給湯器 種火の確認方法とエラー11・12の原因と復旧手順

給湯器の種火やパイロットランプの確認方法、エラー11・エラー12の主な原因と復旧の流れを、安全に配慮しつつ整理します。機種や設置環境により挙動は異なるため、以下は一般的な手順として参考にしてください。異臭や異音がある場合は直ちに使用をやめ、ガスの元栓を閉めて専門業者へ連絡してください。

  • 種火(パイロット)の見え方と確認手順
  • 点火方式と検知センサーの基礎知識
  • エラー11・12の代表的な原因と対処の流れ
  • 自分でできる確認と業者に依頼すべき境界

給湯器 種火の基礎と確認手順

種火とは?役割と見え方

種火とは?役割と見え方

「種火(たねび)」はメインバーナーに火を移すための小さな炎を指し、ガス機器の起点となる燃焼源です。かつては常時点灯のパイロット火が一般的でしたが、現在の家庭用給湯器の多くは瞬間点火方式(必要時のみ点火)を採用し、普段は炎が存在しません。給湯栓を開く、追いだきを開始するなどの「燃焼要求」が出た瞬間に、点火プラグ(イグナイタ:高電圧で火花を飛ばす部品)がスパークを発生し、ガス電磁弁が開いて混合気に着火します。このとき小さな補助炎(パイロット相当)を用いる機種もあれば、直接メインバーナーへ着火する機種もあります。したがって覗き窓があっても常に炎が見えるとは限らず、「点火音」「リモコンの燃焼表示」「排気の温感」など複合的に状態を判断するのが実務的です。炎を視認する場合は、換気を確保した上で周囲が十分に冷えてから、無理な姿勢で覗き込まず、懐中ライトで周囲を照らしながら安全に確認します。黄色く長い炎やススの付着は不完全燃焼(酸素不足・混合不良)の兆候であり、吸排気グリルの塞ぎ込み、フィルターの詰まり、強風の影響など環境要因の点検が先決です。なお、室外機では風・日光の反射で炎が判別しづらいこと、屋内設置機では換気不足が重大事故につながることを踏まえ、異臭(ガス臭/刺激臭)や異音、異常な発熱が伴う場合は即時停止・元栓閉止・専門業者への連絡を基本としてください。機種ごとに構造や確認窓の位置は異なるため、取扱説明書で「点検窓の位置」「表示ランプの意味」「注意事項」を必ず事前確認し、無理な分解・改造行為は行わないことが安全管理上の大前提です。

メモ:視認窓があっても角度や明るさで見えにくい場合があります。暗所でのぞかず、懐中ライトで周囲を照らすと安全に確認できます。

パイロットランプと表示の意味

パイロットランプと表示の意味

「パイロットランプ」という言葉は、実機の小炎を指す場合と、リモコンや本体の表示灯(インジケーター)を指す場合があり、現場ではしばしば混同されます。現在主流の給湯器では、燃焼・点火・運転・エラーといった状態を、LEDの点灯・点滅、数値エラーコード、アイコン(炎マーク・スパナ・警告)で示す設計が一般的です。重要なのは、燃焼ランプが点灯=常時種火があるという意味ではないことです。瞬間点火方式では、需要時のみスパーク→着火→炎検知→燃焼安定というプロセスを踏むため、燃焼ランプの点灯は「燃焼成立」を表し、種火の常時保持とは無関係です。また、点滅パターンや同時点灯にはメーカー固有の意味があり、予備運転(プレパージ:送風による換気)、残熱運転、凍結防止ヒーター稼働、自己診断モードなどが表示に反映されます。エラー表示は代表的に「11/111=点火不良」「12=燃焼継続不可(立ち消え)」と解釈されがちですが、同じ数字でも定義・切り分け手順が異なる機種があるため、公式の対応表で確認することが不可欠です。表示灯に頼りすぎず、ブレーカー・電源プラグ・リモコン主電源の状態、マイコンメーター遮断の有無、ガス臭の存在など基本条件を同時に照合すると、誤診を防げます。さらに、一時的な環境要因(強風・低温・高湿度)でエラーが発生し、時間経過や環境改善で自然回復するケースもあるため、連続再点火を避けて原因除去を優先する姿勢が安全です。最終的に、表示=結果、原因=別にあるという視点で、表示と現象を切り離して整理すると、復旧までの手戻りを最小化できます。

点火方式と炎検知の仕組み

点火方式と炎検知の仕組み

点火は一般に、①需要検知(給湯栓開・追いだき指令)→②予備運転(プレパージ:ファンで燃焼室の空気を入れ替え)→③点火プラグの高電圧スパーク→④ガス電磁弁の開放→⑤パイロット相当炎またはメインバーナーへの初炎形成→⑥炎検知成立→⑦出力制御(目標温度まで燃焼量を調整)という順で進みます。ここで鍵を握るのが炎検知です。代表的には、炎が帯電している性質を利用したフレームロッド(炎検知棒)が微小な整流電流(イオン電流)を検出し、制御基板が「炎あり」と認識します。別方式として、サーモパイル(熱電対を多数直列化)や熱電対単体の起電力で安全弁を保持する設計もあります。いずれの場合も、電極の煤・腐食・水濡れ、位置ズレ、配線接触不良は検知信号を低下させ、点火直後にガス弁が閉じる(立ち消え)原因になります。環境起因では、強風や逆風で火炎が揺さぶられる排気ダクトの詰まりや脱落でドラフトが崩れる、吸気口の塞ぎ込みで酸素不足になる、といった要因が検知不成立を誘発します。さらに、LPガスの低温時の気化不足水量不足(ストレーナ目詰まり)電源電圧の変動も点火性に影響します。ユーザーが行えるのは、通電停止・冷却後に可視範囲の埃や煤を乾いた柔らかいブラシで除去する、吸排気グリルの清掃、周辺の可燃物や障害物の撤去といった非分解の範囲に限られます。電極ギャップの調整、ガス圧の測定、ドラフト異常の是正、基板や電磁弁の診断は専門領域であり、分解や改造は禁物です。点火が「たまに成功する」場合も、検知しきい値ギリギリで不安定に成立している可能性が高く、早期の点検依頼が安全と費用の両面で合理的です。

熱電対・サーモパイルの仕組み

熱電対・サーモパイルの仕組み

熱電対は、二種類の金属を接合した「接点」に温度差が生じると微小な電圧を生む性質(ゼーベック効果)を利用したセンサーです。ガス機器ではパイロット炎や初期炎がこの先端を直接あぶることで電圧が発生し、これを安全弁の保持や燃焼継続の判定に使います。サーモパイルは複数の熱電対を直列接続して出力電圧を高めたもので、制御基板の入力や小型電磁弁の保持に余裕を持たせやすい構造です。いずれも先端位置・炎の当たり方・汚れが性能を大きく左右します。例えば、先端が炎の芯から外れる、煤や酸化被膜で覆われる、熱変形で先端が丸まると、起電力が低下して「火は見えているのに検知が成立せず消える」現象が発生します。また、長期使用での金属疲労や、強い衝撃・水濡れによる内部断線、接続端子の接触抵抗増大も不安定化の要因です。ユーザー側でできるのは、通電を切り完全に冷えたことを確認してから、可視範囲の煤を柔らかい乾いたブラシで軽く払う程度にとどめることです。薬剤や研磨材は表面を傷め、むしろ検知感度を悪化させます。炎色が黄色く長い、すすが周囲に堆積する、燃焼音が不均一といった「燃焼自体の乱れ」がある場合は、熱電対の問題だけでなく、ガス・空気比の乱れ、吸排気のドラフト不良、バーナーポートの閉塞など複合要因が想定されます。こうしたケースでは素人判断での部品交換や曲げ直しは禁物で、プロによる位置調整・発生電圧の実測・ドラフト点検を伴う総合診断が必要です。なお、構造上サーモパイルが健全でも、制御基板のリファレンス不良や配線ハーネスの接触不良によって等価的に出力不足と誤認されることもあり、局所部品に断定する前に「系」として点検する視点が重要です。

イグナイタの点検・交換目安

イグナイタの点検・交換目安

イグナイタ(点火プラグ)は、トランスで昇圧した高電圧を電極先端に印加してスパークを飛ばし、混合気へ着火させる要の部品です。劣化や汚れが進むと、①スパークが弱い/散る、②電極先端が欠けている・クラックがある、③絶縁体のリークで「パチッ」という音が小さくなる、④雨や結露後に失火が増える、などの兆候が出ます。まずは通電を止め、完全冷却後に目視できる範囲の煤・白華・水分を確認します。清掃は乾いた柔らかいブラシと無塵布で軽く拭うのみで、水洗い・溶剤・金属ブラシは避けます。電極とバーナーの相対位置(ギャップ・向き)が外れていると、正しい場所に火花が落ちず、点火遅れや失火の原因となりますが、ギャップ調整はメーカーの規定値と治具が必要なためユーザー調整は不可と考えるべきです。配線側では、高圧コードの被覆ひび割れや端子緩み、端子部のカーボントラッキングが典型的な故障要因です。暗所で運転するとリーク光が見える場合もありますが、感電・火傷・引火の危険があるため推奨できません。交換目安は使用年数・着火回数・設置環境に依存しますが、点火音はするが着火しない/再発するといった症状が繰り返される、清掃や環境改善で解消しない、他の要因(ガス遮断・メーター・吸排気)が除外できるといった条件が重なれば、点検・交換を前提にした対応が合理的です。また、イグナイタ単体ではなく、燃焼制御基板・ガス弁・炎検知回路の健全性をあわせて点検することで、部品の無駄替えや再発を防げます。純正同等品以外の流用や改造は、火災・CO事故の重大リスクとなるため厳禁です。

安全装置の基礎と換気の注意

安全装置の基礎と換気の注意

給湯器には複数の安全装置が層をなして組み込まれています。代表例は、①点火不成立時にガスを遮断するフレームロッド/サーモ系の安全回路、②燃焼中の炎消失を検知して停止する立ち消え安全装置、③排気の逆流やドラフト不良を検出するドラフトスイッチ(排気安全装置)、④熱交換器や出湯温の異常上昇を抑える過熱防止、⑤風呂の空焚きを防ぐ空焚き防止などです。これらは「壊れて止める」のではなく、危険を未然に遮断するために正常に止まるという性質を持ちます。例えば、強風・給排気グリルの塞ぎ込み・排気筒の脱落や詰まりは、ドラフト不良を招き安全装置が作動して停止するのが正しい挙動です。室内設置機では、換気不足が即一酸化炭素(CO)事故の危険につながるため、運転中の換気確保、吸気口の確保、レンジフードとの同時使用による負圧の影響などにも配慮が必要です。清掃や模様替えで吸排気口を覆ってしまう、屋外機周囲に物置や目隠しを近接設置する、雪や落ち葉で自然に塞がれる、といった日常的な要因でもエラーや不完全燃焼は起こり得ます。ユーザーが行える予防策は、①吸排気まわりの定期清掃、②周囲30cm以上の空間確保(機種仕様に準拠)、③可燃物の撤去、④風向・建物形状に応じた風の影響評価などです。一方、排気筒の勾配や接続不良、ドラフト計測、燃焼調整は専門作業に該当し、DIYは厳禁です。エラー解除後に同症状が再発する場合は、装置が「守って止めている」サインと捉え、原因除去まで運転を控える姿勢が事故防止につながります。

給湯器 種火トラブルの原因と復旧

種火がつかない時の初期チェック

種火がつかない時の初期チェック

「まったく着火しない」「カチカチ音がしない」「表示は点くが火が入らない」といった症状は、まず電源・ガス・水量・環境の4系統に分けて切り分けるのが近道です。電源では、コンセント抜け、ブレーカーの遮断、延長コードやテーブルタップの接触不良、リモコン主電源の誤操作(長押しでOFFのまま)などの初歩的な要因が想定されます。停電明けは内部保護で一時的に起動が遅れることがあるため、再起動(リモコン長押し→OFF→ON)と本体の電源プラグ差し直し(5〜10秒待機)を実施します。ガス系では、元栓・中間コックの開度確認に加え、マイコンメーターの遮断の有無を確認します。地震後や長時間連続使用、過流量検知で遮断されると、どれだけ操作しても点火しません。遮断中はメーターの表示ランプや窓に案内が出るため、屋外のメーターボックスを開けて確認します。水量系は見落としがちですが、台所・洗面・浴室のいずれも弱い/脈動するならストレーナ(給水フィルター)の目詰まりを疑います。フィルター清掃は取扱説明書の手順に従い、止水の上でパッキンを傷めないように行います。環境系では、吸気口・排気筒・グリルの塞ぎ込み(ラティス・植木・カバー・雪・落ち葉)や、暴風・逆風、室内機の換気不足を点検します。着火音が皆無なら電源・リモコン・安全回路、カチカチ音はするが炎が出ないならガス供給・ガス弁・イグナイタ、点火してもリモコンに燃焼マークが出ない/直ちに消えるなら炎検知・センサー系を優先的に疑います。なお、清掃や復帰操作前には必ず電源を抜き、機器の高温部が完全に冷えていることを確認してください。ガス臭や刺激臭、異音・異常発熱を伴うケースでは、復帰操作や繰り返し点火は行わず、元栓閉止と換気を最優先にして専門業者へ連絡します。

すぐ消える・立ち消えの対策

すぐ消える・立ち消えの対策

「一瞬つくが直ちに消える」「何度も点いたり消えたりを繰り返す」現象の多くは、炎検知が成立しない燃焼継続条件が満たせないことが原因です。代表例は、フレームロッド(炎検知棒)の煤・酸化皮膜・水濡れ、熱電対/サーモパイルの出力低下、電極位置のズレ、配線ハーネスの接触不良、強風・逆風による火炎の吹き飛び、排気ダクトの詰まりや脱落によるドラフト不良などです。ユーザーができる一次対応は、①電源を抜いて完全冷却、②可視範囲の埃・煤を乾いた柔らかいブラシで軽く除去、③吸排気グリルの清掃、④屋外機周囲30cm以上の空間確保、⑤暴風時の使用を控える、といった非分解の衛生・環境改善に限定します。水や溶剤、研磨材はかえって表面を傷め検知感度を落とすため厳禁です。燃焼が安定してもリモコンに燃焼表示が出ない、あるいはエラー12(燃焼継続不可)が即時発生する場合、保護装置が正常に機能してガスを遮断している可能性が高く、繰り返しの再点火は危険です。特に、黄色く長い炎、煤の堆積、焦げ臭、排気口周辺が異様に熱い・冷たいなどの兆候は混合比の乱れ/ドラフト異常を示すサインで、ユーザー範囲を超えます。長期使用や屋外過酷環境での再発例では、熱電対・イグナイタ・配線・ドラフトスイッチ・ガス弁・制御基板など複数箇所の経年劣化が同時進行していることも多く、部分交換の繰り返しより総合診断のほうが費用対効果に優れる場合があります。再発を繰り返す、環境改善後も症状が残る、異臭・異音・エラー頻発のいずれかに該当する場合は、使用中止のうえ点検を依頼するのが安全です。

冬に点きにくい時の対処

冬に点きにくい時の対処

冬季は複合的に点火条件が厳しくなります。LPガスは気化温度の関係で低温時にボンベ内部圧が低下し、需要が重なる朝夕は一時的に供給が細くなることがあります。都市ガスでも、外気温の低下で燃焼室内が冷え切るため、初期炎が安定しにくく、フレームロッドのしきい値に達するまで時間がかかる傾向があります。さらに、外置き機は結露が凍ってセンサーやバーナーポートに付着、吸排気グリルやドレン排出口の凍結・着雪・着氷がドラフトを阻害します。対処として、①配管の保温材の補修・追い巻き、②屋外機周りの除雪・除氷、③風の通り道を避ける設置環境の見直し(改造不可/移設は専門業者)、④連続運転前に短時間の予備運転で機内を温める、⑤LPガスでは残量・ボンベ結露の状態を定期確認、を徹底します。給水側では、ストレーナの軽微な目詰まりが低温での粘度上昇と相まって水量不足(最低作動流量未満)を招くため、清掃の頻度を上げると効果的です。暴風雪・寒波のピーク時は、風向が変わるだけで排気が押し戻され、エラー12が出やすくなります。こうした時間帯は、無理に再点火を繰り返さず、風雪が弱まったタイミングで再試行するのが安全です。なお、凍結が疑われる場合に熱湯を配管へ直接かける行為は破裂や変形の原因となるため避け、ぬるま湯・室内側からの温風・保温材の追加など穏当な手段を選びます。寒冷地では、機種選定時に耐低温仕様・凍結予防ヒーターの有無を確認し、屋外機の設置高さや風の巻き込みに配慮した計画が、シーズン全体の安定稼働につながります。

強風・排気不良で消える場合

強風・排気不良で消える場合

強風・ビル風・季節風の通り道では、燃焼室からの排気が押し戻される「逆圧(バックドラフト)」が生じ、炎が大きく揺さぶられて立ち消え安全装置が作動しやすくなります。屋外設置機では、建物の角・吹き溜まり・狭い通路・片側が壁で片側が開放された“風の加速路”が典型的なリスクポイントです。まずは運転前に、①吸気口・排気口・グリルの塞ぎ込み(雪・落ち葉・虫よけ網の目詰まり・ガーデンフェンス)を除去、②フードやルーバーの破損・変形を点検、③周囲30〜50cm程度の空間確保(機種仕様による)を徹底します。風が強い時間帯に限って消えるなら、環境要因の可能性が高く、無理な再点火よりも風が弱まる時間帯への運転シフトが安全です。
排気筒(煙突)を持つ機種では、勾配不良・継手の隙間・脱落・長さ過多・曲がり過多がドラフト性能を大きく落とします。屋根上や外壁の端末金物が緩んでいると、局所的な乱流が発生して逆流の原因になります。これらは専門領域の点検・調整に該当し、DIYでの延長・短縮・方向変更・遮風板の取り付けは禁物です。室内設置機(開放式・半密閉式)では、レンジフードや24時間換気との同時運転で室内が負圧になり、排気が引きにくくなる例があります。窓の一時開放や給気口の解放で改善する場合は、換気計画の見直しが必要です。
実務的な切り分けは、①天候と症状の相関メモ(風速・風向・時間帯)、②屋外端末の霜・結露・煤の付着状態、③再点火までの時間とエラーの再現性を記録すること。黄色く長い炎・煤の増加・異臭が同時に出る場合は不完全燃焼の兆候であり、即時停止と専門点検が必須です。カバーや目隠しの追加は見た目の改善にはなっても、流体的に逆効果のことが多く、メーカー指定の風防部材や設置条件に従うのが唯一の安全策です。繰り返しになりますが、強風下での再点火の連打はガス滞留・不完全燃焼のリスクを高めるため避け、原因除去・環境改善を先行させてください。

エラー11・111・12の意味と対処

エラー11・111・12の意味と対処

エラー表示は結果を知らせるアラートであり、原因は複数の候補が並列します。一般的には「11/111=点火不良」「12=燃焼継続不可(立ち消え)」の傾向ですが、同一数値でもメーカーや世代で定義が異なるため、最終判断は必ず機種別の取扱説明書・サービス資料に従ってください。現場での実務的フローは次の通りです。①安全確保(異臭・異音・異常発熱があれば即停止・元栓閉止)、②リモコン・本体電源のOFF→ON、③マイコンメーター遮断の確認(遮断時は復帰操作を先に行う)、④吸排気・周辺環境の是正、⑤再試行(1〜2回に限定)。これで解消すれば偶発的要因の可能性が高く、再発傾向がなければ様子見で構いません。
一方、再試行のたびに即時に同じエラーが出る、あるいは点火音はするが炎が立たない場合は、イグナイタ・ガス弁・配線・制御基板・ガス圧・電源電圧など機器側要因の割合が上がります。着火して数秒〜十数秒で12が発生するなら、フレームロッドの感度低下、熱電対/サーモパイル出力不足、強風やドラフト不良による炎の不安定化が典型です。ユーザーが行えるのは、電源遮断と完全冷却のうえでの可視範囲清掃・吸排気グリルの目詰まり除去・周囲の空間確保まで。部品交換やギャップ調整、ガス圧・ドラフトの測定は有資格者の作業です。
復旧時の注意点として、(a)連続リセットや再点火の乱発はガス滞留や着火遅れの要因となる、(b)低温・強風・高湿など環境依存エラーは時間帯の変更で改善することがある、(c)症状・天候・使用条件・エラー時刻のログ化は業者の診断を大きく短縮する、の3点を押さえましょう。最後に、エラー解除=原因解決ではありません。繰り返すときは機器が意図的に「守って止めている」サインと受け止め、原因除去まで運転を控えるのが安全です。

マイコンメーターの復帰手順

マイコンメーターの復帰手順

ガス供給がマイコンメーター(ガスメーター)で遮断されていると、いくら操作しても点火できません。遮断要因は、地震動検知、長時間連続使用、過流量、圧力異常、屋内の急な負圧など多岐にわたります。復帰の基本手順は、①ガス臭がないか確認(臭気がある場合は復帰せず元栓閉止・換気・事業者連絡)、②屋外のメーターボックスを開けて表示ランプや液晶表示を確認、③復帰ボタン(または復帰つまみ)を案内表示に従って押す/回す、④安全確認の待機時間(約3分目安)は器具の操作を行わず経過を待つ、⑤待機終了後に給湯器の電源を入れ直し、通常操作で点火を試みる、という流れです。復帰直後にまた遮断される場合は、どこかで異常が継続している可能性が高く、無理に再復帰を繰り返すのは危険です。
LPガスではボンベ残量低下や気温低下で蒸発能力が不足し、一時的に供給が細ることがあり、同時使用機器を絞る・時間帯をずらすことで改善することがあります。都市ガスでも、震度計の閾値超えで自動遮断された後、復帰操作を行っていないケースが少なくありません。メーター復帰→3分待機は安全確認のプロセスであり、その間の点火操作は無効化されます。復帰後に全てのガス機器が使えないなら供給系統側の問題も考えられるため、事業者への連絡が近道です。なお、復帰ボタンの位置・操作方法は型式により異なるため、メーターボックス内の操作ラベルを必ず参照してください。高所・足場不良・降雪時の作業は転倒リスクがあるため、無理をせず安全を最優先に。復帰操作を行った記録(日時・天候・同時使用機器・結果)を残しておくと、後日の原因特定に役立ちます。

給湯器 種火のまとめ

本章では、ここまで解説してきた「種火の基本」「点火と炎検知の仕組み」「強風や低温などの環境要因」「エラー11・111・12の読み取り」「マイコンメーターの復帰」までの要点を、実務で役立つ観点から整理します。最も重要なのは、①安全最優先で危険兆候があれば即停止と換気、②表示は結果を示すものであり原因は複合的、③ユーザーが行える対処は非分解の清掃と環境是正に限定、の三点です。着火しないときは電源 ガス 水量 環境の四系統で切り分け、すぐ消えるときは炎検知とドラフトを疑います。冬季や強風時の再発は珍しくなく、時間帯や設置周りの見直しが効果的です。エラー解除はゴールではなくスタートであり、再発ログの記録が診断を決定的に短縮します。十年超の機器や屋外過酷環境では、単発交換より総合点検と更新検討が合理的です。以下のチェックリストを定期点検や復旧時の確認用に活用してください。

  • 多くの家庭用給湯器は種火常時点灯ではなく需要時のみ点火する
  • 炎が見えない機種でも燃焼表示や点火音で状態を把握できる
  • 点火はスパーク後に炎検知が成立して初めて燃焼が継続する
  • フレームロッドやサーモ系の汚れ劣化は立ち消えの主要因となる
  • 清掃は電源遮断と完全冷却後に可視範囲を乾拭きで実施する
  • 吸気口と排気口の塞ぎ込み除去と周囲の必要空間を確保する
  • 強風や逆風で排気が押し戻されると立ち消えが発生しやすい
  • 冬季は低温凍結結露が重なり点火条件が厳しくなる
  • エラー11と111は点火不良エラー12は燃焼継続不可の傾向
  • エラーの定義は機種ごとに異なるため取扱説明書を必ず参照
  • マイコンメーター遮断時は復帰後に待機時間を守って再試行
  • 臭気異音異常発熱がある場合は使用を中止し換気と元栓閉止
  • 連続した再点火は危険であり原因除去を最優先に進める
  • 症状天候使用状況と時刻を記録すると診断と修理が円滑になる
  • 十年以上の機器や再発多発時は総合点検と更新検討が有効

FAQ(給湯器の種火・点火トラブル)

給湯器の種火は常に点いているのですか?

現在主流の家庭用給湯器は瞬間点火方式が多く、常時の種火はありません。需要時のみスパークで着火し、炎検知が成立すると燃焼が継続します。

種火(炎)が見えません。故障でしょうか?

機種によっては視認窓が無い/見えにくい構造です。炎が見えなくても正常な場合があります。状態はリモコンの燃焼表示や点火音で併せて確認してください。

エラー11(111)とエラー12の違いは何ですか?

一般的に11/111は点火不良、12は燃焼継続不可(立ち消え)の傾向です。ただし定義はメーカー・機種で異なるため、必ず取扱説明書を参照してください。

強風の日だけ消えるのですが対処は?

逆風で排気が押し戻されると立ち消えしやすくなります。吸排気グリルの塞ぎ込みを除去し、周囲に空間を確保。暴風時は無理な連続再点火を避け、風が弱まってから再試行します。

点火音(カチカチ)はするのに火が付かないのは?

ガス供給不足、イグナイタの劣化・位置ずれ、炎検知不成立などが考えられます。電源を切って完全冷却後、可視範囲の埃・煤を乾拭きし、ガス元栓やメーター遮断を確認してください。

ガス臭がします。どうすればいいですか?

直ちに使用を中止し、元栓を閉めて窓を開けて換気します。電源スイッチや火気は触らず、ガス事業者・専門業者へ連絡してください。

停電やブレーカー復帰後、点火しにくいのはなぜ?

保護動作や初期化で一時的に起動が遅れる場合があります。リモコン主電源のOFF→ON、本体プラグの差し直し(数秒待機)で再試行してください。

マイコンメーターが遮断した時の復帰方法は?

屋外メーターボックスの表示に従い復帰ボタンを操作し、約3分の待機を置いてから再点火を試します。臭気がある場合は復帰操作を行わず事業者へ連絡します。

冬だけ点火しづらい・すぐ消えるのはなぜ?

低温・強風・凍結・結露が重なり、気化不足(特にLP)、ドラフト不良、最低作動流量不足が起きやすくなります。配管保温、除雪・除氷、フィルター清掃、風の影響低減が有効です。

自分で清掃してよい部位はどこまで?

通電を切り完全冷却後、可視範囲の埃・煤の乾拭き、吸排気グリルや給水ストレーナの清掃までが目安です。分解、電極ギャップ調整、ガス圧・ドラフト調整は専門作業です。

イグナイタや熱電対の交換時期の目安は?

使用環境・回数で異なりますが、点火音はするのに着火しない再発、先端の割れ・重度の煤、位置ずれ等があれば点検・交換を検討します。純正同等品以外の流用は避けてください。

エラーが消えたら使い続けても大丈夫?

一時的に解消しても原因未除去なら再発します。症状・天候・時刻を記録し、再発や不安があれば使用を控えて点検を依頼してください。

修理と交換はどちらが得ですか?

10年超や多発故障、屋外過酷環境での再発は、総合点検と更新検討が費用対効果に優れる場合があります。修理見積と交換見積を同時に取り比較するのが合理的です。

LPガスと都市ガスで対処は変わりますか?

基本は同じですが、LPは低温時に蒸発能力が低下しやすいため、同時使用の抑制や時間帯調整が有効な場合があります。残量と結露凍結の状態も確認してください。

連続でリセットや再点火しても良い?

連続再試行はガス滞留や遅延着火のリスクを高めます。原因を切り分け、環境是正・メーター確認のうえ、再試行は最小限にとどめてください。

 

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