ノーリツ給湯器24号で床暖房対応へ交換する費用と工期の目安
ノーリツ 給湯器 の床暖房 対応モデルを24号へ交換したい方向けに、選び方の基本、費用と工期の目安、見積時の注意点を整理します。一般的な事例をもとにした目安であり、建物条件や既設配管によって最適解は変わります。
- 24号の選定基準と床暖房面積の目安
- 設置方式と排気方向の決め方
- 費用内訳・相場と工期の目安
- 見積準備と追加費の回避ポイント
ノーリツ給湯器24号の床暖房対応選び
関連する詳細情報は、給湯器 100 万は本当?相場と内訳と回避策にまとめていますので参考にしてください。
- 24号の湯量目安と家族人数
- 暖房能力と床暖房面積の目安
- 床暖房の低温/高温水式の違い
- GTH-C2461(エコジョーズ)の特徴
- マンションPS前方排気の選定
- 前方/上方排気の選び方
- エコジョーズのドレン排水工事
24号の湯量目安と家族人数
「24号」は給湯能力(ΔT=25℃の条件で毎分24Lの湯を連続的に作れる理論値)を示す規格で、同時に複数箇所でお湯を使う前提の世帯に向きます。例えば、浴槽への給湯・シャワー・台所の洗い物が重なる夕刻の時間帯は瞬間的な需要が高く、20号では湯温の低下や流量絞りが発生しがちです。24号なら余裕が出やすく、家族3〜4人規模で「追いだき+台所」「シャワー+洗面」などの重なりが多い家庭に適合しやすい傾向があります。ただし体感は季節(冬場は給水温度が下がる)や静水圧・配管径(13A/20A)・混合栓の吐水性能によって変わります。給湯は需要側の抵抗が大きいほど有効流量が落ちるため、シャワーヘッドやサーモ水栓の仕様、宅内配管の圧力損失も合わせて評価することが重要です。
世帯人数だけで決めず、「同時使用の組み合わせ」「ピーク時間帯」「湯張りの頻度」を具体的に洗い出すのがコツです。浴槽への全自動湯はりを多用し、かつ台所や洗面が重なる家庭では24号の恩恵が大きく、逆に単独使用が中心であれば20号でも運用可能なケースがあります。集合住宅では上層階になるほど静水圧が高くなる一方、止水栓や減圧弁の設定で実効流量が制限される場合もあり、現地での流量計測や実機の試運転確認が有効です。なお、床暖房対応の「給湯暖房熱源機」は給湯(L/min)と暖房(kW)の能力表記が異なるため、給湯だけでなく暖房側の能力・回路数・端末機器の構成も同時に点検しておきましょう。
判断の目安:夕食時の同時利用が多い/湯張りと台所が重なる/2カ所同時シャワーを想定→24号を第一候補に。
給湯の快適性は「号数×水圧×配管×水栓」の総合で決まります。交換時は止水栓の開度やフィルター詰まりも同時に点検。
暖房能力と床暖房面積の目安
床暖房の快適性は「必要熱量(kW)」「回路数(系統)」「パネル仕様」「室の断熱・気密」といった複合要素で決まります。給湯暖房熱源機は給湯の号数とは別に、暖房側の定格出力(kW)が銘板・仕様書に記載されます。ここで重要なのは、号数が同じでも暖房出力やポンプ能力(循環量・全揚程)、バイパス・混合方式の違いで実際に賄える面積や回路数が変わる点です。一般に断熱性能が高い住戸(新しめのマンションや断熱改修済み戸建)ほど必要出力は小さく、LDK中心の広面積を緩やかに温めたい場合は低温での連続運転が効率的です。逆に断熱が低い空間や開口部が大きい部屋では、立ち上がり時間が長くなるため、運転スケジュールや端末のゾーニングを工夫します。
面積の目安としては、1〜2回路で〜10畳、3〜4回路で10〜20畳、5回路以上で20畳超を目安に検討し、各回路の配管長・ヘッダー(分配器)・混合器の有無による圧力損失を見込みます。複数のパネルを1回路に束ねる場合は流量不足になりやすく、片寄った温まり(遠端の立ち上がり遅延)を招くことがあります。なお、浴室暖房乾燥機(温水式)やファンコンベクタを併用する場合は、暖房端末の同時運転時流量と必要温度条件を加味し、暖房優先/給湯優先の制御ロジックも確認しておくと安全です。既設機の交換では、現行の回路構成・サーボ・室温センサー・リモコン連動の動作履歴を把握し、同等以上の能力・制御に置き換えられるかを図面と現物で二重チェックするのが確実です。
暖房出力(kW)=床面積の単純比例ではありません。断熱・日射・上下階の影響・生活スケジュールを含めた設計が鍵です。
床暖房の低温/高温水式の違い
床暖房には大きく「低温水式」と「高温水式」があり、必要とする供給温度・流量・制御方式が異なります。低温水式はおよそ40〜50℃程度の温水を比較的多めの流量で循環させ、床全面を穏やかに温める方式で、表面温度が安定しやすく安全性・省エネ性に優れます。高温水式は60℃以上の温水を基準とし、立ち上がりが速い反面、混合器による希釈制御ややけど対策、床材の耐熱性確認が不可欠です。既設パネルの方式・推奨温度帯・許容流量はメーカーごとに異なり、対応外の温度で運転すると温まり不足や機器の保護停止、最悪の場合は床材の変形を誘発します。交換時は必ず、既設パネルの銘板・取扱説明書・分配ヘッダーの仕様から「低温/高温」「密閉/開放」「混合の有無」「最大回路数」を確認し、適合する熱源機・混合ユニット・制御リモコンをセットで選定します。
また、エコジョーズ(潜熱回収型)は低温還水ほど効率が上がるため、低温水式との相性が良い点も押さえておきたいポイントです。一方で、高温水式の既設システムへ無造作に置換すると、還水温が高止まりして効率が伸びない・ドレン量が読みにくいなどの課題が生じます。必要に応じて混合器の設定温度・三方弁の動作・ポンプ回転数を見直し、快適性と効率のバランスを最適化しましょう。安全面では表面温度の上限管理、乳幼児・高齢者のいる家庭での低温やけど対策、長時間連続運転時の室内湿度低下への配慮も重要です。疑問点がある場合は、メーカーの施工説明書・設計資料に従い、資格保有の施工業者による現地確認を前提に判断してください。一次情報はノーリツ公式の製品ページ・施工説明書から確認できます(ノーリツ公式サイト(製品情報))。
GTH-C2461(エコジョーズ)の特徴
ノーリツのGTH-C2461シリーズは、給湯・追いだき・温水暖房を1台でまかなう「給湯暖房熱源機」の主力系統で、24号(給湯)クラスかつ潜熱回収による高効率(エコジョーズ)を採用している点が特徴です。潜熱回収は燃焼ガス中の水蒸気を凝縮させて熱を回収する仕組みで、還水温度が低いほど回収効率が高まり、床暖房など低温循環系と相性が良好です。さらに、暖房端末(床暖房・温水ファンコンベクタ・浴室暖房乾燥機など)を複数系統で扱える設計が多く、住戸のゾーニングや将来の端末増設にも対応しやすい構成になっています。シリーズ名は同じでも、設置方式(屋外壁掛/PS標準/PS扉内)、排気方向(前方/上方)、ガス種(都市ガス/LPガス)、付属リモコンの仕様などで細かな型番が分岐するため、交換時は既設機の銘板・排気アダプタ形状・接続口径・暖房回路の構成を照合し、最も近い後継仕様を選ぶのが基本です。
リモコン面では、ふろ自動や暖房タイマー、エネルギー使用量の目安表示(対応モデル)など、日常運用を助ける機能がまとめられています。特に床暖房は「立ち上げ時に強め、到達後は低出力で保つ」運転が効率面で有利なため、スケジュール運転や外出時の一時停止を使い分けると省エネに寄与します。なお、エコジョーズはドレン(凝縮水)の排水処理が前提となるため、屋外であっても単純な地面放流ではなく、雨水桝や排水系統に確実に接続できる経路を事前に設計しておく必要があります。設置スペースの制約があるマンションPSでも、同シリーズには前方排気/上方排気などのバリエーションが用意されており、既設の開口や扉干渉条件に合わせて選択可能です。詳細仕様や各設置方式の可否はメーカーの製品情報・施工説明書で必ず確認してください(ノーリツ公式サイト)。
ポイント:同じ「24号」でも暖房側の定格(kW)・ポンプ能力・排気部材の可否が異なります。銘板情報と設置写真を用意して選定。
マンションPS前方排気の選定
マンションのPS(パイプスペース)に設置する給湯暖房熱源機は、建築計画・管理規約・防火区画・換気経路など複数の制約を受けます。とくにPS扉内・PS標準のケースでは、機器の排気が共用部分に影響しないよう「前方排気(前面方向に排出)」を指定する管理規約が多く、既設が前方排気であれば原則として後継機も前方排気対応を選ぶのが安全です。選定の最初の一歩は、既設機の銘板で「型式」「ガス種」「号数」を撮影し、扉を開けた状態で排気アダプタの向き・開口位置・周囲の離隔を写すこと。次にPS内のクリアランス(上下・左右・前後)と扉の干渉、排気の直線性(曲げや段差の有無)をチェックします。PS扉内は機器の前面サービススペースが限られるため、分解点検・排気部材交換の作業スペースが確保できるかも重要です。
また、PSは排水・電気・ガス・給排水配管が密集しやすく、ドレン配管の経路が取りづらいことがあります。ドレンは勾配確保と耐久性のある固定が必須で、床面トラップ・雨水立て管・室外側への導出など複数案から、共用部に影響しない方法を選びます。さらに、管理組合が定める工事申請(施工図・製品仕様書・作業時間帯・養生計画・搬出入経路)の提出が必要となるケースが一般的で、土日・夜間工事が不可の物件も珍しくありません。したがって、機器の在庫確保と管理申請のリードタイムを考慮した日程計画が欠かせません。前方排気モデルの型番は末尾記号で判別されることが多いため、メーカーの「設置方式対応表」を必ず参照し、同一ドメインの後継機から選定してください(ノーリツ|製品・施工情報)。
注意:PSで排気方向を変更すると扉干渉・離隔不足・排気再循環のリスク増。原則は既設と同方向、やむを得ない変更は設計図で検証。
前方/上方排気の選び方
屋外壁掛・PSともに、排気方向は「周囲の障害物」「風道の確保」「熱の滞留・再吸込みの回避」「保守性」の4観点で決めます。前方排気は機器正面に障害が少なく、排気が建物面に沿って滞留しにくい場合に適します。開口の前方に十分な離隔が取れる、近接する窓や換気口がない、前方スペースの養生・保守動線が確保できるなら、部材の構成もシンプルでコストを抑えやすいのが利点です。上方排気は前方に障害(手すり・壁・扉)がある、前面の離隔確保が難しい、PS扉の開閉で排気が干渉する、といった環境で有効ですが、上部での熱こもり・出流の拡散・庇との干渉に注意が必要です。上方に梁や庇が張り出す場合、排気が回り込んで再循環し、機器の温度保護が作動しやすくなることがあるため、実測のクリアランスと風の抜けを確認します。
排気方向 | 向いているケース | 主な注意点 |
---|---|---|
前方排気 | 正面が開放、窓・換気口が遠い、PS扉干渉なし | 前面離隔の確保、周辺材の熱影響、点検作業スペース |
上方排気 | 正面に障害あり、上部に空間的余裕がある | 庇・梁との干渉、熱滞留・再循環、上部離隔・清掃性 |
いずれの方向でも、近接する開口部(給気口・窓)への影響や、隣戸境界・共用廊下側への熱・臭気の流出を避ける設計が前提です。排気部材は角度・長さ・カバー形状の選択肢があり、組み合わせで流路を最適化できますが、勾配・継手の向き・固定方法を誤ると雨水侵入や振動・異音の原因になります。既設と異なる方向に変更する場合は、離隔・防火・気流を図面と現物で二重確認し、必要なら管理者・設計者の承認を得てから施工計画を固めましょう。交換当日の想定外を減らすには、現地写真(正面/側面/上部/排気出口の近接)を事前に共有し、対応可能な排気部材をすべて当日持参できるよう見積段階で品番まで確定しておくことが有効です。
エコジョーズのドレン排水工事
エコジョーズは燃焼ガス中の水蒸気を凝縮して熱を回収するため、運転中に酸性寄りの凝縮水(ドレン)が常時発生します。量は外気温や運転負荷で変動しますが、浴室追いだき・床暖房の長時間運転では数百mL〜数L/時に達することもあり、確実な排水経路の設計が不可欠です。屋外では「地面への垂れ流し」は避け、雨水桝や側溝、既設の排水系統に接続します。屋内配管やマンションPSでは勾配(一般に1/50〜1/100目安)を確保し、たるみ・逆勾配・段差を作らない配管支持が重要です。腐食や漏れを防ぐため、塩ビ管(VP/PF)や耐薬品性ホースを適材適所で使い、接着は可とう性・耐熱性を満たす製品を選定します。排水トラップの封水切れによる臭気逆流を防ぐため、縦落とし前に簡易トラップや防虫弁を組み合わせると運用が安定します。
寒冷地や北側バルコニーでは凍結対策が要点です。外気に露出するドレン管は保温材と耐候テープで保護し、長い水平配管を避け、エルボは必要最小限にします。凍結や詰まりは機器の安全停止(エラー)や漏水事故の原因になりやすく、初年度は季節の変わり目に目視点検をしておくと安心です。マンションの共用部に接続する場合は管理規約・管理組合への申請が必要なことが多く、既存の排水立て管に合流する際は、逆流・異音・振動を防ぐための接続部材や固定方法を事前に図面で確認します。PS内はスペースが限られるため、点検・清掃用の取り外し口(点検口)を設けておくとメンテ性が向上します。なお、酸性ドレンの中和器は一部の現場条件で採用されることがあり、床面材や金属部材への滴下を避けられない配置では検討価値があります。詳細はメーカーの施工説明に従い、資格保有業者の責任施工を前提にしてください(ノーリツ公式サイト)。
ドレン未処理・逆勾配・凍結は故障・漏水・近隣トラブルの要因。勾配・固定・接続先の三点を見積段階で必ず確定。
- 配管勾配:1/50〜1/100を基準に連続した下りを確保
- 接続先:雨水桝・排水立て管・屋外側溝など合法かつ安全な系統
- 保守性:点検口・清掃可否・凍結対策・防虫対策の事前設計
ノーリツ給湯器24号の床暖房対応交換工事
本体・工事費の相場と内訳
給湯暖房熱源機(24号・床暖房対応)の交換費用は、機器価格・設置方式(屋外壁掛/PS標準/PS扉内)・排気部材・ドレン工事・周辺機器(リモコン・ヘッダー)で大きく変動します。相場感としては、本体18〜32万円、マルチリモコン2〜4万円、基本工事6〜10万円、撤去処分0.5〜1.5万円、排気部材1〜3万円、ドレン工事1〜3.5万円、据置台・配管カバー1〜2.5万円が目安レンジです。PS扉内や前方排気の専用部材、既設と異なる排気方向への変更、ドレン新設が加わると、部材点数と作業時間が増えて総額が上振れします。逆に、既設と同型式の後継・屋外壁掛・既存ドレン利用可といった好条件では、工事時間と部材コストを抑えやすくなります。
見積書は「機器本体(型番記載)」「リモコンセット(型番)」「基本工事(作業範囲の記述)」「排気部材(品名・数量)」「ドレン工事(配管延長m数・固定・貫通可否)」「撤去処分」「諸経費・出張費」を分けて提示してもらうと比較が容易です。割安に見える見積でも、当日追加(排気アダプタ不足・ドレン経路変更・架台交換など)が重なると結果的に高くつくことがあります。複数社比較では、現地調査の精度(写真の要求内容、銘板情報の読み取り、PS寸法採寸)と、工事保証の明記(年数・範囲)を評価軸に含めましょう。キャンペーンや決算期の値引きが機器価格に反映されることもありますが、在庫確保と工期の両立が前提です。支払いは現金・振込・カード・分割など事業者により異なるため、手数料・キャンセルポリシーも事前に確認しておくとトラブルを避けられます。
比較の勘所:型番と排気部材の整合、ドレン配管の手当て、工事保証の年数。ここが揃っていれば当日追加のリスクは小さい。
- 総額の目安:標準条件で35〜55万円、PSや部材追加で50〜75万円に収まる事例が多い
- 高額化の要因:排気変更・長尺ドレン・架台更新・暖房端末やヘッダー不具合の同時対応
- 節約のコツ:既設方向を踏襲・写真精査で事前確定・繁忙期を外した日程調整
交換工事の流れと所要時間
- 現地確認:型番・ガス種・設置方式・排気方向・床暖房系統を確認
- 見積・部材手配:排気・ドレン・リモコン・台の適合を確定
- 施工当日:ガス遮断・排水受け・既設撤去・新設据付・配管接続
- 試運転:給湯・追いだき・床暖房・漏れ・排水・エラー履歴を確認
- 取扱説明:リモコン設定・凍結対策・日常メンテの説明
所要時間は標準的な屋外壁掛で半日程度、PS内やドレン新設を伴う場合は1日程度を見込むケースが一般的です。住戸条件や共用部の養生・駐車環境で前後します。複数系統の床暖房や温水式浴室暖房乾燥機の同時接続では、エア抜きと流量調整に時間を要するため、夕方の需要ピーク前に完了するスケジュールを推奨します。居住者側の準備としては、浴槽の残り湯を排水、床暖房を事前停止、リモコン周りの荷物撤去、通路・玄関の養生スペース確保、駐車スペースの手配が挙げられます。完了後は、取扱説明(自動湯はり・省エネ設定・凍結運転・異常時の連絡先)を受け、保証書・施工写真・型番一覧をファイリングして保管しましょう。初冬の立ち上がり時期には一度、床暖房の動作とドレンの排水状況を点検し、気になる点があれば施工店のアフター窓口に相談するのが安心です。
工期短縮の鍵:銘板写真の鮮明化・PS寸法の採寸・排気/ドレンの接続先確定。当日の「想定外」を減らすほど仕上がりは安定。
追加費用が出やすい要因
見積の総額は「機器代+基本工事」に加え、現場ごとの制約から発生する追加項目で大きく変動します。とくにマンションPSやバルコニー設置では、既設の排気方向と異なる構成を選ぶと専用アダプタ・曲り部材・カバー類が増え、部材費と手間が同時に上振れします。前方排気→上方排気(またはその逆)への変更、PS扉内での開口位置の微調整、庇や手すりとの干渉回避のための延長部材採用は代表例です。エコジョーズ特有のドレン配管も追加の起点で、既存に接続できず新設が必要な場合は、貫通部の穿孔・勾配確保・固定金具・防水処理に時間がかかります。屋内経路や長尺配管ではトラップや逆流防止部材を挟むため、部材点数と止水検査の工程が増えます。
暖房系では、床暖房ヘッダー・混合器・サーボの劣化や漏れが同時に見つかると交換提案が入ることがあります。既設が高温水式で新機を低温運転前提に合わせる場合、混合ユニットの追加・設定変更が必要となるケースもあります。また、据置架台の腐食・変形、外装パネルの錆、配管保温材の劣化などは安全上の理由で更新を推奨されやすく、結果として付帯費が積み上がります。ガス種の変更(都市ガス⇔LPガス)や減圧弁の調整・交換、電源コンセント位置の移設・接地工事、戸建での配管やり替え・配管カバー新設、管理組合の工事申請費・養生費なども見落としがちな項目です。これらは現地調査の精度が高いほど事前に顕在化し、当日の「想定外」を抑制できます。疑わしい要素があるときは、見積段階で写真と図面を用いて「必要になる/ならない」の分岐条件と金額を明記してもらい、当日判断の幅を最小化しましょう。
- 排気:方向変更・延長・開口調整による専用部材の追加
- ドレン:新設ルート・貫通・固定・凍結対策の工数増
- 暖房系:ヘッダー・混合器・サーボ・バルブの劣化交換
- 架台/外装:腐食・強度不足による据置台/カバー更新
- 法規/管理:管理申請・作業時間制限・養生/搬入動線の制約
追加費は「写真不足・仕様未確定・当日判断」で増えがち。見積時に分岐条件と単価を事前合意し、当日の裁量を最小化。
メーカー保証と工事保証の違い
メーカー保証は機器固有の製造上の不具合を対象とし、自然故障の範囲で無償修理・部品交換を受けられる制度です。一方、工事保証は施工に起因する不具合(配管接続部の漏水、排気部材の固定不良、電気配線の接触不良など)を施工店が保証する枠組みで、責任の所在と適用範囲が根本的に異なります。例えば、熱交換器の製造不良はメーカー保証の領域ですが、ドレン管の逆勾配や排気アダプタの締結不足による不具合は工事保証の対象となります。保証期間は事業者・商品カテゴリーにより異なり、消耗品(パッキン・フィルター・電池等)や周辺機器(リモコン・混合器)が別枠とされることもあります。
延長保証(任意加入)は、メーカー系・販売店系・第三者保証会社系の3系統があり、対象範囲・免責・修理回数制限・出張費の扱いが大きく異なります。加入前には、自然故障の定義、経年劣化・腐食・凍結・落雷・異常電圧・配管内異物の扱い、工事不備が疑われる場合の切り分け手順(一次切り分け費用の負担)を確認しましょう。管理組合・賃貸管理を介する場合は、窓口(居住者⇔管理会社⇔施工店⇔メーカー)の連絡ルートと、緊急時(ガス漏れ・一酸化炭素警報・水漏れ)の一次対応手順を事前に書面化しておくと、トラブル時の復旧が速くなります。保証を最大限に活かすには、施工写真・型番・シリアル・工事日・担当者名・試運転チェックリストの保管が有効で、点検や不具合連絡の際の説明コストを大きく下げられます。
確認ポイント:対象範囲・期間・免責・窓口・切り分け手順・出張費の扱い。延長保証は「適用条件」と「除外項目」を必ず精読。
見積依頼の必須情報と写真例
交換工事の正確な見積と当日の手戻り防止には、事前の情報提供が最重要です。最低限そろえたいのは、①既設機の銘板写真(型式・ガス種・号数・製造年)、②設置場所の全景(PS内なら扉開閉状態と上下左右のクリアランス、屋外壁掛なら上部庇・手すり・窓位置を含む)、③排気方向の近接(アダプタ形状と周辺障害物)、④ドレン経路(接続先・勾配・凍結リスク部位)、⑤床暖房ヘッダー/混合器の構成(系統数・ラベル・漏れ跡の有無)、⑥リモコンの型番と設置位置、の6点です。写真は「全体→中景→近接→銘板」の順で、水平垂直を意識して反射を避け、暗所は補助光で文字を読み取れる明るさにします。採寸はPS内の幅・高さ・奥行、扉開口寸法、排気開口からの離隔、据置台の寸法・腐食状況、ドレンの立ち上がり位置を抜け漏れなく。
項目 | 必須内容 | 撮影/採寸のコツ |
---|---|---|
銘板 | 型式・ガス種・号数・製造年 | マクロ/明るく・指で隠さない・二枚以上 |
設置全景 | PS/屋外の上下左右クリアランス | 広角で床〜天井・扉開閉も撮影 |
排気 | 方向・アダプタ形状・近接障害物 | 正面/側面/上部の三方向 |
ドレン | 接続先・勾配・露出部 | 水平器アプリで勾配確認、凍結箇所に印 |
暖房系 | ヘッダー・混合器・系統数 | 系統ラベルを読み取れる距離で |
リモコン | 型番・設置位置・枚数 | 台所/浴室/床暖房用を別々に |
- ファイル名の例:
2025-09-PS全景A.jpg
、銘板-GTH-C2461.jpg
、ドレン-雨水桝-接続予定.jpg
- 動画も有効:排気干渉や通路搬入経路を短尺クリップで共有
- 要望メモ:希望日程・支払方法・工事時間帯の制限を併記
「写真6点+採寸5項目」を先出しすれば、型番適合・排気/ドレンの確定精度が上がり、当日の追加費・工期延長を抑制できます。
まとめ|ノーリツ給湯器24号床暖房対応交換
- 二十四号は同時使用に余裕があり四人前後の世帯に適し冬季の湯温低下にも安定した供給が期待できる
- 給湯快適性は号数と水圧と配管と水栓の総合で決まり交換時は止水栓開度とフィルター状態も確認する
- 床暖房は回路数と面積と断熱性能のバランス設計が重要で配管長とヘッダー損失を含めた流量設計が要点となる
- 低温水式か高温水式か既設方式を確認し適合機と混合器と制御を選び方式不一致による温まり不足を回避する
- エコジョーズは低温還水で効率が上がり床暖房と相性が良く長時間運転でのガス使用量低減が見込める
- マンションの設置は前方排気指定の有無を必ず確認し既設と同方向を基本に扉干渉と離隔条件を満たす
- 排気方向は離隔条件と風道確保を基準に選び熱の滞留と再循環の回避と保守スペース確保を優先する
- ドレン排水は勾配と固定と接続先を事前に確定し凍結や逆流や漏水のリスクを抑える設計と施工を行う
- 機器費と部材費と工事費の内訳を分けて見積比較を行い型番と排気部材とドレン工事の整合性を重視する
- 標準工事は半日程度の想定で現場条件により一日程度となるため在宅対応と養生計画を準備しておく
- 追加費は排気変更やドレン新設や架台更新で増えやすく分岐条件と単価を見積段階で明確に合意しておく
- 保証はメーカー保証と工事保証の対象範囲の違いを理解する
- 見積時は銘板や設置周辺の写真を多角的に用意して共有する
- ガス種や配管径や水圧の条件確認で当日の手戻りを防止する
- リモコンや床暖房ヘッダーの互換性を事前に整理しておく
- 季節と在庫と管理規約の制約を加味し工期を計画的に組む
- 初冬の立ち上がり前に試運転を実施し床暖房と追いだきとドレン排水の確認で不具合を早期発見する
よくある質問(FAQ)
24号と20号で迷っています。床暖房を使うならどちらが向いていますか?
同時にお湯を使う場面が多い、追いだきと台所の重なりがある、床暖房の立ち上げと給湯が重なる、といった使い方なら24号が余裕を確保しやすい選択です。単独使用中心であれば20号でも足りる場合がありますが、冬季や上層階では24号が安定しやすい傾向です。
ノーリツのGTH-C2461シリーズは床暖房に対応していますか?
GTH-C2461は給湯・追いだき・温水暖房に1台で対応する熱源機で、床暖房や浴室暖房乾燥機などの温水端末と組み合わせやすい設計です。設置方式(屋外壁掛・PS標準・PS扉内)や排気方向で型番が分かれるため、既設仕様と照合して選定します。
旧型番(例:GTH-2454)からの交換で互換性はありますか?
後継機に置き換え可能なケースが多いものの、排気方向・接続口径・リモコン互換・暖房端末の構成などで部材追加や配管位置調整が必要になる場合があります。銘板写真と設置写真を基に、後継表と施工説明に沿って確認するのが安全です。
エコジョーズのドレン排水は必ず必要ですか?
必要です。潜熱回収により凝縮水(ドレン)が発生するため、雨水桝や排水系統への確実な接続と勾配・固定の確保が前提となります。未処理は漏水・腐食・停止エラーの原因になります。
マンションPSに設置できますか?前方排気の指定があると言われました。
管理規約や建築条件で前方排気が指定されることが多く、該当のPS対応・前方排気モデルを選びます。扉干渉や離隔、ドレン経路を含めた可否判断が必要です。
床暖房の回路数(系統)はどこまで対応できますか?
機器の暖房定格やポンプ能力、ヘッダー構成によって変わります。一般的な住戸では1〜4回路程度が多いですが、面積・断熱・端末機器の同時運転条件で必要能力が変動します。現場の回路図と実測で確認します。
都市ガスからLPガス(またはその逆)に変更予定です。型番選びはどうなりますか?
ガス種は型番末尾や仕様で固定されており、現場のガス種に適合する機種を選びます。改造や変換は行わず、必ずガス種適合品で交換します。
既設のリモコンは流用できますか?
世代や通信方式の違いで流用できないことが多く、交換を前提に考えると確実です。浴室・台所・床暖房用など、必要な点数と設置位置を見直しておくと工事がスムーズです。
浴室暖房乾燥機と床暖房を同時に使っても大丈夫ですか?
暖房端末の同時運転は可能ですが、流量・温度条件と制御(暖房優先/給湯優先)で体感が変わります。同時使用が多い場合は回路構成の見直しや運転スケジュールの最適化が有効です。
工期とお湯が使えない時間はどれくらいですか?
標準条件の屋外壁掛で半日程度、PS扉内やドレン新設を伴う場合は1日程度が目安です。お湯が使えないのは撤去〜据付〜試運転の間で、概ね半日前後を想定します(現場条件で前後します)。
費用を抑えるコツはありますか?
既設と同一の設置方式・排気方向を踏襲し、見積段階で排気部材・ドレン経路・据置台の要否を確定することが有効です。鮮明な写真提供と採寸で当日の追加発生リスクを減らせます。
補助金や支援制度は使えますか?
省エネ関連の支援制度が地域や年度で用意されることがありますが、対象機器・申請時期・施工条件が細かく指定されます。最新の制度は自治体や事務局の公表情報を確認してください。
どの情報を見れば仕様や設置可否を確認できますか?
最終判断はメーカーの製品情報・施工説明書に従います。詳細はノーリツ公式の製品ページで確認できます。現場判断は資格保有の施工業者に依頼してください。
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