直らない・頻発する場合の判断基準

リセット操作を行ってもエラーコードが消えない、あるいはお湯は出るようになったものの、数日おきに同じエラーが頻発するような場合、それはもはや一時的なシステムフリーズではありません。機器内部の部品が物理的に摩耗・劣化し、寿命を迎えつつある明確なサインです。

給湯器の設計上の標準使用期間と部品保有期間(10年の壁)

ガス給湯器メーカー各社は、安全上支障なく使用できる期間の目安として「設計上の標準使用期間」を定めており、家庭用給湯器の場合は通常「10年」と設定されています。10年を超えると、熱交換器のすす詰まり、水流センサーの摩耗、電子基板の劣化などが同時に進行し、故障率が急激に跳ね上がります。

さらに重要なのが「補修用性能部品の保有期間」という業界の自主基準です。公益社団法人 全日本協会および日本ガス石油機器工業会の基準により、メーカーが修理用の部品を保管しておく義務があるのは「その製品の製造が終了してから10年間」と定められています。つまり、設置から10年以上経過した給湯器が故障した場合、メーカーに修理を依頼しても「すでに部品の生産・保管が終了しているため、修理不可能です」と回答されるケースが非常に多いのが実情です。

修理か交換か?判断の目安と費用相場

エラーが頻発する場合、修理で延命するか、新しい機器に交換するかを決断する必要があります。一般的な判断基準と費用の目安は以下の通りです。

  • 使用年数7年未満の場合(修理を推奨):まだ部品の保有期間内であり、他の箇所が連鎖的に故障するリスクも比較的低いため、修理による対応が経済的です。修理費用の相場は、軽微なセンサー交換で1万〜2万円程度、電子基板や燃焼部品の交換で3万〜5万円程度が目安となります(出張費・技術料・部品代を含む)。
  • 使用年数8年〜10年以上の場合(交換を推奨):仮に今回数万円かけて修理をしたとしても、すぐに別の部品が寿命を迎え、結果的に修理費用が積み重なってしまう「修理貧乏」に陥るリスクが高まります。また、最新の機器(エコジョーズなど)に交換することで、熱効率の向上により毎月のガス代が安くなり、長期的なランニングコストを抑えられるメリットもあります。

【給湯器交換費用の相場】
交換にかかる費用は、給湯器の号数(お湯を作る能力)や機能(追いだき機能の有無、床暖房対応など)、従来型かエコジョーズかによって大きく変動します。概ね、本体代金・標準工事費・古い機器の処分費をすべて含めて、以下の範囲が相場となります。

  • 給湯専用(追いだきなし):約6万〜10万円
  • ふろ給湯器(追いだきあり・従来型):約12万〜18万円
  • ふろ給湯器(追いだきあり・エコジョーズ):約15万〜22万円
  • 温水暖房付ふろ給湯器(床暖房対応):約25万〜35万円

※実際の費用は設置状況により異なります。正確な金額は専門業者への見積もり依頼が必要です。

賃貸住宅・マンションにお住まいの方の注意点

アパートやマンションなどの賃貸物件にお住まいの場合、給湯器トラブルの対処には持ち家とは異なる特有のルールが存在します。自己判断で動いてしまうと、思わぬ金銭的トラブルに巻き込まれる可能性があるため注意が必要です。

給湯器の所有権と貸主の修繕義務

賃貸物件に元々設置されている給湯器やエアコンなどの付帯設備は、入居者の所有物ではなく、建物の所有者である貸主(大家さん)の財産です。民法第601条および第606条において、貸主は「賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と定められています。
つまり、入居者が故意に壊したり、日常的な手入れを極端に怠ったり(善管注意義務違反)したことが原因でない限り、経年劣化による給湯器の故障修理や交換にかかる費用は、すべて大家さん(貸主側)が負担するのが原則です。

自己判断での業者手配によるトラブルリスク

「お湯が出なくて困っているから」と、入居者が勝手にインターネットで見つけた修理業者や交換業者を呼び、作業を完了させてから大家さんに代金を請求した場合、トラブルになるケースが後を絶ちません。
大家さんや管理会社は、建物のメンテナンスを委託している「指定のガス業者」や「提携の設備会社」を持っていることが多く、そこを通すことで安価に修理できる契約を結んでいることがあります。勝手に別の業者を手配した場合、「事前の相談がなかった」「指定業者より高額だ」といった理由で、修理費用の返還を拒否され、入居者の自己負担となってしまうリスクがあります。

トラブル発生時の正しい連絡フロー

賃貸物件で給湯器のエラーが出た場合、リセット操作(コンセントの抜き差しやブレーカー操作)までは入居者が行っても問題ありません。しかし、リセットしても直らない場合は、以下の手順で行動してください。

  1. 管理会社または大家さんへ連絡:賃貸借契約書に記載されている管理会社のサポート窓口、または大家さんへ電話をし、「給湯器のエラーコード〇〇が出てお湯が出ない」と状況を伝えます。
  2. 業者の手配を待つ:管理会社側が提携業者を手配し、業者から入居者へ訪問日時の調整連絡が入るのを待ちます。
  3. 夜間・休日の場合:管理会社が営業時間外の場合、24時間対応の入居者サポートサービス(契約時に加入している場合)へ連絡します。緊急を要するガス漏れ等の場合は、管理会社の許可を待たずに、ガス導管事業者(大阪ガスネットワーク等)へ直接緊急通報してください。

大阪ガスの給湯器は他メーカーに交換できる?OEMの仕組み

持ち家にお住まいで、いざ給湯器の交換を検討する際、「現在『大阪ガス』のマークがついている給湯器だから、次も大阪ガスに頼まなければならないのだろうか?」と疑問に思う方は多いなります。結論から言えば、大阪ガス以外のメーカー製品への交換は可能であり、むしろその方が費用を大幅に抑えられるケースが一般的です。

大阪ガスブランド給湯器の正体(OEM製品)

都市ガス事業者である大阪ガスの本来の主幹事業は、ガスを各家庭へ安全に供給するためのインフラ(導管)の維持・管理です。ガスを燃やすための「給湯器」や「ガスコンロ」といった機器そのものは、大阪ガスが自社工場で設計・製造しているわけではありません。
実際には、ノーリツ、リンナイ、パロマ、パーパスといった給湯器の専門メーカーが製造した機器に、大阪ガスのロゴマークと独自の型番シールを貼り付けて販売している「OEM(Original Equipment Manufacturer=相手先ブランド名製造)製品」なのです。

中身の燃焼機構や電子制御基板、そしてエラーコードの体系に至るまで、製造元であるノーリツやリンナイの規格に準拠して作られています。そのため、大阪ガス製品から、それらを実際に製造しているメーカーの最新モデルへと交換することは、配管の接続位置や機能面において全く問題なく、高い互換性が保たれています。

現在の給湯器の製造元を見分ける方法

ご自宅の大阪ガス給湯器が、元々どのメーカーによって作られたものなのかは、本体前面に貼られている「銘板シール(仕様ラベル)」を見ることで推測できます。
大阪ガスの型番(品番)は、多くの場合「3桁の数字-ハイフン-4桁の数字」の形式(例:131-R540など)になっています。この最初の3桁の数字により、製造元がおおよそ特定できます。

  • 131-(または331-)で始まる型番:主に「ノーリツ(NORITZ)」製
  • 135-(または335-)で始まる型番:主に「リンナイ(Rinnai)」製
  • 133-(または333-)で始まる型番:主に「パロマ(Paloma)」製
  • 134-(または334-)で始まる型番:主に「パーパス(PURPOSE)」製

また、シールの中央や下部に、小さく「株式会社ノーリツ」などと製造元が直接明記されていることもあります。

他メーカー製品へ交換するコストメリット

機器の交換を大阪ガスのサービスチェーン(特約店)に依頼した場合、ブランドに対する安心感や手厚いサポートが得られる一方で、機器本体の割引率が低く、総額が高額になる傾向があります。
一方、ノーリツやリンナイの製品を直接取り扱っている独立系のガス機器設置業者(ネット専業の給湯器交換業者や地元の設備会社など)に見積もりを依頼すると、メーカーから直接大量に仕入れている強みを活かし、本体価格が定価の50%〜70%オフといった大幅な割引価格で提供されることが多くあります。

「大阪ガスの給湯器だから」と一社に絞り込まず、複数メーカーを取り扱う専門業者に相見積もりを依頼し、総額(本体代+工事費+処分費)と保証内容(独自の10年保証など)を比較検討することが、賢い選び方と言えます。

次のステップへ:トラブルが解決しない場合の相談先

本記事で解説したリセット手順を試してもエラーが解消しない場合や、危険な兆候(ガス臭、異音、エラー140など)が見られる場合は、これ以上の自己解決を試みず、速やかに専門機関へ相談してください。状況に応じた適切な連絡先は以下の通りです。

  • 【緊急時】ガス臭・焦げ臭・火災の恐れがある場合:
    ご契約のガス会社、または地域のガス導管事業者である「大阪ガスネットワーク株式会社」のガス漏れ通報専用ダイヤルへ直ちに連絡してください。24時間365日対応しています。
  • 【賃貸物件】修理・交換の手配が必要な場合:
    物件を管理している管理会社、または大家さんへ連絡し、指示を仰いでください。
  • 【持ち家・修理希望】メーカーへ修理を依頼したい場合:
    大阪ガスのお客さまセンター、または給湯器の銘板シールに記載されている製造元メーカー(ノーリツ、リンナイ等の修理受付窓口)へ連絡してください。
  • 【持ち家・交換希望】安く交換を検討したい場合:
    「ガス機器設置スペシャリスト(GSS)」や「液化石油ガス設備士」「簡易内管施工士」などの公的な有資格者が在籍し、見積もりの内訳が明朗な給湯器交換専門業者へ相見積もりを依頼してください。

給湯器は日々の生活に欠かせない重要なインフラです。正しい知識を持ち、安全を第一に考えた上で、最適な解決策を選択してください。

佐藤 裕

この記事の執筆者

佐藤 裕

株式会社生活水道センター 本部長

保有資格:給水装置工事主任技術者
ガス可とう管接続工事監督者 登録番号:13250405

株式会社生活水道センター 本部長。30年間、水回りトラブルの最前線でお客様の「困った」に向き合い続けてきた専門家。数えきれないほどの相談実績から、給湯器トラブルの背後にある不安を汲み取り、迅速かつ的確なアドバイスを行う。近年は全国の協力店・修理業者とのネットワーク構築にも尽力し、日本各地で質の高いサービスが提供できる体制づくりに奔走。「本当に役立つ、嘘のない情報」を届けることをモットーとしている。

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