三菱 給湯器 残湯 なしの原因と対処法|冬場の湯切れ防止
「三菱 給湯器 残湯 なし」表示が出るときの基本と実践的な対処を整理します。機種差があるため断定は避け、取扱説明書に依拠する前提で、エコキュート(貯湯ユニット)とふろ自動・追いだきの一般的な仕組みを踏まえた点検手順と設定見直しの要点をまとめました。
- 残湯なし表示の意味と目盛・点灯の読み方が分かる
- 冬季の湯切れ要因と学習制御のズレを把握できる
- 家庭で安全に実施できる点検と清掃の流れを理解
- たし湯・満タンわき増し等の応急運転を使い分けられる
三菱 給湯器 残湯 なし の基本
- 取扱説明書における残湯なし表示の意味
- 残湯量表示の目盛と点滅・点灯の違い
- 夜間のみ沸き上げ設定と湯切れの関係
- 季節要因(冬季の給水温低下)の影響
- 学習制御と使用量急増時のズレ
- エラー表示の有無と確認手順
取扱説明書における残湯なし表示の意味
三菱のエコキュートや給湯器リモコンに表示される「残湯なし」は、浴槽の残り湯ではなく貯湯タンク内の有効湯量がほぼ枯渇している目安を示します。貯湯タンクは内部の温度層(高温域・中温域・低温域)を保ちながら必要量の給湯をまかないますが、連続したシャワー使用や湯はり・追いだきの同時運転が続くと、高温域が急激に縮小し、結果として「残湯なし」表示に至ります。表示の条件は機種で異なり、温度・水位・流量などのセンサー値に加え、直近の使用状況からの推定(学習制御)を含む場合があります。したがって、同じ「残湯なし」でも、完全にお湯がゼロという意味ではなく、目標温度で安定的な給湯を続ける余裕がない状態の警告・注意喚起として理解するのが妥当です。
また、残湯表示はあくまで指標であり、短時間で流量や設定が変化した直後は表示が追従しきれず、体感とのズレが生じます。例えば、高温の差し湯や追いだき直後は一時的に浴槽の温度が上がっても、タンク側の高温域は削られているため、次の人のシャワーで急にぬるく感じるといった現象が起きがちです。エラー表示が伴わない「残湯なし」は故障断定ではありませんが、頻発する場合は、沸き上げ設定・使用パターン・フィルターの状態など、基本要因を順に確認しましょう。機種固有の表示名や点滅条件、解除条件、注意事項は取扱説明書に明確に定義されています。まずはお手元の説明書で該当章を確認し、表示の意味と推奨操作を照合することが安全で確実です。必要に応じて公式の資料・サポートも参照してください(三菱電機 公式サイト)。
機種別の表記や注意事項は公式資料の確認が有用です:三菱電機 公式サイト
残湯量表示の目盛と点滅・点灯の違い
リモコンにある残湯量の目盛(バー表示)は、タンク内の高温域の割合を簡略に可視化したものです。多くの機種では、目盛が少ないほど「使える熱の余裕」が小さいことを示し、さらに臨界に近づくと点滅などで注意を促します。点灯(安定点灯)は現状の残量レベルを示し、点滅は「このままの負荷が続くと所定温度の給湯を継続できない可能性が高い」ことを意味するケースが一般的です。ただし、点滅・点灯の閾値や表示アルゴリズムは型式ごとに差があり、浴室リモコンと台所リモコンで表現が異なることもあります。
表示はあくまで推定に基づくダッシュボードであり、瞬間的な大流量(複数水栓の同時使用など)や高温差し湯の直後は、バーが一段階以上まとめて減るように見えることがあります。これは高温域が一気に消費され、中温域からの昇温補正が追いつくまでの遅延が要因です。したがって、目盛の変化は「タンクの熱バッファの残り具合」を読み解く材料と捉え、運転を中断すべきエラーと混同しないことが大切です。もし目盛が低下したまま回復しない、あるいは点滅が頻発する場合は、使用ピークの平準化(順番に入浴・同時使用を避ける)、一時的な目標湯量の引き上げ、日中沸き上げの許可といった設定面での対策を検討しましょう。さらに、フィルター詰まりや配管内のエア噛みがあると実効流量が下がり、表示の回復が遅れるため、点検・清掃も併せて行うと改善しやすくなります。
夜間のみ沸き上げ設定と湯切れの関係
省エネを目的に夜間の割安時間帯のみ沸き上げる設定は一般的ですが、日中の使用量が設計想定を超えた場合、貯湯の高温域が早期に縮小し、夕方以降に「残湯なし」が出やすくなります。とくに冬季は給水温が低く、同じ設定温度でも必要熱量が増えるため、夜間のみ沸き上げのままだとバッファ不足に陥りやすい点に注意が必要です。来客で連続入浴が続く、洗面・台所・浴室の同時使用が多い、シャワー流量が大きいなどの条件が重なる日は、事前に目標湯量(満タン設定)を上げる、日中の追い焚き許可・わき増しを併用するといった運用が効果的です。
おすすめの手順は、①翌日の使用量増を見込める場合は前夜の段階で目標湯量を一段上げる、②当日は入浴前に早めの沸き増し(急速わき上げ)を開始し、ピーク前に高温域を確保する、③湯はりとシャワーの同時使用を避ける、④シャワーヘッドの節水機能を活用して流量を適正化する、の順です。これにより、夜間のみ設定の省エネメリットを保ちつつ、実使用に即した柔軟な熱マネジメントが可能になります。学習制御搭載機なら数日間の使用傾向を取り込み、次第に必要量へ近づきますが、急な気温低下やイベント日は制御が追従しにくいため、人の側で早めに手当てしておくのが現実的です。
季節要因(冬季の給水温低下)の影響
冬季は水道水の入口温度が大きく低下し、同じ設定湯温でも必要な昇温幅(ΔT)が増えるため、単位時間あたりに消費するタンク内の「高温域」が大きくなります。例えば、給水が20℃から10℃に下がるだけでも、40℃の吐水を同じ流量で維持するための熱量は理論上ほぼ倍増に近づき、結果として残湯の減りが早くなります。ここに湯はり・追いだき・シャワーの同時使用や、長時間の保温が重なると、タンクの熱バッファは想定以上のスピードで消費され、夕方から夜にかけて「残湯なし」が表示されやすくなります。さらに、寒波到来時は浴室や配管自体の熱損失が平常期より大きく、浴槽の保温にも余分な熱が奪われるため、追いだき回数が増えて残湯の消耗を加速させます。
実運用での対策は、①ピーク負荷の分散(湯はりとシャワーの同時使用を避け、入浴順序を工夫)、②流量の適正化(節湯シャワーヘッドや止水操作の徹底)、③事前の沸き増し(入浴1〜2時間前に急速わき上げで高温域を確保)、④保温条件の見直し(必要以上の長時間保温を避け、追いだき回数を抑制)、⑤設定温度の最適化(高すぎる吐水温は熱ロス増につながるため、家庭内の許容範囲で見直し)です。特に、冬季に来客予定がある日は、前日夜の段階で目標湯量を一段階上げ、当日は早めの沸き増しを仕掛けておくと安定しやすくなります。配管の凍結防止や外気露出部の断熱補修も、間接的に熱損失を抑える有効策です。詳細な注意点や凍結時の扱いは機種別の説明書に依拠し、必要ならメーカーの公式情報も参照してください(三菱電機 公式サイト)。
学習制御と使用量急増時のズレ
学習制御を搭載する機種では、直近の使用履歴を参照して翌日以降の沸き上げ量やタイミングを自動最適化します。一般的には数日単位で傾向を捉えるため、長期不在明け・来客・季節の変わり目などで消費パターンが急変すると、制御が追従するまでの間に残湯不足の「谷」が発生しやすくなります。特に冬季は、学習制御が平常時のデータに引きずられると、寒波初日に十分な高温域を確保できず、夕方以降のシャワーで急にぬるく感じるケースが典型です。また、家族の入浴時間が日によって大きくブレる世帯では、学習の予測が外れやすく、残湯表示の上下動が目立つことがあります。
この「ズレ」をならす運用のコツは、①使用増が見込まれる前日に目標湯量を手動で底上げ、②当日は入浴前に早めの沸き増しで高温域を確保、③イベント期間中は省エネ(おまかせ)を一時的に緩和、④学習が追従したら段階的に元へ戻す、という人側の前倒し介入です。さらに、ふろ自動の保温時間や追いだき条件を見直し、不要な保温を減らして熱の偏消費を抑えると、学習制御の安定にも寄与します。なお、学習がうまく働かない・想定外のタイミングで沸き上げが起きる・残湯推定が不自然に感じられる、といった場合は、取扱説明書に記載の手順で初期化(設定復帰)や時刻・スケジュール設定の再確認を行い、異常表示の有無を合わせて確認しましょう。これらの小さな整備が、数日後の沸き上げ最適化を確実にします。
エラー表示の有無と確認手順
「残湯なし」が故障を直ちに意味するわけではありませんが、エラーコードや警告表示が同時に出ているなら話は別です。温度・水位・流量センサーの異常、通信エラー、凍結・過熱保護、ヒートポンプ系の異常などが発生すると、安全のために沸き上げや給湯能力が制限され、結果として残湯が回復しづらくなります。確認の基本は、①リモコン画面にエラー番号・点滅パターンがないか、②運転ランプの色・点滅周期、③ふろ自動が途中で停止していないか、④時刻ズレ・予約/停止設定の誤作動がないか、⑤停電・ブレーカー作動後の復帰手順を正しく踏んだか、の5点です。とくに停電や断水後は、配管内に空気が残って循環が不安定になり、追いだきの立ち上がりで保護停止が起きる場合があります。
エラーが記録されている場合は、取扱説明書のエラー一覧に従って安全側で対処し、無理な再起動や分解は行わないことが重要です。周囲の凍結・漏水・ドレン詰まり・屋外機の吸排気塞ぎ込み(落ち葉・積雪)など、外因の有無も併せて点検しましょう。復帰しない場合や同一エラーの再発が短期間に繰り返される場合は、給水を止め、電源を安全に扱ったうえで施工店またはメーカーサポートに相談してください。症状の伝達時は、エラー番号・発生時刻・直前の操作・天候(外気温)・同時使用の有無をメモしておくと診断が早まります。なお、エラーが出ていないのに残湯不足が慢性化している場合は、フィルター・ストレーナー・循環金具の清掃や、混合水栓の逆止弁不良の切り分けから着手するのが合理的です。
三菱 給湯器 残湯 なし の対処
- フィルター・ストレーナー詰まり点検
- ふろ配管の洗浄とエア抜き手順
- 循環金具・Oリング劣化のチェック
- 水圧低下・断水時の確認ポイント
- 混合水栓の逆流・カートリッジ不良
- たし湯/満タンわき増しの使い方
- まとめ 三菱 給湯器 残湯 なし
フィルター・ストレーナー詰まり点検
残湯不足を体感する場面でまず見直したいのが、給水ストレーナーおよび浴槽循環フィルターの目詰まりです。これらはご家庭でも安全手順を守れば清掃可能なメンテ領域で、詰まりがあると実流量が低下し、ヒートポンプ側の伝熱が十分に進まず、沸き上げ時間の延伸や追いだき効率の悪化を招きます。結果としてタンク内の高温域が回復しにくく、「残湯なし」表示と体感のギャップが大きくなる傾向があります。清掃の基本フローは、①運転停止と電源オフ、②給水・給湯の止水(必要に応じてブレーカーも)、③取扱説明書に沿って該当フィルターを取り外し、④流水で逆洗・柔らかめのブラシで軽く擦って異物(砂・錆・繊維片・入浴剤の析出)を除去、⑤Oリング類の傷・潤滑状態を確認、⑥確実に元通り装着し、⑦止水解除・漏れ確認・試運転、の順です。取り外し方向やパッキンの着座を誤ると漏れの原因になるため、外す前にスマホで配置写真を撮っておくと復旧がスムーズです。
清掃頻度の目安は、家族人数・水質・浴槽の使用頻度に左右されますが、冬季や来客シーズン前後は点検間隔を短くするのが無難です。シャワーの勢いが最近弱い、追いだきが開始直後に極端に遅い、ふろ自動の湯はりが以前より時間を要する――といった兆候は、目詰まりのサインになり得ます。フィルターに金属光沢の細片や赤錆が目立つ場合、上流側配管の腐食や受水槽の堆積物影響が疑われ、家庭内での清掃だけでは再発を抑えにくいことがあります。その場合は施工店に相談し、系統的な洗浄や部位交換の可能性を含めて計画しましょう。なお、強アルカリ・強酸の薬剤や金属ブラシは素材を傷め、微細な破れは逆に異物の通過を許して機器内部の故障リスクを高めます。必ず説明書に適合する方法・洗浄剤を選び、作業後は確実な止水解除と漏れチェック、試運転で温度・流量の回復を確認してください。
ふろ配管の洗浄とエア抜き手順
浴槽と給湯機をつなぐ循環配管は、皮脂・石けんカス・入浴剤成分・微生物バイオフィルムが蓄積しやすく、循環抵抗が増すと追いだき効率が低下します。結果として必要以上に長く加熱運転が続き、タンクの高温域を消費して残湯低下を加速させる場合があります。洗浄の推奨フローは、①浴槽の循環口フィルターを外して目視清掃、②浴槽にぬるま湯を循環口上まで張る、③取扱説明書で推奨される配管洗浄モードや適合洗浄剤を用い、所定時間循環、④排水後に再度給水してリンス運転を行い、⑤フィルターを正しく装着し直す、の順です。汚れが強いときは1〜2回繰り返すと改善がはっきりします。入浴剤を日常的に使うご家庭や、長期不在の後は特に効果的です。
運転直後のゴボゴボ音や温度ムラ、追いだき開始時の一時停止が見られる場合は、配管内のエア噛みが疑われます。エア抜きの一般的な手順は、①浴槽側の循環口が確実に浸かる水位まで湯を張る、②ふろ自動または追いだきを短時間起動し循環路に水を満たす、③一旦停止して1〜2分待機、④再度運転して泡抜け音が収束するまで繰り返す――といったステップです。断水・停電復旧後や配管の一時切り離し後は空気が残りやすいため、通常より丁寧なエア抜きを行うと安定が早まります。なお、高温の差し湯を併用する場合はやけど防止の観点から温度計測と撹拌を十分に行い、乳幼児・高齢者の入浴時は必ず温度確認を徹底してください。洗浄モードの名称や洗浄剤の適合可否、推奨手順は機種で異なるため、詳細は取扱説明書の該当章を参照するか、必要に応じてメーカー公式情報を確認してください(三菱電機 公式サイト)。
循環金具・Oリング劣化のチェック
循環金具(浴槽側)のフィルター枠破れ、固定ツメの緩み、Oリングの硬化・扁平化・微細亀裂は、循環量の低下や外気吸い込み(微小な空気混入)を招き、追いだきの効率を悪化させます。これによりヒートポンプ側の加熱時間が伸び、タンクの高温域を余計に消耗し「残湯なし」に至りやすくなります。点検では、①金具周辺の着色(ヌメリ、白華、緑青)、②Oリング表面の艶消え・角立ち・切れ目、③装着時の座りの浅さやガタつき、④運転中に微細な気泡が出続ける症状の有無、を確認します。Oリングは消耗品であり、見た目が大きく破断していなくても弾性低下により密封性が落ちることがあります。型式に合致しない互換リングの流用は、耐熱・耐薬品性や寸法が不適合で逆効果になり得るため避けましょう。
交換・分解が伴う作業は、防水や漏電リスクを考慮して無理をせず施工店に依頼するのが安全です。自力で行う場合は、①電源停止・止水、②浴槽の水を抜き清潔な作業環境を確保、③指定トルクや装着方向の遵守、④Oリングへのシリコングリース(適合品)薄塗り、⑤復旧後の漏れ・泡の有無確認と試運転、を徹底します。交換後に追いだきの立ち上がりが明らかに早くなる、運転音が落ち着く、設定温度の安定が増す、といった改善が得られることが多い領域です。なお、循環金具の奥側にあるストレーナー閉塞や、配管ジョイント部の経年劣化が疑われるケースでは、分解・圧力試験を伴うため専門点検が前提となります。症状・発生時刻・同時使用状況・外気温などのメモを添えて相談すると、原因特定がスムーズです。
水圧低下・断水時の確認ポイント
「残湯なし」を頻繁に見る一因として、実は給水側の水圧低下や断水の影響が隠れていることがあります。貯湯式給湯では、タンクの高温域を使って吐水温度を維持しますが、給水圧が不足すると給湯流量が不安定になり、結果として必要以上に追いだき・わき増しが発生して高温域の削れが早まるケースがあります。まず切り分けとして、①同時刻に水(コールド)側の出方が弱くないか、②台所・洗面・浴室の各水栓で給湯・給水の差がどの程度か、③マンション等であれば受水槽・加圧ポンプの告知や点検予定がないか、④屋外散水栓やトイレ洗浄の勢いも含めて家全体の傾向を把握します。建物全体で弱いなら給水系の問題、浴室だけなら局所の問題の可能性が高まります。
併せて、⑤止水栓の開度が狭まっていないか、⑥減圧弁(PRV)が固着・劣化していないか、⑦屋内外の微小漏水(床下の湿り・メーターパイロット回りのわずかな回転)を確認します。断水・工事明けは配管内に空気が混入しやすく、立ち上がり時にゴボゴボ音や温度ムラ、ふろ自動の一時停止が出ることがあります。これはエア噛み由来の循環不安定であることが多く、浴槽の水位を循環口より十分上げてから追いだきを短時間運転→停止→再運転を数度繰り返すと収束しやすくなります。寒波時は凍結・半凍結で流量が落ちる場合もあるため、露出配管や屋外機周りの断熱・保温材の損傷有無、ドレンの凍結、吸排気の塞ぎ込み(雪・落ち葉)もチェックしましょう。
これらを確認しても改善しない場合、給水フィルターやストレーナーの再清掃、混合水栓側の逆止弁不良の切り分けへ進みます。切り分け時は一箇所ずつ使用して挙動を観察し、複数同時使用を避けて症状の出方を記録するのが鉄則です。短時間で条件を変えながら原因範囲を絞り込むことで、残湯表示と体感のギャップの正体に近づけます。
混合水栓の逆流・カートリッジ不良
サーモスタット混合栓やシングルレバーのカートリッジ劣化・逆止弁不良は、水側から湯側への“回り込み”を生み、設定温度よりぬるい・不安定と感じる典型要因です。機器側が正常でも、水栓内部で低温水が混入すれば、結果的に「残湯が減るのが早い」ように見えます。判別のコツは、①浴室以外(台所・洗面)の給湯温が正常か、②問題の水栓単独使用時と家中複数同時使用時で症状がどう変わるか、③問題水栓の給水側のみを暫時閉じたときに温度安定が戻るか、の三点です。特定の水栓でのみ温度が暴れるなら、その水栓の逆止弁・サーモユニットを疑います。
また、分岐水栓(食洗機・浄水器・洗濯機用混合)や浴室の切替弁シャワー切替部も、経年で逆止機能が弱りやすい部位です。レバー操作時に「カクッ」とした節度が失われていたり、止水位置でわずかに吐水が続く、設定温度よりやたらと高温・低温へ寄る――といった挙動は交換サインになり得ます。自力点検では、①止水→カートリッジ取り外し→ゴミ・スケールの洗浄、②パッキン・Oリングの点検・交換、③指定トルクで組付け、④漏れ・作動確認、の順を厳守します。とはいえ浴室水栓は漏水・やけどリスクが高いため、部品互換や作業手順に不安がある場合は施工店へ依頼する方が安全確実です。水栓の不良が解消すると、同じ入浴パターンでも「残湯の減りが緩やかになった」と体感が変わることが少なくありません。
たし湯/満タンわき増しの使い方
「残湯なし」表示が出た場面で有効なのが、状況に応じたたし湯と満タンわき増し(急速わき上げ)の使い分けです。短時間で入浴を完了したい、浴槽温をすぐに持ち上げたいときは、まず高温差し湯を控えめに行い、全体を撹拌して体感温度を底上げします。続けて入る家族がいる・シャワーも重なる等で総量が不足しそうなら、早めにわき増しを開始してタンクの高温域を回復させます。ここで重要なのはタイミングで、入浴直前ではなく1〜2時間前に予熱しておくと、ヒートポンプの効率が生かされ、立ち上がりの電力ピークを避けつつ安定した吐水が得られます。夜間のみ沸き上げ設定の家庭は、寒波・来客日だけ日中沸き上げを一時許可する運用が合理的です。
省エネと快適性のバランスを取るため、①湯はりとシャワーの同時使用回避、②シャワーの流量適正化(節湯ヘッド活用)、③保温時間の最小化(自動保温は必要時間に限定)、④目標湯量の季節調整(冬季は一段階上げる)を組み合わせます。安全面では、たし湯・追いだき時のやけど防止が最優先です。浴槽内は場所で温度ムラが出やすいため、差し湯後は必ず撹拌し、乳幼児・高齢者の入浴前には手で湯温を確かめてください。機種ごとの操作名称や設定項目、注意事項は取扱説明書に準拠し、不明点はメーカー公式情報を確認しましょう(参考:三菱電機 公式サイト)。
高温差し湯や急速わき上げの多用は電力・コスト増につながります。必要な日だけ前倒しで予熱し、ピーク負荷を分散させるのが省エネと快適性の両立策です。
まとめ 三菱 給湯器 残湯 なし
「残湯なし」は浴槽の残り湯ではなく貯湯タンクの有効湯量が乏しい目安であり故障確定の合図ではありません。まずは現象の成因を大きく三層で捉えると整理しやすくなります。第一は需要側のピーク過多で冬季の低い給水温や来客連続入浴湯はりとシャワーの同時使用高い吐水温設定長時間保温などが重なり高温域が急消耗する層です。第二は制御側の設定や学習のズレで夜間のみ沸き上げ省エネ優先学習制御の追従遅れ時刻やスケジュールの不整合などにより必要量確保のタイミングを外す層です。第三は設備側の抵抗や不具合で給水ストレーナーや循環フィルターの目詰まりふろ配管の汚れとエア噛み循環金具やOリングの劣化水圧低下や断水後の空気混入混合水栓の逆流などが循環と伝熱を阻害する層です。実務的な対処は需要側では同時使用の回避流量の適正化事前のわき増しでピークをならし設定面では目標湯量の季節調整日中沸き上げの一時許可省エネの一時緩和で制御を補助し設備面ではフィルター清掃配管洗浄とエア抜き金具やパッキンの点検交換止水栓と減圧弁の確認を順に施すことです。停電断水寒波の後や長期不在明けは特にエア抜きと予熱の前倒しが効きます。安全面では高温差し湯や追いだき時のやけど防止を最優先に浴槽内の撹拌と手での湯温確認を徹底し不明点があれば無理をせず取扱説明書に依拠し施工店やメーカーサポートに相談することが長期安定運用の近道となります。
- 残湯なしは貯湯タンクの有効湯量が少ない目安
- 表示は目安で短時間の使用直後はずれが生じやすい
- 冬季は給水温低下で必要熱量が増え減りが早い
- 夜間のみ沸き上げは日中の大量使用に弱い
- 来客や連続入浴の前は目標湯量を引き上げる
- 学習制御の追従遅れには手動補正を併用する
- 給水ストレーナーと循環フィルターは定期清掃
- ふろ配管の洗浄とエア抜きで循環を安定させる
- 循環金具やOリングの劣化は適合部品で交換する
- 水圧低下や断水後は全蛇口の挙動を確認する
- 混合水栓の逆流は逆止弁やカートリッジを点検
- たし湯と沸き増しは早めに予熱して効果を高める
- 同時使用を避け流量と保温時間を最適化する
- 安全第一で高温差し湯は撹拌と温度確認を徹底
- 不明点は取扱説明書と施工店メーカーへ相談
よくある質問(FAQ)
「残湯なし」はすぐに故障を意味しますか?
直ちに故障を示すものではありません。貯湯タンクの有効湯量が少ない目安表示です。頻発する場合は、使用量の増加・設定・フィルター詰まりなど基本要因を順に確認します。
浴槽にはお湯があるのに「残湯なし」になるのはなぜ?
表示は浴槽ではなく貯湯タンク側の残量を示します。追いだきや差し湯で浴槽が温かくても、タンクの高温域が減っていれば「残湯なし」になることがあります。
冬に湯切れしやすいのは何が原因?
給水温が下がり、同じ吐水温でも必要熱量が増えるためです。湯はりとシャワーの同時使用回避、入浴前のわき増し、流量の適正化で緩和できます。
夜間のみ沸き上げ設定のままでも大丈夫?
省エネには有利ですが、日中の使用が多い日は湯切れしやすくなります。来客時などは目標湯量を上げるか、日中沸き上げを一時許可してください。
学習制御はどのくらいで追従しますか?
数日単位で傾向を学習するのが一般的です。急な使用増には追従が遅れるため、しばらくは目標湯量の手動底上げや早めのわき増しで補助します。
まず自分でできる点検は?
運転停止・止水の安全確保後、給水ストレーナーと浴槽循環フィルターの清掃、浴槽循環口や配管の洗浄、エア抜き(断水・停電復旧後)を実施します。
混合水栓の不具合でぬるくなることはありますか?
あります。カートリッジ劣化や逆止弁不良で水が回り込み、設定温度よりぬるく感じます。問題の水栓単独で症状が出るか切り分け、必要に応じて点検・交換します。
「残湯なし」時は何を押せばいい?
応急的には「たし湯」または「沸き増し(急速わき上げ)」を状況に応じて使用します。入浴1〜2時間前から予熱できると安定しやすく、安全のため湯温確認と撹拌を徹底してください。
エラーコードが出たときの対応は?
取扱説明書のエラー一覧に従い、安全側で停止・確認します。凍結・通信・センサー系の異常は能力制限を招くため、無理な再起動や分解は避け、施工店やメーカーへ相談を。
交換や修理を検討する目安は?
10年前後の長期使用、同一エラーの短期再発、配管・金具の経年劣化で清掃や調整でも改善が乏しい場合は、施工店に診断を依頼し、修理と更新の費用比較を行います。
公式情報はどこで確認できますか?
機種固有の表示名・操作手順は取扱説明書が最優先です。不明点は三菱電機の公式ページから型番別資料やサポート情報をご確認ください:三菱電機 公式サイト