オール電化の給湯器電気代は高い?家庭別の目安と対策
オール電化の給湯器にかかる電気代を、方式別の仕組みとランニングコスト、家族人数別の目安、時間帯別プランの活用、具体的な節約手順まで体系的に解説します。エコキュートと電気温水器の違い、再エネ賦課金や燃料費調整の影響も整理し、今日から実践できる最適化ポイントをまとめます。
- オール電化の給湯器と電気代の全体像を理解
- 家族人数別の月額目安と変動要因を把握
- 時間帯別電灯や夜間電力の上手な使い方
- 追い焚きや放熱ロスを抑える節約手順を実践
オール電化の給湯器と電気代の基礎
家族人数別の電気代目安

| 世帯構成 | 想定給湯量の目安 | 運転モード例 | 月額の目安 |
|---|---|---|---|
| 1人 | シャワー中心 200〜300L/日 | 夜間沸き上げ中心 | 4,000〜6,000円 |
| 2〜3人 | 風呂1回+シャワー 300〜450L/日 | 夜間+学習運転 | 5,000〜9,000円 |
| 4人 | 風呂1回+シャワー複数 450〜600L/日 | 夜間主体+一部昼間 | 8,000〜12,000円 |
| 5人以上 | 風呂2回相当 600L/日以上 | 大容量タンク最適化 | 10,000〜15,000円 |
家族人数は必要湯量とピーク出湯の重なりを左右し、電気代のベースラインを決めます。同じ湯量でも冬はヒートポンプ効率(COP)が下がり、請求額が伸びやすくなります。浴室乾燥機の使用や高温さし湯の頻度、台所のちょい使いなど小さなロスの積み上げも月次で差になります。入浴時間を近接させ、断熱ふたを使い、シャワー停止を意識するだけでも負荷を下げられます。
エコキュートと電気温水器の違い

エコキュートは空気熱を汲み上げるヒートポンプ方式、電気温水器は電気ヒーター加熱。前者は高効率でランニング低減、後者は初期費用が抑えやすいのが一般的な傾向です。
| 項目 | エコキュート | 電気温水器 |
|---|---|---|
| 加熱方式 | ヒートポンプ | 電気ヒーター |
| 効率指標 | COP高め | 約1に近い |
| 初期費用 | やや高い | 比較的安い |
| 月間コスト | 低くなりやすい | 高くなりやすい |
| 設置条件 | 室外機スペース要 | シンプルで柔軟 |
比較は初期費用+運転費+耐用年数で評価します。寒冷地や塩害地域では外気温や環境が効率や耐久に影響します。制度や省エネ基準は公的情報で随時確認しましょう。参考:資源エネルギー庁|省エネ情報
ヒートポンプ方式の仕組み

ヒートポンプは「電気で熱を移す」技術です。圧縮機・膨張弁・熱交換器で外気から低温熱を回収し、貯湯タンクの水に移します。COPは外気温が高いほど、目標湯温が低いほど高くなります。真冬の深夜は単価が安くても効率が落ちやすいため、必要湯量と時間帯単価のバランスで沸き上げスケジュールを最適化します。室外機の吸排気確保、フィルター清掃、配管断熱の健全性は効率維持に直結します。
時間帯別電灯と夜間電力

夜間の電力量単価が低いプランは給湯と相性が良好です。ただし極端に寒い深夜はCOPが低下するため、夜間主体+入浴前の短時間追従+週末の柔軟運転が有効です。家電の同時運転を避け、沸き上げ時刻をずらしてピークを平準化します。時間帯区分や単価が季節で変わるプランもあるため、年に一度は実績で見直しましょう。基礎制度の参照:資源エネルギー庁|電気料金の基礎情報
再エネ賦課金・燃料費調整

請求額は使用量だけでなく再エネ賦課金や燃料費調整の影響も受けます。明細から使用量と単価を分解し、前年同月比で「使用量要因」と「単価要因」を切り分けて評価しましょう。給湯器の運転ログ(沸き上げ回数・時刻・湯温)を確認できる機種なら、設定変更と請求額の関係が把握しやすくなります。
ガス給湯・ハイブリッド比較

ガス給湯は高出力・立ち上がりの速さが強み。ハイブリッド給湯器は中低温域をヒートポンプ、ピークや高温域をガスで補完し年間効率を底上げします。判断は地域単価、入浴ピーク、初期費用、スペース、保守体制を総合評価します。停電時のレジリエンスも比較軸に含めましょう。
オール電化の給湯器電気代を下げる
追い焚き・自動保温の節電

入浴時間をそろえる 断熱ふたを使う 保温時間を短縮する の三点で追い焚き回数を減らします。
追い焚きのコストは「湯温低下幅×浴槽水量×回数」で効きます。家族の入浴を近い時間に集約し、保温より連続入浴を優先すると総消費が下がります。保温は上限時間を短く設定し、帰宅時刻が読めない日は保温を切って入浴直前に最小量のさし湯で調整します。浴槽の湯量を少し減らすだけでも必要熱量は下がります。配管の断熱不良や浴槽循環経路のロスがあると同じ運用でも電気代がかさむため、露出配管の保温材を点検し、破れ・硬化は交換しましょう。湯張り直後の強力換気は蒸発を促すため、入浴後に集中的換気へ切り替えると熱損失を抑えられます。
給湯温度設定と学習運転

湯温は1℃の差でも必要熱量に影響します。シャワー中心の日は40℃、浴槽入浴日は41〜42℃を上限にし、熱めが必要な場面は混合水栓側で局所調整します。学習運転は「曜日×時間帯」の使用履歴から必要湯量を推定しますが、生活が変わった直後は過去のクセで過剰沸きが出やすい点に注意。引っ越しや在宅勤務の変更、季節の切り替え時はリセットし、1〜2週間で再学習させます。極端に寒い深夜を避け、夕刻〜就寝前に短時間の追従沸き上げを入れると、夜間単価のメリットと効率のバランスが取りやすくなります。制度や基礎は公的資料で確認を。参考:資源エネルギー庁|省エネ情報
貯湯タンク容量と放熱ロス

大容量は安心の一方で常時の放熱ロスが増えます。世帯人数や入浴頻度に対して適正容量を選び、余剰湯が残るなら設定湯量の上限を下げます。屋外タンクは直射日光や強風の影響を受けるため、通風と保守性を損なわない範囲で防風や日よけを整えます。配管の保温材は厚みと密着を重視し、劣化や含水があれば交換。凍結防止ヒーターの稼働は断熱強化で短縮でき、冬季の待機電力を抑えられます。点検口のガスケットやアンカーの緩みも効率と耐久に関わるため、年次点検で同時に確認しましょう。
太陽光余剰電力と蓄電池

売電単価と買電単価の差を把握し、昼間の余剰発電で部分的に沸き上げ、夜間割安と組み合わせて最小コスト化を狙います。HEMSやクラウド連携機能がある機種なら、日射予測や家全体の負荷に応じて自動最適化が可能です。タンクの熱は“ロスのある電池”と考え、過度な高温保持は避けます。蓄電池は停電対策とピーク抑制の総合効果で評価し、発電量の年次劣化や家族構成の変化も織り込んで感度分析を行いましょう。参考:資源エネルギー庁|再生可能エネルギー情報
配管保温・断熱とメンテ

露出配管は厚手保温で連続被覆し、継ぎ目は耐候テープで防水。吸排気の通風確保、フィンとフィルター清掃が基本です。
保温材の劣化や継ぎ目からの浸水は断熱性能を急落させます。金属露出部は小片でも断熱カバーを追加し、待機中の温度降下を抑えます。落葉や積雪が吸気を妨げると効率が急落するため、室外機周りはこまめに整理。貯湯タンクのガスケット劣化やアンカーの緩みは異音や微小漏水の原因になるため、年次点検で漏水痕や錆、ドレン詰まり、配管支持のたわみを系統的に確認します。保安事項に抵触する作業は有資格者へ依頼を。参考:消費者庁
まとめ|オール電化の給湯器電気代
- 家族人数に適した貯湯容量を選び余剰湯を持ち越さない
- 入浴時間を近接させ追い焚きを減らし総熱量の増加を抑える
- 湯温設定は場面別の最小限に調整し季節ごとに見直しを行う
- 夜間割安を軸にしつつ極寒時は効率を見て追従沸き上げを併用
- 学習運転は生活変化のたびに初期化し新しい習慣で再学習させる
- 貯湯量の上限を適正化し余剰湯の放熱ロスを日常的に削減する
- 露出配管の保温材を厚手で連続被覆し継ぎ目の防水を徹底する
- 凍結防止ヒーターの稼働時間は断熱強化で短縮し待機電力を抑制
- 室外機の吸排気を確保し落葉積雪を除去して熱交換効率を維持する
- 太陽光の余剰発電で昼間に部分沸き上げし自家消費比率を高める
- 蓄電池は停電対策とピーク抑制の総合効果で投資判断を実施する
- 浴室乾燥や高温さし湯の多用を避け用途と頻度を計画的に管理する
- 電気料金明細を分解し単価要因と使用量要因を継続的に評価する
- 地域単価と初期費用を含め家全体のエネルギー最適化を検討する
- 年次点検で漏水異音断熱劣化を系統的に点検し早期に是正対応する
料金メニューや単価、制度は見直されることがあります。最新のプランや詳細は、地域の電力会社や公的情報をご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. オール電化の給湯器、月いくらが目安?
一般的な目安は、1人4,000〜6,000円、2〜3人5,000〜9,000円、4人8,000〜12,000円、5人以上10,000〜15,000円程度です。地域の電力単価・季節・湯温設定・追い焚き頻度で増減します。
Q2. エコキュートと電気温水器、電気代はどちらが安い?
同条件ならヒートポンプ式のエコキュートが省エネで電気代を抑えやすい傾向です。電気温水器は初期費用が抑えやすい反面、運転コストが上がりやすい特徴があります。総額(初期費用+運転費+耐用年数)で比較しましょう。
Q3. 冬になると電気代が急に上がるのはなぜ?
外気温低下でヒートポンプ効率(COP)が下がり、必要湯温も高くなるためです。入浴時間の分散や追い焚き増、凍結防止ヒーターの稼働などが重なります。
Q4. 時間帯別電灯は必ずお得?
沸き上げを夜間に寄せられ、生活パターンが安定していれば有利です。ただし極寒の深夜は効率が落ちるため、夜間主体に入浴前の短時間追従を併用する運用が有効です。
Q5. 追い焚きと自動保温、どちらが節約?
間隔が短いなら保温、長いなら追い焚きが有利になりがちです。最も効果的なのは入浴時間を近接させ、断熱ふたで放熱を抑え、保温時間を短くすることです。
Q6. 給湯温度は何℃が最適?
シャワー中心は40℃、浴槽入浴日は41〜42℃を上限の目安に。用途に応じて必要最小限へ下げ、季節で見直します。
Q7. 太陽光がある場合の最適運用は?
晴天時は昼間に部分的に沸き上げ、夜間割安と組み合わせます。HEMSやアプリで日射予測に応じた自動最適化ができる機種なら、売電と買電の差を踏まえて設定します。
Q8. 蓄電池は給湯の電気代節約に効く?
給湯単独での回収は難しいケースが多く、停電対策や家全体のピークカットと一体で検討するのが現実的です。
Q9. タンク容量は大きい方が安心?
過剰容量は放熱ロスを増やします。家族人数・入浴頻度に合う適正容量を選び、余剰湯が常に残る場合は設定湯量の上限を下げます。
Q10. メンテで電気代は下げられる?
配管保温の補修・強化、フィルター清掃、室外機周りの通風確保、ドレンやガスケットの点検で効率低下を防げます。年次点検での早期対応が有効です。
Q11. 電気代が急に増えたときの確認ポイントは?
単価改定の有無、沸き上げ時刻と回数、湯温の変化、追い焚きや浴室乾燥の頻度、配管保温の劣化や漏水の兆候を順に確認します。
Q12. ハイブリッド給湯器はオール電化よりお得?
地域単価、ピーク出力の必要性、初期費用や保守体制で結論が変わります。高温大量出湯が多い家庭や寒冷地でメリットが出やすい一方、保守費用も考慮が必要です。
Q13. 省エネ設定を家族で徹底するコツは?
入浴時間のブロック化、湯温の季節プリセット、追い焚き回数の週次目標など見える化が有効です。運転ログと請求の関係を共有すると継続しやすくなります。
Q14. 電気温水器からエコキュートに替えるとどれくらい下がる?
使用量・地域単価・機種性能で差がありますが、一般に運転効率の違いから電気代は下がりやすい傾向です。現在の使用量と入浴パターンを基にカタログ値で試算しましょう。
Q15. 最新の料金や制度情報はどこで確認する?
最新のプランは各電力会社の公式サイトや検針票・Web明細で確認してください。公的な制度・基礎情報は資源エネルギー庁の公開資料が参考になります。










