給湯器の凍結防止ヒーターの正しい巻き方とは?重ね巻きの危険性や手順をプロが解説
給湯器の凍結防止ヒーターの正しい巻き方とは?重ね巻きの危険性や手順をプロが解説
こんにちは。給湯器修理.comです。
株式会社 生活水道センター 代表取締役
保有資格:給水装置工事主任技術者
ガス機器設置スペシャリスト
2級管工事施工管理技士 第04910号
株式会社生活水道センター 代表取締役。創業32年の節目を迎え、全国に水道局指定工事店のネットワークを広げる水回りのスペシャリスト。「日本の住宅寿命を延ばす」という使命感のもと、早期メンテナンスの重要性を提唱し続けている。現場の叩き上げでありながら、メーカー事業「ドットデザイン」での製品開発や、次世代の職人育成など、業界の近代化に尽力。
この記事でわかること
- 凍結防止ヒーターの正しい巻き方と具体的な手順
- 重ね巻きが危険な理由と樹脂管へ施工する際の注意点
- 業者に依頼した際の費用相場と料金の内訳
- 電気代を賢く節約するためのヒーターの選び方とコツ
厳しい冷え込みが予想される冬の季節、朝起きたら給湯器からお湯が出ない、あるいは水道管が凍ってしまって水すら出ないというトラブルは本当に多いものです。特に冷え込みが厳しい地域だけでなく、普段はあまり雪が降らない地域でも、急な寒波の到来によって配管が凍結してしまうケースが後を絶ちません。そんな凍結トラブルを未然に防ぐための強い味方が凍結防止ヒーターですが、実は巻き方を一歩間違えると、配管を痛めてしまうだけでなく、最悪の場合は火災につながる危険性も潜んでいます。日々の修理現場で様々なお宅を訪問している私から見ても、誤ったDIY施工によってヒーターが焦げてしまっていたり、保温材がドロドロに溶けてしまっていたりするヒヤリとする現場に遭遇することが少なくありません。この記事では、給湯器周りの配管を守るための凍結防止ヒーターの正しい巻き方や、絶対にやってはいけない注意点、そして業者に依頼した場合の費用相場まで、現場のリアルな経験を交えながら徹底的に解説していきます。
給湯器の凍結防止ヒーターは自分で巻けるの?
凍結防止ヒーターの巻き付け自体はDIYでも可能ですが、屋外コンセントの有無が重要です。コンセントが既にあれば部材費3,000円〜8,000円程度で施工できます。しかし、電源がない場合に延長コードを使用するのは漏電の危険があるためNGです。コンセント増設は電気工事士の資格を持つ専門業者へご依頼ください。
冬場が近づくと、ホームセンターの目立つ場所に凍結防止ヒーターがずらりと並ぶようになります。「これなら自分でも巻けそうだな」と思って購入されるお客様は非常に多いです。結論から申し上げますと、配管にヒーターを巻き付け、その上から保温材を被せるという作業そのものは、特別な国家資格が必要なわけではないため、一般の方でもDIYで行うことは可能です。正しく手順を守れば、ご自身で設置してしっかりと凍結を防ぐことができます。
しかし、私が現場で最も気をつけていただきたいと感じるのは「電源の確保」です。給湯器の周辺に、ヒーターのプラグを差し込むための空きのある屋外用防雨コンセントがあれば問題ありません。問題は、コンセントがない、あるいは給湯器本体のプラグで塞がっている場合です。先日伺ったお宅では、室内から窓の隙間を通して細い延長コードを引っ張り出し、そこにヒーターを繋いでいました。窓の開閉でコードが挟まれて被膜が破れ、中の銅線がむき出しになっており、雨が降ったら確実にショートして漏電する一歩手前の状態でした。お客様は「とりあえず冬の間だけだから」と仰っていましたが、本当に背筋が凍る思いでした。
屋外での電気製品の使用は、雨や雪、結露などによる水濡れのリスクが常に伴います。延長コードの安易な使用や、タコ足配線は絶対に避けてください。もし給湯器周りにヒーター用のコンセントがない場合は、ご自身で無理に電源を引っ張ってくるのではなく、必ず電気工事士の資格を持つ専門業者に依頼して、専用の屋外防雨コンセントを増設してもらうようにしてください。安全第一で冬の準備を進めることが、結果的に一番の安心につながります。
凍結防止ヒーターの正しい巻き方とは?
ヒーターの正しい巻き方は、配管に沿わせるストレート施工か、間隔を空けたゆるやかならせん巻きが基本です。配管の太さや材質に合わせて選びます。注意点として、ヒーターを重ねて巻くのは蓄熱による火災リスクがあるため厳禁です。また、サーモスタットは必ず配管に密着させ、保温材の内側に設置してください。
ストレート施工とゆるやかならせん巻きが基本
凍結防止ヒーターを配管に設置する際、基本となる巻き方は大きく分けて2つあります。一つは配管に対して真っ直ぐにヒーターを添わせる「ストレート施工」、もう一つは配管にぐるぐると巻きつけていく「らせん巻き(ピッチ巻き)」です。どちらを選ぶべきかは、配管の太さや使用するヒーターの種類、そして地域の寒さの度合いによって異なります。
一般的なご家庭の細い給水管や給湯管(直径13mm〜20mm程度)であれば、ストレート施工で十分な効果が得られることが多いです。配管の真下、あるいは側面にヒーターを真っ直ぐ這わせ、ビニタイ(結束バンドのようなもの)や耐熱性のテープで数十センチおきに固定していきます。この方法はヒーターの長さを無駄なく使えるため、施工が非常にシンプルです。
一方、配管が太い場合や、極端に冷え込む寒冷地の場合は、配管全体を均等に温めるためにらせん巻きを行うことがあります。このとき重要なのは、ヒーターとヒーターの間隔(ピッチ)を約7cm〜10cm程度しっかりと空けて、ゆるやかに巻くことです。現場でよく見かけるのが、包帯を巻くように隙間なくギッチリと巻き付けてしまっているケースですが、これは後述する過熱の原因となるため非常に危険です。あくまで「ゆるやかに、均等に」が鉄則となります。
重ね巻きや密着巻きが絶対にNGな理由
DIYで凍結防止ヒーターを設置したお客様の現場で、私が最も頻繁に目にする危険な失敗が「ヒーターの重ね巻き」です。「買ってきたヒーターが長すぎて余ってしまったから、折り返して二重に巻いておいたよ」と悪気なく仰るお客様がいらっしゃいますが、これは絶対にやってはいけません。
一般的なサーモスタット式のヒーター(抵抗線型)は、通電すると一定の熱を発し続けます。ヒーター同士が交差したり、重なり合ったり、隙間なく密着して巻かれていたりすると、その部分に熱が異常にこもってしまいます(蓄熱現象)。この異常過熱によって配管が溶けたり変形したりするだけでなく、ヒーターの被膜が焦げて発火し、最悪の場合は火災事故に発展する恐れがあります。
実際に消費者庁や各自治体の消防局からも、凍結防止ヒーターの重ね巻きによる火災事故の注意喚起が毎年出されています。私が以前修理に伺ったお宅でも、余ったヒーターを一箇所に団子状に丸めて保温材の中に押し込んでいたため、保温材の内側が真っ黒に炭化していたことがありました。「もう少しで火が出るところでしたよ」とお伝えすると、お客様は顔面蒼白になっておられました。もしヒーターが余ってしまった場合は、決して重ねて巻かず、らせん巻きの間隔を調整して全体に分散させるか、最初から配管の長さにぴったり合ったサイズのヒーターを購入することが何よりも大切です。
樹脂管(塩ビ管など)に巻く際の下処理と注意点
もう一つ、配管の材質に関する重要な注意点があります。昔ながらの鉄管や銅管といった「金属管」であれば、ヒーターの熱が管全体に伝わりやすいため、そのままヒーターを沿わせても問題ありません。しかし、最近の住宅で広く使われている塩ビ管や架橋ポリエチレン管といった「樹脂管」の場合は、金属管と同じように施工してしまうとトラブルの元になります。
樹脂管は金属管に比べて熱伝導率が低いため、ヒーターが直接触れている部分だけが局所的に高温になりやすくなります。また、熱そのものに弱い性質があるため、そのままヒーターを巻くと管が変形したり、劣化して水漏れを起こしたりするリスクがあります。そのため、樹脂管にヒーターを巻く際は、必ず配管全体に「アルミテープ」を巻きつける下処理が推奨されます。
アルミテープを巻くことで、ヒーターの熱がアルミを伝わって配管全体に均一に分散されるようになり、局所的な過熱を防ぐことができます。現場では、まず樹脂管に純アルミテープをぐるぐると巻き、その上からヒーターをストレート施工し、さらに固定テープで留めるという手順を踏みます。また、ホームセンターなどでは「樹脂管専用」と書かれたヒーターや、温度が上がると自動で出力を抑える「自己温度制御型(PTCヒーター)」も販売されています。ご自宅の配管が樹脂製の場合は、これらの専用品を選ぶことも安全のための有効な選択肢となります。
サーモスタット(温度センサー)の正しい設置位置
凍結防止ヒーターには、外気温や配管の温度を感知して、自動で電源をオン・オフする「サーモスタット(温度センサー)」がついています。このサーモスタットをどこに設置するかが、実はヒーターの効果と電気代を大きく左右する超重要ポイントなのです。
結論から言うと、サーモスタットは「配管に直接密着させ、必ず保温材の内側(中)に隠れるように設置する」のが大原則です。なぜなら、ヒーターが温めなければならないのは「外気」ではなく「配管の中の水」だからです。配管自体の温度を正確に測ることで、凍結の危険がある時だけ通電し、十分に温まったら通電をストップしてくれます。
しかし、DIYで施工された現場を見ると、この丸いサーモスタット部分を「外の気温を測るものだ」と勘違いして、保温材の外にぷらーんと露出させてしまっているケースが非常に多いのです。これをやってしまうと、配管が十分に温まっていても、冬の冷たい外気にサーモスタットがさらされているため、「まだ寒い!もっと温めなきゃ!」と勘違いして、24時間ずっとヒーターが作動しっぱなしになってしまいます。結果として、ヒーターの寿命を縮めるだけでなく、電気代が信じられないほど跳ね上がってしまいます。「ヒーターをつけたら電気代が1万円も上がった!」とご相談いただくケースの多くは、このサーモスタットの設置位置の間違いが原因です。
保温材(保温チューブ)の併用と防水テープの巻き方
ヒーターを配管に巻き付け、サーモスタットも正しい位置に固定したら、それで終わりではありません。ヒーターが発した熱を逃がさないために、必ず上から「保温材(保温チューブ)」を被せる必要があります。ヒーターむき出しのままでは、いくら電気を使っても熱が外気に奪われてしまい、極寒の日には凍結を防ぎきれません。
ホームセンターで売られている、背中にスリットが入ったポリエチレンフォームの保温チューブ(ワンタッチテープ付きのものが便利です)を配管に被せます。このとき、ヒーターのコードが無理に折れ曲がったり、サーモスタットが配管から浮いたりしないように優しく包み込みます。
保温材を被せたら、紫外線による劣化や雨水の侵入を防ぐために、外側から配管保護用のテープ(キャンバステープや非粘着のビニールテープなど)を巻いていきます。ここでのプロのコツは、「必ず下から上に向かって巻く」ことです。テープの幅の半分が重なるように、下から上へと巻き上げていくことで、屋根の瓦と同じように段差ができ、上から降ってきた雨水がテープの隙間に入り込まずに流れ落ちるようになります。逆に上から下へ巻いてしまうと、水が隙間から入り込んで保温材の中に水が溜まり、ヒーターが漏電する原因になります。
この「下から上へ」というひと手間を知っているかどうかで、施工の耐久性が何年も変わってきます。現場でテープがボロボロになり、中が水浸しになっている配管を見ると、「ああ、上から巻いてしまったんだな」とすぐに分かります。DIYで挑戦される方は、ぜひこの巻き方を実践してみてください。
費用は機種・設置状況で変わります
正確な料金は現地確認が確実です。無料見積もり・ご相談を24時間受付中。まずはお気軽にお問い合わせください。
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凍結防止ヒーターの設置にかかる費用相場はいくら?
業者に依頼した場合の費用相場は、部材代と作業費を含めて1箇所あたり15,000円から30,000円程度が一般的です。内訳はヒーター本体や保温材などの部材費が5,000円前後、基本工賃が10,000円〜となります。屋外コンセントの増設が必要な場合は、追加で15,000円〜25,000円程度かかります。
ヒーター本体や部材の料金内訳
「自分ではうまく巻ける自信がない」「安全のためにプロにお願いしたい」という場合、気になるのが費用のことだと思います。まずは、ヒーターそのものや必要な部材にどれくらいのお金がかかるのか、内訳を見てみましょう。
一般的な抵抗線型の凍結防止ヒーター(長さ1m〜3m程度)であれば、ホームセンターやネット通販で2,000円〜4,000円程度で購入できます。自己温度制御型(PTCヒーター)などの高性能なものになると、5,000円〜8,000円程度と少し高価になります。これに加えて、保温チューブ(数百円)、配管保護用のキャンバステープやビニールテープ(数百円)、樹脂管の場合は下処理用のアルミテープ(数百円〜1,000円程度)が必要です。つまり、材料費だけで見れば、1箇所あたりおおよそ3,000円〜8,000円程度で揃えることが可能です。
業者に依頼した場合の一般的な相場レンジ
では、専門の水道業者や給湯器業者に設置を依頼した場合、トータルでいくらになるのでしょうか。あくまで一般的な目安となりますが、部材費と作業費、出張費などをすべて含めて、1箇所あたり15,000円〜30,000円程度が相場レンジとなります。
内訳としては、基本となる作業工賃(技術料)が10,000円〜15,000円程度、そこに出張費が3,000円〜5,000円、そして先ほどの部材費が加算されるイメージです。配管が長く、ヒーターを巻く距離が長い場合や、狭い床下での作業など施工が困難な場所の場合は、追加の作業費が発生することがあります。私たち業者としても、お客様に安心してお任せいただけるよう、事前にしっかりと現場を確認し、お見積もりを提示してから作業に入るように心がけています。もし「格安でやります!」と数千円を提示してくる業者がいた場合は、後から高額な追加費用を請求されるトラブルも耳にしますので、必ず内訳が明確な見積もりをもらうようにしてください。
| 費用の内訳項目 | 一般的な相場目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 部材費(ヒーター・保温材・テープ等) | 3,000円 〜 8,000円 | ヒーターの種類や長さにより変動 |
| 基本作業費(工賃) | 10,000円 〜 15,000円 | 施工箇所の難易度により追加あり |
| 出張費・諸経費 | 3,000円 〜 5,000円 | 業者の拠点からの距離による |
| 合計(業者依頼時の相場) | 16,000円 〜 28,000円程度 | ※あくまで目安です |
時期や繁忙期による費用の変動
給湯器や水道管の凍結防止対策は、依頼する時期によっても費用や対応スピードが大きく変わります。水道業者にとって、本格的な寒波が到来する12月〜2月は、凍結による破裂修理や給湯器の故障対応で一年で最も忙しい「超繁忙期」となります。
この時期に「明日から寒波が来るから急いでヒーターを巻いてほしい!」とご依頼いただいても、すでにスケジュールがパンパンで数日お待ちいただくケースが非常に多いです。また、夜間や休日の緊急対応となれば、深夜・休日割増料金が加算され、通常よりも数千円〜一万円ほど高くなってしまうこともあります。現場の人間としてアドバイスさせていただくなら、凍結防止ヒーターの設置や点検は、まだ寒さが本格化していない10月〜11月の秋口に行うのがベストです。この時期であれば業者もスケジュールに余裕があり、じっくりと丁寧な施工が可能ですし、余計な割増料金もかかりません。
屋外コンセント増設など設置環境による差
前述の通り、給湯器の近くにヒーター用のコンセントがない場合は、新たに電源を確保する電気工事が必要になります。この電気工事は「電気工事士」の資格が必須となるため、水道業者とは別に電気業者を手配するか、両方の資格を持つ業者に依頼する必要があります。
屋外防雨コンセントを新設・増設する場合の費用相場は、おおよそ15,000円〜25,000円程度が目安となります。屋内から壁に穴を開けて配線を引き出すのか、それとも既存の屋外配線から分岐させるのかによって工事の規模が変わり、費用も変動します。ヒーターの設置費用と合わせると、初期費用としては4万円〜5万円程度かかる計算になりますが、延長コードを這わせて火災や漏電を起こすリスクを考えれば、決して高い投資ではありません。正確な金額は設置環境によって異なりますので、まずは専門業者に現地調査と見積もりを依頼して、最終的な判断をご相談ください。
凍結防止ヒーターを選ぶ際のポイントは?
ヒーター選びのポイントは配管の材質と節電機能の有無です。金属管には安価な抵抗線型が使えますが、熱に弱い樹脂管には専用品や自己温度制御型を選ぶか、アルミテープでの下処理が必要です。また、電気代を抑えるためには、外気温を感知して通電を制御する節電サーモの併用が非常に有効で、ランニングコストを削減できます。
抵抗線型と自己温度制御型(PTCヒーター)の違い
ホームセンターの売り場に行くと、様々な種類の凍結防止ヒーターが並んでいて、どれを買えばいいか迷ってしまうと思います。ヒーターの仕組みには大きく分けて「抵抗線型(サーモスタット式)」と「自己温度制御型(PTCヒーター)」の2種類があります。
一般的に広く普及していて価格も安いのが「抵抗線型」です。ニクロム線などの発熱線が入っており、先端についているサーモスタットが一定の温度(例えば約3℃以下)を感知するとスイッチが入り、一定の熱を出し続けます。構造がシンプルで安価ですが、前述の通り「重ね巻き」をすると熱がこもって異常過熱するリスクがあるため、施工には注意が必要です。
一方、近年人気を集めているのが「自己温度制御型(PTCヒーター)」です。これはヒーターの内部にある特殊な樹脂が温度を感知し、温度が下がると自動的に発熱量を増やし、温度が上がると発熱量を抑えるという賢い仕組みを持っています。配管の冷たい部分だけを強く温め、すでに温かい部分は出力を絞るため、無駄な電力を使いません。また、局所的な異常過熱が起きにくいため、製品によっては「重ね巻きが可能」とされているものもあります(※必ず取扱説明書をご確認ください)。価格は抵抗線型よりも高くなりますが、安全性と省エネ性を考えると、DIYで施工する方には自己温度制御型を強くおすすめします。
配管の材質(金属管・樹脂管)に合った選び方
ヒーターを選ぶ際は、必ずご自宅の配管の材質を確認してください。古い戸建て住宅などで給水管が鉄管(鋼管)や銅管などの「金属管」であれば、基本的にはどのタイプのヒーターでも使用可能です。
しかし、最近の住宅で主流となっている塩ビ管や架橋ポリエチレン管、ポリブデン管などの「樹脂管」の場合は注意が必要です。樹脂管は熱に弱いため、一般的な抵抗線型のヒーターを直接巻くと、熱で管が変形してしまう恐れがあります。パッケージに「樹脂管対応」「塩ビ管・架橋ポリエチレン管用」と明記されている専用のヒーターを選ぶか、過熱リスクの少ない自己温度制御型を選ぶようにしてください。また、対応品であっても、念のためにアルミテープを巻いて熱を分散させる下処理を行うとより安心です。現場でも、樹脂管への施工には特に神経を使います。材質がわからない場合は、無理をせずに専門業者に相談して判断を仰ぐのが確実です。
節電サーモ(節電器)を活用した電気代の節約術
凍結防止ヒーターを設置したお客様から一番よく聞かれる悩みが「冬場の電気代が高くなって困る」という声です。ヒーターは凍結を防ぐために必要なものですが、確かに複数本設置すると、ひと月で数千円単位で電気代が跳ね上がることがあります。
電気代を節約したい方に強くおすすめしているのが、「節電サーモ(節電器)」と呼ばれる後付けのアイテムです。これは、コンセントとヒーターのプラグの間に挟むようにして差し込む小さな機器です。
通常のヒーターに内蔵されているサーモスタットは、外気温が3℃〜5℃くらいになると通電を始めますが、実際には風のない日中など、まだ凍結の危険がない温度帯でもヒーターが作動してしまうことがあります。節電サーモは、より高精度に外気温を感知し、「本当に凍結する危険がある温度(例えば外気温が0℃付近)」に近づいた時だけ通電を許可する仕組みになっています。その結果、無駄な通電時間を大幅にカットでき、製品によっては電気代を半分以下に抑えることも期待できます。初期費用として数千円かかりますが、ワンシーズンで元が取れることも多いため、現場でもお客様によくご提案して喜ばれている節約術です。
給湯器の凍結防止ヒーターに関するよくある質問
お客様からよくいただく質問として、余ったヒーターの処理や夏の間のコンセントの取り扱い、給湯器本体の凍結防止機能との違いなどがあります。特に余ったヒーターを重ねて巻くのは火災の原因になり大変危険です。ここでは、日々の修理現場でよく聞かれる疑問について、プロの視点から分かりやすく明確にお答えします。
ヒーターが余ってしまった場合、重ねて巻いても良いですか?
結論から申し上げますと、原則として重ね巻きや密着巻きは絶対に避けてください。重ねた部分に熱がこもり、ヒーターの焦げや配管の変形、最悪の場合は火災につながる危険性があります。
ヒーターの長さが余ってしまった場合の正しい対処法は、配管に巻く間隔(ピッチ)を広めに取り、ゆるやかならせん状に巻き直して、配管の長さにうまく合わせることです。それでも極端に余ってしまう場合は、無理に折り返したり団子状にまとめたりせず、適切な長さのヒーターを新しく買い直すことを強く推奨します。ただし、一部の「自己温度制御型(PTCヒーター)」の中には、過熱を防ぐ機能があるため重ね巻きが可能とされている製品もあります。その場合でも、必ずメーカーの取扱説明書を読み、指定された条件を守って施工してください。安全に関わる部分ですので、自己判断での重ね巻きは厳禁です。
春や夏など、凍結の心配がない時期はコンセントを抜いた方が節約になりますか?
電気代を1円でも節約したいという理由でコンセントを抜くことは可能ですが、冬の初めに「コンセントの挿し忘れ」による凍結・破裂トラブルが多発するため、基本的には一年中挿しっぱなしにしておくことをおすすめします。
多くの凍結防止ヒーターにはサーモスタットが内蔵されており、気温が上がれば自動的に通電がストップします。そのため、春や夏にコンセントを挿したままでも、ヒーターが作動して無駄な電気代がどんどんかかるということはありません(微小な待機電力はかかります)。私たちが冬の初めに出動する「凍結して配管が破裂した」という現場の多くは、実はヒーターが壊れていたわけではなく、「春にコンセントを抜いて、そのまま秋に挿し忘れていた」というケースなのです。数百円の待機電力をケチった結果、数万円の配管修理代がかかってしまっては本末転倒です。どうしてもコンセントを抜きたい場合は、カレンダーの11月のページに「ヒーターのコンセントを挿す!」と大きく書いておくなど、絶対に忘れない工夫をお願いします。
給湯器の電源(リモコン)を切っていれば、凍結防止機能も止まってしまいますか?
室内のリモコンの電源を「切」にしていても、給湯器本体の電源プラグが外のコンセントに挿さっていれば、給湯器内部の凍結防止機能は自動で作動します。ただし、これはあくまで「給湯器内部」を守る機能です。
給湯器本体には、気温が下がると自動で内蔵ヒーターが作動したり、追い焚き用のポンプが水を循環させたりして凍結を防ぐ機能が備わっています。そのため、冬場に長期間留守にする際でも、絶対に給湯器本体の電源プラグは抜かないでください。しかし、ここで勘違いされやすいのが、「給湯器が凍結防止してくれるなら、配管のヒーターは要らないのでは?」という点です。給湯器の機能が守ってくれるのは機械の内部だけであり、給湯器から伸びている屋外の「給水管」や「給湯管」までは温めてくれません。むき出しの配管部分には、別途この記事で解説しているような凍結防止ヒーターを巻く対策が必要になります。本体の機能と、外付けヒーターの役割分担を正しく理解しておくことが大切です。
凍結防止ヒーターに寿命はありますか?
設置環境や使用状況にもよりますが、一般的な凍結防止ヒーターの寿命はおおよそ10年〜15年程度と言われています。経年劣化により正常に作動しなくなることがあるため、定期的な点検と交換が必要です。
ヒーターは常に屋外の過酷な環境(雨風、紫外線、夏の猛暑、冬の極寒)にさらされています。年数が経つと、サーモスタットのセンサーが狂って通電しなくなったり、逆に通電しっぱなしになったりすることがあります。また、コードの被膜が硬化してひび割れ、そこから雨水が侵入して漏電を引き起こすリスクも高まります。現場で「ヒーターを巻いているのに凍ってしまった」というお宅に伺うと、ヒーター自体が15年以上前のもので完全に断線しているケースがよくあります。秋口の本格的な寒さが来る前に、ヒーターに触れてみてきちんと暖かくなるか(保冷剤などをサーモスタットに当ててテストします)、コードにひび割れがないかを目視で点検し、10年を過ぎたら早めに新しいものに交換をおすすめします。
給湯器の凍結防止ヒーターの巻き方に関するまとめ
今回は「給湯器の凍結防止ヒーターの正しい巻き方」について、現場のプロの視点から詳しく解説してきました。寒い冬の朝にお湯が使えないストレスは計り知れません。それを未然に防ぐためのヒーターですが、間違った巻き方をすれば火災や漏電といった取り返しのつかない事故につながる恐れがあることを、ぜひ心の留めておいてください。
ストレート施工やゆるやかならせん巻きを基本とし、「絶対に重ね巻きをしないこと」「サーモスタットは配管に密着させて保温材の中に入れること」「樹脂管にはアルミテープ等で適切な下処理を行うこと」が、安全かつ効果的に凍結を防ぐための絶対条件です。また、雨水の侵入を防ぐために防水テープを下から上へと巻き上げるちょっとしたコツも、長持ちさせるための重要なポイントです。
DIYでの設置は可能ですが、屋外コンセントがない場合の無理な延長コードの使用は厳禁です。電源の確保や、高い場所・狭い場所での作業に不安を感じた場合は、決して無理をせず、電気工事士の資格を持つ専門の業者にご相談ください。費用はかかりますが、確実な施工と安全、そして冬の間の大きな安心を買うことができます。本格的な寒波が到来する前に、ぜひご自宅の給湯器周りの配管と凍結防止ヒーターの状況をチェックして、万全の冬支度を整えてくださいね。
▶ まず読みたい:給湯器の寿命は何年?交換時期のサインと費用目安を解説
株式会社生活水道センター 本部長
保有資格:給水装置工事主任技術者
ガス可とう管接続工事監督者 登録番号:13250405
株式会社生活水道センター 本部長。30年間、水回りトラブルの最前線でお客様の「困った」に向き合い続けてきた専門家。数えきれないほどの相談実績から、給湯器トラブルの背後にある不安を汲み取り、迅速かつ的確なアドバイスを行う。近年は全国の協力店・修理業者とのネットワーク構築にも尽力し、日本各地で質の高いサービスが提供できる体制づくりに奔走。「本当に役立つ、嘘のない情報」を届けることをモットーとしている。










